のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

寒い歌

2008-02-24 | KLAUS NOMI
ええ、もちろん
「やれやれ、またノミ話か...」とお思いのかたは
記事内容はお読みいただかなくてもけっこうでございます。
しかし
当記事一番下の(即ち、4番目の)リンク先だけは、ぜひとも見ていただきたいのでござます。


それはさておき

寒い。
寒い。
寒いよう。

寒いのは嫌でございますよ。
しかし、暖冬というやつはワタクシ、もっと嫌なんでございますよ。
がっちり寒い冬があってこそ、春の喜びもあろうというものです。
ぬるい冬なんて、甚だいただけません。
その点、今年はしっかり寒くなりましたし、雪もけっこう降りましたし
冬らしくて、大変よろしうございました。
ここはひとつ、行く冬を惜しんで

寒い歌
寒い歌
もひとつおまけに寒い歌

申すまでもないことではございますが
バックに流れておりますのは全てクラウス・ノミの歌う「Cold Song」でございます。
皆様いろいろご意見はございましょうけれども
ワタクシは3番目のやつが、1番よろしいと思うのでございますよ。
即ち女性が黒髪を振り乱して躍る”Der Tod und das Madchen”(死と乙女)と題されたパフォーマンスでございます。

上の2つのパフォーマンスが悪いと申しているのではございません。
しかしこの荘厳な曲、そしてこの歌声には
ペアでの演技や感傷的な演出は、あんまり似合わないと思うのでございますよ。

他のカウンターテナーの歌声ならばいざしらず
クラウス・ノミの歌声でございますもの。

自らがアーティストであると同時に「見世物」であることをはっきり意識して
かくまで真面目に、かくまで馬鹿馬鹿しく、かくまで美しく道化を演じてみせた
他ならぬクラウス・ノミの歌う「Cold Song」でございますもの。
演技者は「きれいさ」や見栄えのよさを放棄する覚悟で、
しかもたった一人きりで、舞台にのぞむべきであろうと
ワタクシは思うのですよ。

”Der Tod~”の、このパフォーマンスは
踊り手の高い技術と身体能力を示す端正な動きを、随所にひらめかせながらも
やぶれかぶれな、なりふりかまわぬような、痙攣的で暴力的な動きが全体を支配しており
一般的な「きれいさ」からは逸脱しております。

この端正さと暴力性という相反する動きの併存が、鑑賞者に緊張を強い
あたかも傷口から流れ出る血のように、痛々しく鮮烈な印象を
心に刻みつけるのであろうと、のろは思うのでございます。

この鮮烈な痛ましさ、そして、高い技術と能力に裏打ちされた上での「きれいさ」からの逸脱。
これらの要素が、「Cold Song」におけるクラウス・ノミの歌声に
とてもよく合っていると思うのでございますよ。

そうそう、
つい先日のことでございますが
バレエダンサーのウラジーミル・マラーホフさんというかたもまた
来日公演で、ノミの「Cold Song」をお使いんなったようでございます。
どんな踊りをなさったのでございましょうねえ。
のろは舞台を見ることはできませんでしたけれども
しめしめ、これで更にヤツの認知度がズズイと上がったことであろうぞ、と
一人ほくそ笑んでおります。


さて
初めに申しましたように、今年はのろの暮らす京都でも、けっこう雪が降りました。
本日2月24日、もはや弥生3月も間近でございますが
今朝もまた、カーテンを開けたら外は真っ白でございました。
降り納めの雪でございましょうかねえ。
日中もずいぶん降りましたけれども
日の光りを浴びてちらちらと輝く雪は、なんだか一生懸命に降っているようで
いっそうはかなげな美しさをたたえておりました。

去り際に輝きを見せた今年の冬にならって、今回のノミ話も
一生懸命ではかなげな美しさをたたえたこちらの動画をもって
締めくくりとさせていただきます。


この人の瞳ときたら
本当に
ああ
なんと申してよいやら。




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