殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

冠婚葬祭

2013年03月24日 09時25分30秒 | みりこんぐらし
甥が結婚するので、久しぶりに結婚式というものに列席する運びとなった。

出発が朝早かったため、着物は断念して洋服で行くことにした。


ここで燃えたのが、我が家の衣装部主任である。

着道楽、靴道楽、バッグ道楽、宝石道楽により

家運没落の一端を担った義母ヨシコだ。


あくまで田舎基準であるが、道楽というからには中途半端なものではない。

義父アツシの浮気が原因の買物依存症とも言えるかもしれないが

迷いの無い購入姿勢から、後の管理まで徹底しているのと

没落後はきっぱり足を洗ったのが、いっそすがすがしい。


「ちょっと地味かね?」と出してきたロング丈のドレスは

私にピッタリであった。

2~3年前、ヨシコが身内の誰かの結婚式のために新調したものだ。

ヨシコが着るとロングドレスだが、私には足首の上あたりの

幾分カジュアルな丈になり、自前のごとく身体に添う。

張り切るヨシコを久々に見て嬉しかったので、一も二もなく借りることにした。


ヨシコは昔から、人前に出るようなことがあると

自分の服を私に着せたがった。

気持ちはありがたいけど、良く言えば若い私には着こなせない…

悪く言えばオバサンぽいので、断る言い回しに苦慮したものだ。

それが今じゃ、ヨシコの着るものが似合う年齢になったということか。

便利で嬉しいような、ちょっと残念なような気持ちを噛みしめる。


淡いグレーのラメ入りドレス…早い話が全身銀色で

私は新幹線の人となる。

これがほんとのシルバーさんだ。


チャペルでの挙式の後は、やれ風船を空に向かって放せだの

それ皆で両手をハートの形にして写真におさまれだの

全員参加型結婚ショーを楽しんだ。

「結婚さえしたら、二人で幸せになれるんじゃなくて

 二人で苦労できる幸せを知るのが、結婚なんだよ。

 ゴールの設定を間違えるなよ」

な~んて、まだ25才の甥にくどくど言ったって

わかりゃしないだろうから、言わない。


ブーケトスは、花嫁に名前を呼ばれた若い娘さんだけが参加できる。

かわいらしい花嫁はおとなしい人柄のようで、友達も控えめだ。

投げられたブーケが譲り合いの気流を舞い

あえなく地べたに落ちるのを見て、参加権の無い私はほくそ笑む。



帰ったら、喪服に着替えてお通夜。

友人のご主人が、病気で亡くなったのだ。

私より一回り年上の友人は、ここ数年

100才になる実の両親を介護していた。

しかし、ご主人のほうが先になってしまった。


私に結婚はもう無いと思うけど、こっちのほうは“明日は我が身”。

駆けつけずにおられようか。

忙しい一日だった。
コメント (23)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三やす

2013年03月15日 11時25分56秒 | みりこんぐらし

入手しやすい、使いやすい、そして安い…

この“三やす”をクリアしてこそ

私にとっての“無くてはならぬもの”と言えましょう。


左はファイテン・パワーテープ。

貼るだけでいい、エレキバンの進化型みたいなもん。

肩凝りなんか、一発よ。


私はママさんバレーの古傷が元で、時々足がケイレンしていたけど

くるぶしに貼って以来、ピタリと無くなった。

そりゃもう、救われたような気持ちでしたよ。

夜中に激痛で目覚めるのは、厳しいぜ。


何がいいって、確実な効果と、かぶれにくいのもだけど

ドラッグストアで簡単に買えるのと、なにしろ安いのが最高にいい。

これは50枚で1050円の強いやつ。

70枚で735円のライトなタイプもある。

誰にでも効果があるわけではないので、使用は自己責任でお願いします。



右は、資生堂の刷毛(はけ)。

これはお化粧の時、ファンデーションをつけるもの。

いまやファンデをつけるのは、スポンジじゃなく刷毛の時代らしいわ。


隠したい所…それはたいてい目の下から頬にかけてなんだけど

そこはトントンとたたくように乗せ

輪郭や目鼻の回りは、スッスッとなでるようにする。

自然で化粧持ちが良く、仕上がりにムラが無いのが嬉しい。


化粧乗りが悪い?…何のこと?

くすみ?よれ?毛穴?…どちらのお話?

な~んて、おごり高ぶった時代も、すでに過去…

最近、スポンジ制度には限界を感じていたのよね。

塗りたくっても上すべりするだけで、肝心な問題点は隠れず

ファンデーションだけが、みるみる目減り。

肌が悪いのは棚に上げ、ファンデやスポンジを取っかえひっかえしてたけど

道具を変えたらよかったのね。


同窓会で一緒に役員やってる子が資生堂のお店を経営していて

最近は打ち合わせをかねて、そこで買物をすることが多くなった。

この刷毛を勧められ、私の超敏感肌に動物の毛なんぞ!と

最初は拒否したが、使ってみると刺激もなく、いい感じ。

いや、ツラの皮は厚いんだけど、ほんとに敏感肌なんだってば。


ファンデは練り状、パウダー状のどちらでもいけるけど

両方使う場合は、刷毛を2本で使い分けてください。

なんだか高級な毛らしいけど、1本1800円。

専用洗剤もあります。




さて“三やす”と言ったからには、三品ご紹介したいので

義母ヨシコの無くてはならぬものを一つ。




カルピスというメーカー(みんな知ってるか)の「ぐんぐんグルト」。

スーパーで普通に売ってる、ヤクルトみたいな味の飲み物。

子供だましの飲み物というイメージだけど、便秘に良いらしい。

大腸癌の後遺症で、お通じに問題のあるヨシコが絶賛。

大きいペットボトルで、178円。

もしお悩みの方がいらっしゃれば、ダメもとでお試しください。


ちなみに便秘の経験の無い私が飲んだところ、トイレに通う羽目に…。

ただし私は、体温とかけ離れた温度の飲み物や食べ物をあまり口にしない。

単に冷たかったのが原因かもしれないので、追い風参考記録でお願いします。
コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

デリバリー

2013年03月03日 11時17分56秒 | みりこんぐらし

我々家族の天敵といえば、去年までは

会社の経理をしていた夫の姉カンジワ・ルイーゼだった。

今は、親会社の営業社員として我が社へ出向している松木氏だ。


着任して半年余り…彼の仕事の足跡として残されるのは利益でなく

後始末と謝罪。

「うちは忙しいから、別にお宅と付き合わなくてもいいんだけど」

などとと高みから言われて、気持ちのいい人はいない。

商談に「松木さん抜きで」とメンバー指定してくる取引先や

「あの人がいないんだったら行きたい」と事前に確認する来客は

増加し続けている。


数々起きるトラブルの原因は、どうも彼の基本理念にあるようだ。

立場より先に、年功ではなく年齢の序列がくる。

社の内外を問わず、接触する相手は

57才の彼より年下のほうが、圧倒的に多い。

松木氏は、いばり放題というわけである。


そのうち、松木氏に営業をやらせたら手間が増えると知った親会社…

肩書きは営業課長のまま、使い走りや重要でない講習会、説明会の

出席要員をさせるようになった。

だが彼は、そう思ってはいない。

頼りない我々のせいで雑用を増やされ、肝心の営業ができないとぼやく。


夫とは、もはやハブとマングース状態。

松木氏は決して悪い人ではないが、見え隠れする野望は私も感じる。

「あわよくば成り代わって、思うように取り仕切りたい」という野望。

ルイーゼからじっとりとにじみ出ていた、懐かしい空気だ。


塩の効いてない我々を見るにつけ

「自分だったら、ああするのに…こうするのに…」

と、もどかしくなるのも無理はない。

逆に言えば我々のユルさが、彼の野望をふくらませたとも言える。


野望はしょせん野望…現実には、そう簡単にはいかない。

しかしそれが可能だと錯覚してしまうような経験値の低い者ほど

強く抱くのが野望。

夫はこういう感情に敏感である。

同じ野望を持っていた姉を彷彿とさせるからだ。


夫と松木氏は、何度も衝突した。

都合が悪くなると、黙ってパソコンを眺め続ける態度まで

ルイーゼそっくりなので、夫はますます怒り狂う。


私はそれを横目に、ヘラヘラしていた。

いずれカタがつくと思っていたからである。

話し合って理解し合う能力が双方に無い場合

むやみに心を痛めるより、放っておくほうがいいのだ。


もしも夫とルイーゼの果てしなき骨肉の争いを知らなければ

私はなんとか二人を仲良くさせようと

気をもんで迷走する毎日だったに違いない。

ルイーゼは、意外なところで役立っている。



松木氏は今年に入って、親会社にある“デリバリー”という部門へ

時々出向するようになった。

“デリバリー”それは、人材の墓場…。

“デリバリー”それは、工事現場での旗振り…。

“デリバリー”それは、さりげない肩たたき…。


デリバリーは本来、工事現場で安全協力のサービスを行う部門である。

通常、ガードマンを置く義務の無い箇所でも

必要であれば人員を配置し、施工会社として安全の確保に努める。

主に親会社のOBで構成されているが

時に配置転換措置として利用することもある。


松木氏のスケジュールを決めるのは、彼より10才年下の営業部長。

松木氏の基本理念である年齢の序列が原因なのか

デリバリーの才能を見出されたのかは不明である。

「何でオレが!」

松木氏はデリバリー出向の命が下るたび、ブツブツ独り言を言う。



そんな松木氏とのお別れが、近付いている。

「松木!喜べ!栄転だ!」

先日、我らのボスである河野常務が来て言った。

県東部にある生コン会社を買い取ったので、そこへ転勤させるそうだ。


「ちょっと遠いけどな!」

常務は、満面の笑みでのたまう。

ちょっとどころではない…あと数キロで隣の県じゃ。

高速を使うと、かえって遠回りになる微妙な場所。

彼の自宅からは、車で片道2時間半というところか。

「肩書きは…そうだな、工場長にしとくか…ハハハ!」

常務のゴキゲンは“ご危険”だと、松木氏は知らない。


常務はその翌日、1ヶ月の検査入院に入った。

入院前に、この件をきちんとしておきたかったのだろう。

何も言わないけど、ちゃんとわかってくれていたのだ。


実際に転勤するのはもう少し先になるそうだが

彼のハートは、すでに遠くの工場へ飛んでいる。

ついでに我が社に対する興味もどこかへ飛んで行ったので

仕事が順調に進む。


「じきにおさらば…」

この思いは、ハブとマングースの双方に芽生えたようだ。

先日までとは打って変わり、なごやかな関係になった二人。

会社に平和が訪れた。
コメント (19)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする