Qの読書な日々

大好きな本と、毛糸に囲まれる日々の独り言

ペンギンの憂鬱

2012年03月28日 | 小説(海外)

3月28日(水)

新潮久レストブックスは、どれも実に興味をそそられるラインナップなんだよなあ。

まず、装丁が素晴らしい。なかでもこのペンギンの絵は格別だ。

この一見可愛らしいペンギン、でも女の子とペンギンがまったく違う方を向いているあたりが、物語の暗さを示唆するような、なんともいえない雰囲気を醸し出してますねえ。ブラックなユーモアにあふれた作品でした。

ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)
沼野 恭子
新潮社

物語は冷戦後のウクライナ。

売れない作家のヴィクトルは、動物園からもらってきた憂鬱症のペンギンと暮らしている。新聞に死亡した人の追悼記事を書くようになるが、まだ生きている人の追悼記事をあらかじめ書いておくという奇妙な内容だった。

すると、ヴィクトルが記事を書いた大物軍人や財界人が次々と亡くなり、ヴィクトルのまわりの人々、ヴィクトル自身にも不穏な影が近付いてくる。

次々と人が死んでいくのに、物語は淡々と進む。突然他人の子供を預かったり、ベビーシッターと関係を持ったり、警官の友達ができたりするなかで、愛情や友情のようなキモチがわいているようだけど、過剰に期待しないあきらめ感が漂う。この憂鬱がウクライナかなのか。

 ペンギンのミーシャが象徴しているものを思うと、深いなあ。

ソ連時代がよかったわけではないが、新国家(自由)となって何に向かっていくのか、本来は群れをなして集団で暮らしていたはずのミーシャ(ペンギン)が、動物園の檻から出て、自由になって何を思うのか、そこにあったのは「憂鬱」そして「孤独」。

ラストのユーモアが最高、この1ページで読んでよかったと思わせられた。憂鬱で無気力のなかから「生」に対する図太い根性が感じられる。


007 白紙委任状

2012年03月24日 | 現代小説

3月24日(土)

天気予報では暖かくなるって言ってたのになあ、寒かったんでお家でヌクヌクと読書しました。

007 白紙委任状
池田 真紀子

文藝春秋

数ヶ月待って、ようやく借りられたジェフリー・ディーバー。裏切られる事はなかった。

おそらく世界一有名なスパイ、ジェームズ・ボンドのイメージを損ねることなく、しっかりとディーバーの味も出すというスゴ技な作品になっている。

「金曜日の夜に、数千人の命が奪われる」というメールを傍受したイギリス。あと6日間で計画を阻止しなければならない。イギリス諜報界が選んだスパイは007。舞台はセルビアから始まり、ロンドン、ドバイ、そしてケープタウンへ。世界を駆け巡るボンドは、走り続ける。

やっぱりボンドはかっこよかった。

悪役で登場しているセヴェラン・ハイト、廃棄物処理業者社長がいいキャラだ。朽ちゆくものにしか興味がないという変質ぶりが、なんともディーバーっぽい。

最後が3段階くらいドンデン返しで、これもまた見事なJ・ディーバー。ボンドの生い立ち、両親の謎なんかを盛り込んでくるあたりもニクイ。

ということで、楽しい土曜日を過ごす事が出来ました。

訳者あとがきによると、今年はリンカーン・ライムのシリーズ最新作が出るとのこと!楽しみだ。


完成! カーデガン

2012年03月23日 | 手芸

3月23日(金)

先日完成したカーデガン2枚、写真を撮ってなかった。まずはピンクの編込み。

完成しちゃうと反省ばかりで、前立てが歪んでるなあとか、袖がやっぱり長かったよなあとか、

そもそもこのメロウなデザイン、私が着るのか?etc.

出典はこちら↓↓↓

永遠の定番ニット
日本ヴォーグ社

日本ヴォーグ社

 

使用糸:リッチモア パーセント 

     本ではベージュが120G3玉とありましたが、全く足りないです。4玉使い切りました。 

続いて、先日編んだ三國さんのアランのカーデガン第二弾。

使用糸:パピー ブリティッシュエロイカ178 13個

同じデザイン二枚目なので、反省点を生かし、うまくまとまったと思います。(残念ながら母のものなんですが・・・)

1枚目は袖の編み方がゆるくなってしまい、必要以上に糸を使用して足りなくなってしまったのですが、そこをきっちり編みました。

複雑な模様に見えますが、意外と簡単で編みやすい模様です。

袖がラグランで減らしが難しそうですが、ずっと2段ごと1目減でよいので楽ちん。三國さんのデザインが本当によく計算されていて、素晴らしいんだと思います。

出典はこちら↓↓↓

編みものワードローブ
スタイリング : 岡尾 美代子,横浪 修,中辻 渉
文化出版局

おじさん図鑑

2012年03月21日 | 書評、エッセイ
おじさん図鑑
なかむら るみ
小学館

3月21日(水)

不思議な本ですねえ。なんとも面白いですよ、これが。かなり笑えます。

巷ではとても人気だそうで、テレビでも紹介されてましたし、本屋の入り口付近に平台だったので、購入。実は「おじさん」に売れているとのこと。

「たそがれるおじさん」「お疲れのおじさん」「怪しいヘアスタイルのおじさん」「おじさん基本の帽子」etc。いるいる、こういうおじさん。作者のなかむらさんの観察眼がすばらしく、イラストがとても微笑ましい。(8月 新宿区)とか、(11月横浜市中区)などと場所が書いてあるので実際に見かけた方なんでしょうねえ。

細かくて、絵も字もびっしり書いてあるので、読むというよりはまさに図鑑。ふと気になったところを開いて見るという感じでしょうか。

 「酔っ払いのおじさん」のくだり、「注意!O型のおじさん!O型のおじさんは普段は温厚なのだが、何かを我慢しているらしく酔うと悪酔いする人が多い。」

そうか、私はO型のおばさんだから悪酔いすることが多いのか・・・と妙に納得したのであります。


傍聞き

2012年03月15日 | 現代小説

3月15日(木)

3月も折り返し。新生活が始まるわけではないけど、なんとなく落ち着かないような、ウキウキなような、う~ん、春ですねえ。

 長岡弘樹さん、初めて読みました。、「傍聞き」有隣堂で平台一面積んであって、大きなPOPにつられてつい買いました。双葉文庫ってがんばってますねえ。沼田まほかるさんの「猫鳴り」も双葉さんですもんね。

傍聞き (双葉文庫)
長岡 弘樹
双葉社

短編が4本。消防士、刑事、更生保護施設の職員。自分を犠牲にして他人を生かす職業の方たちが主人公のお話です。

 みんなどれもよく出来たお話でした。途中ググーッと疑いがかかってるけど、ラストで一気にいい人になっちゃう。悪くないけど、ちょっと物足りない。いい話だけど、泣けるほどではない。

それは短編ミステリというジャンルがそういうものなんだろうと思うのです。「相棒」も面白いけど、1時間ものよりスペシャルか映画のほうが好きだなという感じで。好みの問題です。

お風呂につかって一話ずつ読むにはとても適していたし、通勤電車なんかもよく合う1冊ではないでしょうか。

 

さて、次に読み始めたのが石井光太「物乞う仏陀」なんですが、タイミング良く昨日のNHKBS1のエルムンド、ゲストが石井さんでした。

写真でしか石井さん見たことなかった。そしてやはり紹介していたのは最新の著書「遺体」。

遺体―震災、津波の果てに
石井 光太

新潮社

 

震災関連の書籍はまだ読んでいないので、これは心に留めておこう。