12月19日(土)に大阪の関西大学千里山キャンパスで開かれた「第3回 防災・減災と報道の役割 ~社会安全と報道~」で、NSLを紹介しました。このシンポジウムは、仙台メディア防災勉強会、しずおか防災コンソーシアム、NSL(マスメディアと研究者のための地震災害に関する懇話会)、そして減災勉強会 なまずの会(今回の主催者)が参加して行ったものです。
NSLは事務局・五十嵐が、このHPを使ってこれまでの活動などを紹介しました。それぞれの会が、これまでの素晴らしい活動実績を紹介する中、NSLとして、どこにポイントを置いてプレゼンテーションをしようか、かなり迷いました。その結果、NSLの悪い点を敢えて紹介することにしました。これまでの私の取材、ニュース&番組作りで「編集で残った(印象に残る、視聴者への訴求力がある)シーン」は、概ね当人にとって都合の悪い話でした。(当たり前の事ですが、問題点を指摘し解決への糸口を探るのが、私たちの仕事です。)というわけで、敢えてNSLの悪い点をシッカリと紹介しました。良いところは周知の事実ですので、まぁ言わなくてもいいかと。せっかく廣井賞を頂いたのに、こき下ろしていいのか?とも思いましたが、思い切ってやりました。
発表の要の部分を紹介しますと、
<NSLが9年間続いた秘訣>
・名古屋大学が事務局役を宣言しなかった(当然、みな個人として事務局を担ったが・・・・)
・主役はマスコミと行政 研究者は脇役とした
・組織を離れた「やる気有る個人」の自由参加の場だった(アンチ記者クラブ)
・神戸のトラウマと今の危機感を持った複数のキーマンが会にいた
・開催の山・谷を許容し頑張りすぎなかった
・科学的興味を主とせず地域減災のための勉強の場だった
・低調になると皆で悩みを共有する場を持った
・参加者ニーズを大事にした活動だった
・基礎と先端、普遍性と時宜を得たテーマ選択をしてきた
・研究会&飲み会、一日勉強会、夏合宿などでメディア、研究者、行政が役割分担をした
・オフレコ・再取材の徹底がちゃんと守られた
・多数の協働の場の中の「一つの場」でしかなかっための勉強の場だった
と、9年間続いた秘訣を紹介した上で、
<秘訣を裏返すと>
・記者クラブではないので何にも縛られない
・個人で参加しているので参加、不参加は基本的に自由意志
・では無くてもいいかというと、そうでもない
・誰もが必要性を認めながらも「事務局などの運営役を私が引き受ける」となかなか言わない。その理由は本来業務の忙しさ
⇒参加者の甘えに繋がり、開催が低調になった
と、この春から夏にかけて継続の危機をがあった事を明らかにしました。その時、事務局を引き受けた五十嵐が、「気負いすぎでしでかした失敗」と「その解決策」を紹介しました。
<五十嵐の失敗 上記の秘訣への不理解と誤解>
×無理をしてでも例会を定期的に開催しようとした
○⇒その時できることを無理なく続ける
×毎回、新しい話題でNSLを開催しようとした
○⇒基礎・基本的な事を学ぶことも大切
基礎と先端、普遍性と時宜を得たテーマを織り交ぜて開催するのが望ましい
×例会では「極めて基礎的な質問」はしてはいけない。だから新人が例会に居づらくなり、NSLに新人が入ってこなくなる。
○⇒研究者から見ると、メデイァの人間や行政のスタッフが、基礎知識を知らないでいる方が怖い(もちろん知ったかぶりも)
そもそも研究者の先生方は、毎年キャンパスで新入生を迎えていて、そんな事の繰り返しである。分からないことは、その場で聞いて欲しい。
NSLのみなさんには申し訳ないのですが、このような実情を赤裸々に紹介しました。それが長く続いているNSLから、ほかのグループのみなさんへ伝えなければならない、最も大切な事だと考えてのことです。このような各グループの活動報告に続いて、4グループに分かれて、パネルディスカッションを行いました。テーマは以下の通りです。NSLから参加した10人はそれぞれのグループに分かれ、討論を行いました。
1)メディアと行政
2)メディアと専門家
3)メディアと市民・企業
4)メディアと備え
合同シンポジウムに参加したメンバーから、それぞれの感想を報告いただき、このHPで紹介していきたいと考えています。
NSL事務局 五十嵐信裕(名古屋テレビ 報道局ニュース情報センター)