映画『ファンタスティックMr.FOX』公式サイト
2009年 米・英合作
原作:ロアルド・ダール『すばらしき父さん狐』
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ジョージ・クルーニー/メリル・ストリープ/ジェイソン・シュワルツマン/ビル・マーレイ/ウィレム・デフォー/オーウェン・ウィルソン
《あらすじ》
Mr.FOXは、以前は盗みをして暮らしていたが、妻のMrs.FOXとちょっと変わり者の息子アッシュのために足を洗い、今は新聞記者として働く日々。穴暮らしをしているが、そんな惨めな生活に飽き始めていた。「もっといい暮らしがしたい!」そんな欲求にかられた彼は、丘の家を購入することに。しかし、弁護士のバジャーは大反対。丘の向こうにはボギス、バンス、ビーンズという、意地が悪い3人の農場主(人間)が住んでいるから。それでも忠告を無視して憧れの家へ引越し、人間に近づいたMr.FOXは、野生の本能が目ざめてしまう。
《この一言》
“おれたち、輝いてる!”
kajiさんが「こないだノトさんがすごく好きそうな映画の予告をみた」と言って教えてくれたのがこの『ファンタスティック MR.FOX』です。聞くと、狐が主人公のアニメーションで、動物がたくさん出て来るとのこと。「狐が主人公」というところに激しい興味を示した私はさっそくこの映画について調べてみたわけです。すると、監督は私の好きなウェス・アンダーソン(『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『天才マックスの世界』『ライフ・アクアティック』『ダージリン急行』など)ではないですか! しかも、アニメーション映画で! そして、アニメーションは今時まさかのストップ・モーション・ピクチャー、登場する獣たちも非常に魅力的な造形でした。こりゃ、すぐにでも観に行かないと!
というわけで、行ってきました! 早めに調べて良かった! 私が観に行ったのは13日(水)でしたが、上映時間は縮小に次ぐ縮小傾向にあり、4月2日から公開でしたが既に終わりそうな勢いでした(18日現在、シネ・リーブル梅田にて1日1回上映中)。慌てていた私は、kajiさんに「明日は? 来週の前半は??」と忙しい合間の時間を無理に作ってもらって、一緒に観てきました(^_^;)急がせてスミマセンでした…はは。でも、せっかくだから一緒に行きたかったのです。
さて、『ファンタスティック MR.FOX』です。原作はロアルド・ダール。
ロアルド・ダールの作品はしばしば映画化されますね。私はいくつかの映画を観ていますが、この人の原作を読んだことは一度もなかったりします。今度機会があれば読んでみたい。「すばらしき父さん狐」ってどういうお話なんだろう?
映画の方は、実に素晴らしいお話でした。Mr.FOXはその人生の価値を問います。こんな生き方にいったいどんな意味があるのか。妻と息子との生活。新聞にコラムを書く日々。穴蔵を抜け出して明るい丘の家で、「いい暮らし」を始めてはみたけれど、オレは狐なのに…。
このように苦悩する父さん狐が主人公です。彼はハンサムで、頭も良く、学生時代には素晴らしい運動選手でもありました。盗みを働いて暮らしていましたが、子供の誕生により足を洗います。それ以来、妻とは「決して二度と盗みを働かず、まっとうな暮らしをする」という約束をしています。生まれてきた息子は、彼にも妻にも似ておらず、小柄で運動神経もいまいちで性格のひねくれた男の子だったためか、父子の間には溝があり、お互いを理解し合うことはできません。
父子の軋轢というのは、ウェス・アンダーソンの映画に共通してみられるテーマで、今回もやはり扱われていました。私はまだ『ダージリン急行』を観ていないのですが(DVDは入手済み)、今回驚いたのは、この父子関係の結末が、ものすごく爽やかだったことでしょうか。弾けるような、爽快感のある結末で、私は走り出したくなった!
また、父子の軋轢ということ以外にもテーマはいくつもあるようです。たとえば、野生動物として生きることに憧れるMr.FOXは、その思いをどう消化して行くのかとか。人間と動物との知恵比べ合戦の行方とか。それらを含めて、生きるということのままならなさや迷いや過ち、奥深さや不可思議さ美しさということを、洗練された映像の中に描いてあったと思います。
どうやって、この人生を輝かせたらいいのか。Mr.FOXの挑戦と失敗とさらなる挑戦の様子は、私の心まで燃え上がらせるような、輝かせるような、そんな「素晴らしい」ものでありました。窮地に陥っても諦めず頭を働かせろ! 生きるってことは、こんな、輝かしいものなんだぜ! と叫びたい気持ちでいっぱいになって、劇場を飛び出しました。いやー、素晴らしい! 私は絶賛しちゃうよ!
とにかく、映像が素晴らしい。(アニメーション監督は、マーク・グスタフソンという人らしい)
脚本もテンポが良く、内容も盛りだくさんで素晴らしい。
衣装や小道具がいつも通りお洒落でカッコイイ。
Mr.FOXがひたすらかっこ良すぎる。気が遠くなるほど素敵な狐である。その間抜けさや惨めさすらかっこよく見える。凄まじい。
ジョージ・クルーニーは声だけでもやっぱりハンサムである。
その他のキャラクターたちも、悪役から脇役まで誰も彼も魅力的である。
お人形が動くアニメーションっていうだけで、もうたまらない気持ちになる!
このように、見どころ楽しみどころは満載でした。
正直言って、一度観ただけでは到底満足できそうもありません。DVDの発売が待たれます。あー、面白かった!! あーー、面白かった!!!