ジェノサイド | |
高野和明 | |
角川書店(角川グループパブリッシング) |
9月3日(土)
この本、帯がすごいんです。代絶賛の嵐!つられて買いました。
たしかにスケールが大きい。いきなりホワイトハウスの場面から始まるし、舞台はアメリカ、アフリカ、日本。500ページを越す壮大な作品です。ハリウッド映画になったらいいんじゃないかな。映画で見たら面白いと思う。
本ではどうだったかと言うと・・・3分の1まではすっごくワクワク。3分の1は残虐さとうんちくでちょっとげんなり、残りはなかなか心温まるお話でジーンとくるといったカンジでしょうか。
日本では薬学を専攻する地味な大学院生、研人が活躍。研究者だった父親が謎のメッセージを残して亡くなると、その研究を受け継ぎ、身の危険を避けながら、謎に迫る。
アフリカ、コンゴの奥地で新型のウィルスが発生。壊滅のためのプロジェクト、傭兵のリーダーになったイエーガーには、不治の病の息子がいる。全く違う場所の、交わるはずのない二人が近づいていくのには、とてつもなく偉大な知能が関係してくる。これは人類の危機なのか。
タイトルが「ジェノサイド」(大虐殺)ですから、虐殺シーンが満載です。合衆国の前大統領を髣髴させる大統領もかなりエグイです。こういうのを読むと、どこまでが史実で、どこがフィクションかわからなくなって危険だわ。南京もベトナムもしっかり目を開いて見なくてはいけない事実で、人間の残虐さ(話の中である博士が「戦争は人類の共食い」と表現)から目を背けてはいけないことは重々承知だけれど、そのあたりの表現がなくても十分面白い小説だったんじゃないかなあ。
ラストで、研人が父親から受け取るメッセージがジーンとくる。