NSL Network for Saving Lives

マスメディアと研究者による地震災害軽減に関する懇話会

4月例会 阪神・淡路大震災から15年 ”外様”新聞社の阪神・淡路大震災取材

2010-05-19 08:45:46 | 最近のNSLの話題から
 2010年第4回の例会は、「阪神・淡路大震災から15年当時を振り返り今後を考える」シリーズの3回目として、神戸在住以外の方々の視点でお話をお伺いすべく、中日新聞編集委員・小野木昌弘さんをお招きして、「”外様”新聞社の阪神・淡路大震災取材」というタイトルでご講演頂きました。NSL企画グループの関口(フリージャーナリスト&NPOレスキューストックヤード、元中日新聞記者)との対談形式でお話をお伺い致しました。



 小野木さんご自身が当時現地で取材なさっていた経験および、当時ご一緒に取材活動をなさっていた方々からの聞き取り取材等を基に、地震発生時から数日間の詳細な取材活動や、その後の数ヶ月にわたる記事の変遷等についてお話をお伺いしました。
 特に、被災地の外部から取材に入るまでの経緯やその後の被災地での移動等、実際にとられた行動をお伺いすることで災害時に考慮すべき点を何点も知ることができました。
 また、地元紙や全国紙ではない、被災地には情報を配信しない新聞社がどのような情報を配信したかという点にも触れていただき、報道各社の立場による役割の違いという点を考えていく上でも貴重な情報を提供して頂きました。



 ご講演を拝聴して、我々が今後発生しうる地震災害に備えて考えておくべき問題点がいくつか再認識できました。例えば、

・災害時には携帯電話やパソコン等、普段使用しているものが使えなくなる可能性が極めて高い
・記事内容を決定するデスクと、現地で実際に取材する記者との間で、扱いたい記事内容に差が生じることがある

などです。前者に関しては、早急に代替となる取材体制を構築しておくべきと思われます。後者に関しては「そもそも地震による災害報道に関して、いつ、何を伝えたいか&伝えるべきか」という本質的な問題が存在しているように感じられたため、少々時間をかけてでも解決していくべきであると感じました。
 NSLでは、今後の例会等の企画や議論を通じて、これらの問題点に対する一定の解を提示できるよう、引き続き活動していきたいと思います。

[文責]名古屋大学大学院環境学研究科 光井能麻(2010.4.29)
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