知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

特許発明の特許請求の範囲の明確性-技術思想と権利範囲の両者の表示

2007-04-08 11:20:01 | 特許法36条6項
事件番号 平成17(行ケ)10815
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年03月29日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
重要度 ☆

『確かに,原告の指摘するとおり,一つの免震装置は必ずしも一つの値の荷重しか支承できないように設計・製造されるものとは限らないので,免震装置が生産,譲渡される際には,支承する荷重が定まらず,当該免震装置が本件発明1の技術的範囲に属するかどうかを特定できない場合も考えられなくはないが,特許を受けようとする発明としての技術的思想が明確かどうかと,第三者が免震装置を製造等する行為が当該発明の技術的範囲に属するかどうかは,異なる観点から検討すべき事項である。「物の発明」は,作用,機能,性質,特性,方法,用途等を用いて特定することもできるのであるから,本件発明1に係る請求項1「中空部の容積Ve」を「前記柱状鉛が未挿入であって,前記弾性体に積層方向の荷重が加えられた状態での中空部Ve」として,一定状態で使用された場合の容積としてVeを規定することも可能であり,また,そのような特許請求の範囲の記載に照らし,第三者が免震装置を製造等した時点で本件発明1の構成要件を充足するかどうかの判断が困難であるとしても,そのことから,本件発明1に係る特許請求の範囲の記載が明確ではないという結論が導き出されるものでもない。』

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