のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

糖度14.8度も夢じゃない

2009年07月31日 | 梨の出荷
30日は出荷組合の幸水査定会。
共同出荷するための目合わせです。
やはり肥大はよいものの、
例年より早めに出荷できそうとのこと。

糖度や食味もチェック。
試しにわが家から持ち込んだナシの糖度も測定してみると
14.8度!
13度程度あれば合格といわれている幸水です。
ただし、食感がちょっとおかしい。
種がまだ白いというのも未熟な証拠です。
どうやらモンパ病にかかった樹の実で
生育中にストレスがかかったために糖度もあがったのかもしれません。

でも、他の実を試食してもこの時期としては甘い気がします。
日照不足が生命存続の危機レベルのストレスというわけではないでしょう。
生産者としては土づくりの効果がでているといってほしいのですが。

SHONANハニーに幻霜ポークは柏発

2009年07月30日 | 農のあれこれ
28日は柏市行政幹部、県指導機関と
市内指導農業士との交歓会「柏市の農業を語る会」。
今年で15回目?
毎年1名から3名程度の市内農業者の経営の現場に出向き、
行政幹部に農業への理解と農業振興をお願いする場です。

今年はトマトの養液栽培による周年直売をしているHさんと
牛と同じような霜降りの肉が特徴の養豚経営をしているTさんを訪問。

Hさんは平成8年にトマトの水耕施設による水平放任栽培に経営転換。
水平放任栽培というのはナシのように棚の上にトマトを這わせ、
一本のトマトで一年以上、数千個の実を収穫しようというもの。
10aあたり20本のトマトで棚を埋めてしまうそうです。

つくば万博で展示されていた鈴成りのトマトを覚えていますか。
あの技術を応用した農法とのこと。
Hさんは3人目に導入。
現在、全国で100人ほどの方が導入していて、
会長として年に2回、技術交流しているそうです。

ハウス2棟を使って、それぞれ、年に一作ずつ、
1棟は冬春作、もう一棟は夏秋作にして周年栽培しています。
通常、施設栽培では気温の上がる夏はトマトが切れるのですが、
水耕の水温を冷却することで真夏の収穫も可能にしたとのこと。

収穫したトマトは全量、経営参加している道の駅直売所に出荷。
直売所での通年トマト販売により消費者の要望に応えています。
また、養液を調整し、糖度を9から10度ぐらいにあげることでも
お客様の信頼を得ています。
「SHONANハニー」のブランドで販売しています。


Tさんの「幻霜ポーク」は大手メーカーからも引き合いがあるとかで、
ブレーク寸前の柏発のブランド豚。

繁殖・肥育の一貫経営の養豚農家でしたが、
自分で開発した畜舎の冷却装置「ミストファン」で特許取得。
その営業で訪れた広島で飼われていた豚の肉の霜降り具合に惚れ込み、
平成15年に導入。
エサにこだわり、
DNAレベルまで検査して優良系統を作出するなどして
ようやく安定供給できるようになったといいます。

うまみ成分のグルタミン酸が普通の豚の2.5倍。
デパートの精肉コーナーでは約2倍の価格でもすぐに売れてしまい、
なかなか手に入らないようです。
この意味でも幻の豚肉のようです。

視察後の懇談会で「幻霜ポーク」をはじめていただきましたが、
たしかにおいしい。
とても豚肉とは思えない味わいです。

柏にもまだまだ元気な農家がいるものです。

そいつらはさすがのおいらも食えねえな

2009年07月29日 | 夏の梨畑
ナシ畑では最後の見回り、樹上選果をしています。
この作業はこのまま置いておくと
出荷できない果実まで熟して収穫することになるので
畑で選りすぐってしまうという作業です。

いまさら落とさなくともと思われますが、
傷ついていたり、小さかったりの実です。
収穫出荷作業の能率に結びつきます。
そのうえ畑全体を見回し、点検するという役割もあります。

そして、見つけてしまいました。
ハダニの寄生です。

減農薬に取り組んで十数年。
ハダニ攻略は天敵のハダニを温存するために
殺ダニ剤を使用しないことと悟り、実践してきました。
その結果、ここ数年は殺ダニ剤を全く使用しないで
ハダニの被害を防いできたのですが、
今年は減農薬を始めて最大の被害です。

ハダニは水に弱いといわれます。
今年は雨が多いからと油断していました。
なぜこれほど寄生してしまったのか。
もしかしたら日照不足で葉がうすくて
ハダニが寄生しやすい状態になったのでしょうか。

なにをぼんやりしてんだ

2009年07月26日 | わが家の時時
ユニークな発想法「KJ法」やヒマラヤ探検で知られる
文化人類学者のKJ先生が7月8日に89歳で亡くなられました。
25日にお別れの会が開かれましたので、
学友たちと参列してきました。
(写真はビールでのどをうるおしながら大学の最終講義をした様子を
紹介した84年2月18日の新聞記事)

京都学派の流れをくむ先生の活躍された分野は広く、
三高山岳部から日本ネパール協会、KJ法学会と多くの参列者の中で、
われわれが一番若い参列者だったようです。

多くの方々から弔辞があり、
それぞれがまた味わい深いものでした。
「本当は先生はネパール人で、
お釈迦さまがネパールを救いなさいと派遣されたのではないか…」
「やらないで後悔するよりやった方がよいと常々おっしゃっていた…」
「現代の問題を打破するには
仏教とKJ法で解決できるのではないかと話していた…」
なるほど、参加者の意見を否定しないKJ法ならではの逸話です。

地理学徒の縁で、
指導教官の一人になっていただきました。
KJ法は残念ながら「らしきもの」レベルで終わってしまいましたが、
徹底的な現場主義、
「問題解決のカギは現場にある」という先生の教えを
結果として、たどっているのかなという感慨を覚えました。

「なにをぼんやりしているんだ。
いつかまた、そう、後ろから声をかけられそうだ」
これは幼馴染?の方の弔辞の一節ですが、
参列者一同、おなじ思いだったのではないでしょうか。

気がつけば緑陰薄き夏が行く

2009年07月25日 | 夏の梨畑
西日本では記録的な集中豪雨がおこって
土砂崩れや冠水など多数の被害が出ているようです。
北からも夏山遭難のニュースや
ジャガイモが不作で値上がっているというような噂が
流れてきます。

関東も梅雨明けというのは勇み足だったような日々。
周りでは早生種のコメは旧盆明けには
稲刈りができるのではという話が出回っています。
早くとれる年に豊作はないということも。
例年より1週間ぐらい早いようです。

ナシも照葉樹らしく濃い緑色になる葉が
全県的に、少し薄口になっているようです。
気温も水分も足りてはいると思うのですが、
春からの日照不足が影響しているのかもしれません。
天に唾してもしようがありません。
最善の方策をとるだけです。

先日、出されたお天気の3か月予報では
8月は全国的に例年より低温傾向とか。
空を見上げる日々が続きそうです。

手賀沼トラストハンドブック

2009年07月24日 | わが家の時時
99年2月28日、手賀沼トラストという市民団体が発足しました。
そして、今年は10年目の節目を迎えています。
これまで何をしてきて、どこまで到達したのかを確認するため、
ハンドブックという名の10周年記念冊子を作成しました

前半は手賀沼トラストの活動の紹介、
後半は中心的事業である「農教室」の講習内容のポイント。

手賀沼周辺のライフスタイルの一つの提案として
また、考えるきっかけとして活用していただけたら
幸いです。


原稿作りには多数の会員の皆さんが関わっています。
活動紹介の各項目ごとにはプロジェクト担当の会員が、
農教室の作物ごとにもそれぞれの講師陣が
文責者となっています。
さらに、
活動フィールドの鳥瞰図や作物のイラストはIさん。
写真はブログも担当しているTさん他のみなさん。
編集作業にはKさんに力を発揮していただきました。
表紙等を飾る絵画は昨年夏に急逝された
元代表のHさんの作品。
快く使わせていただいた奥さまに感謝します。

そして、限られた予算の中で予算以上の成果を出していただける
デザイナーのAさん
いつもお人柄に甘えてしまい、申し訳ありません。
今回もいいものが完成しました。

関係機関やこれまでお世話になっている皆さんには
現在、お届けしている最中です。
近在の自治体の図書館にも寄贈させていただきます。
見かけましたならぜひ手にとってみてください。
もし遠方の方で手に入れたいという方がいらっしゃれば
ご連絡ください。
たいへん恐縮ですが、
一部500円(送料込み)にてお分けします。

小雨のち天体ショーの昼上がり見える見えないもまた運次第

2009年07月22日 | ネイチャースケッチ
ほら、左下が欠けているのがわかりませんか。
わざわざ写真の端に持っていったのではなく、
まぶしくてレンズの中央に入らなかったのです。

小雨が降っていてこりゃだめだなと
何回も空を見上げていました。
諦めてお昼にあがるときにもう一度見上げると、
雲の隙間からうっすらと欠けている姿が見えました。

見えたり見えなくなったりしながら欠けた部分は小さくなり、
また雲に隠されていきました。

皆既日食を見ると人生観が変わるとかいいます。
天体ショーに心奪われ、
いっときでも浮世を忘れられたのはよかったと思います。

でも本当にリセットしたいのはこの天気。
またしばらく梅雨空が続くようで、
農作物の生育に影響がでなければいいのですが。

百合咲くや白百合だけが百合でなし紅香る君ここに咲く

2009年07月20日 | ネイチャースケッチ
今年のナシのDMを16日に発送しました。
おかげさまで今年も多くの方から
ナシのご注文をいただいております。

もちろん早い時期にご注文をいただく方の多くは
早生種の「幸水」をご指名ですが、
11月に近い晩成種の「王秋」を
「できるだけ遅い時期に」という注釈つきでの
ご指名もいただいています。

そのお客様には昨年、試みにお送りしたのですが、
評判はよかったようです。

小売店の店頭では「幸水」ばやりですが、
こんな品種もあると紹介させていただき
それに応えてくれる方がいらっしゃるというのも
生産者冥利に尽きるというものです。


各地で大雨や低温傾向など、天候不順が続いておりますが、
関東は一応、梅雨明けだそうで、
現在のところ、ナシの生育は順調です。
心配していた黒星病も収まったようですし、
例年よりすこし早目に収穫できるかもしれません。

年間15万円は高いか安いか

2009年07月19日 | 農のあれこれ
モクモク手作りファームの貸し農園「農学舎」は
伊賀市郊外の丘陵地にありました。
正面奥の左側が貸し農園地区、右側が直営農場、
中央右の白く光る屋根の建物がクラブハウス。

周りは戦後開墾された開拓地だったのでしょうが、
高度利用されている農地は少ないようでした。
先日紹介した滋賀県の「ソラノネ」も丘陵地の開拓地でした。
農業へ新規参入したい人たちの
大規模な農舞台だってこんなところにあるようです。



農学舎では1区画8m×8mの64㎡。
堆肥は無料。
鍬からトラクターまで農機具も貸してもらえます。
水遣りも自動的に行われます。
もちろん無農薬の野菜づくり講習会も用意されています。
隣の直営農園スタッフが常駐していますから
初心者でも安心です。



そして一番の特筆ものはクラブハウスでしょうか。
天井が高く広々としたロビー。
ホームパーティもできるキッチンダイニング。
農作業の汗と疲れをとるジャグジー。
ロッキングチェアーの置かれたテラス。
暖炉のある読書スペース…。
どこかリゾートホテルのような風情があります。

利用料金は、ひと月12,500円。年間15万円だそうです。

たまたま農園にいた複数の会員の方にお話を伺いました。



「どちらからいらしているのですか」
「西宮です」
週に二日、木曜日と日曜日。
日曜日には家族ときて、
クラブハウスで提供される昼食をいただくのだそうです。

「年間15万円という料金は高くないですか」
「高速代やガソリン代を使っても
この清々しい空間とあのクラブハウスを十分に使えるのだから
高くはないですよ。
パチンコやゴルフへ行けばこんなものでは済まない」
畑も2区画を借りていて、どちらにも立派な野菜が育っていました。



もう、ひとかた。ご夫婦のようです。
畑外の隣接した共有部分の雑草取りをされていました。

「どちらからですか」
「すぐそばですよ。車で10分ぐらいかな」
「なぜ、こちらの農園を選んだのですか」
「無農薬栽培ということですね。
家の近くでも貸し農園はあるけれど
隣の方と農薬使用のことでごたごたしている
という話を聞いたことがあります」



150区画用意されていますが、
残念ながらまだ全部は埋まっていないそうです。
農学舎チーフのMさんによると
料金を安くすれば埋まるかもしれないが、
簡単にいえば、いっしょにクラブを作っていける
お客様を選ばせてもらっているといいます。

手作りの里で働く140人平均年齢30歳

2009年07月14日 | 農のあれこれ
7月1日の琵琶湖紀行の続きです。
翌2日は伊賀の里へ。

伊賀といえば忍者。忍者といえば、かつては影丸。
でもいまは「モクモク」。 

伊賀の里モクモク手作りファーム」は
朝日農業賞やら日本グリーンツーリズム大賞やら
日本農業賞やらの受賞を重ねてる全国区の農業公園。
あちこちで紹介もされていますし、
最近でも『現代農業2009年8月増刊 農家発若者発グリーンニューデール』で「共同的精神を礎に究極の地場産業で雇用を創出」というタイトルでレポートされています。

近くまで行くんですから、まあ寄らねばなりますまい。

事前にHPをみていたら
「視察受け入れはこちら」とありまして、
一人500円の費用で説明をしてくれるといいます。
この費用、入園料に充当してくれますので、
実質無料でスタッフが業務概要を説明する時間をとってもらえます。
夫婦二人旅ですが、図々しく農業視察として前日に申し込みました。

対応してくれた理事のMさんは
お若いのでしょうが、切れ者といった感じ。
慣れているのか、忙しかったのか、
まあ両方でしょうが、てきぱきとポイントをお話くださいました。

キーワードは「コミュニケーション」

「養豚農家がどう生き残るか」から食肉加工に取り組む中で、
情報発信の重要さを確認。
手作りウインナー体験教室の成功がきっかけで
バーベキューのできる場を用意しなくちゃ、
バーベキューならビールも必要、
ついでに材料の野菜も作ろうと業務を広げてきたこと。

ただそれもニーズに応じて展開してきたのでなく、
お客さまとの交流の場、共感の場づくりを目指してきたこと。
固定顧客をネイチャークラブメンバーとして扱い、
さまざまな情報発信をしていること。
たとえば、野菜など有機栽培にはこだわらない。
お客様が納得していただけることが大事。

その際、ブランドとしての付加価値をつけるために
ネーミングやパッケージに配慮してきたこと。
そのために社員として6人のデザイナーを抱えていること。
たしかに園内の案内板や各種チラシ、通信などに
イメージとしての一体感を感じます。


農産物直売所内のポップ

社員に対しても資本家と雇用者という関係ではなく、
みなが同じ立場で互いに助け合っていく
協同組合精神を基に事業を進めていること。
なにか新しい事業を始める場合にはプロジェクト化すること。
たとえば豆腐事業を始める際には
やる気のある社員が数か月修行にでかけ、
そのまま事業の責任者になったり。

1987年に発足して20年あまりの現在、
生産、加工、交流の場づくりを担う「モクモク手作りファーム」、
通信販売等、流通を担う「農業法人モクモク」、
名古屋や津などで直営レストランを展開する「株式会社伊賀の里」、
リサイクルや地域活性化支援を担当する「モクモクネイチャーエコスシテムズ」、
地域活性化ノウハウや特産品づくりを支援する「モクモク農村産業研究所」というコンサルタント業務を担う組織まで業務展開。


農業生産部のポスター

生産からモノづくり、販売、サービス、宿泊、食農学習、貸し農園と
常に農業の新しい可能性に挑戦しているモクモクには
全国から入社希望者が集まっているそうです。
職員の平均年齢は30歳。
社内結婚率も高くて今年時点で35組の社内カップルが
誕生していることも自慢です。

この活気溢れる雰囲気には圧倒されます。
全国から視察が来るのもうなづけます。
ただ、
キーコンセプトの「コミュニケーション」を共通に
モクモクをそのまま全国各地に移植しようとしても
それぞれの場所でコミュニケーションの仕方が違うことも
想定されます。
都市近郊の「かしわ」流、あるいはわが家流の仕方は
なんだろうと考えさせられました。

夕焼けに気分の晴れぬ夏が来る

2009年07月13日 | 今年の米づくり
もう梅雨が明けたかのような久しぶりの夕焼けでした。

でも、政局はもうひと月以上先にならないと
新たな展開が開かれないようなことになっているようで…
夏休みが来る前に
世の中を覆う閉塞感が消え去ることができれば、
もっとお金が回ってもいいかなとおもえるのでしょうが。



さて、今頃の田んぼは
出穂を前に稲が勢いづいているのですが、
イモチあるいはカメムシの防除期になっています。
当地では数日後にリモコンヘリコプターによる
共同防除が行われる予定です。

環境への配慮から農薬の空中散布を止めた近隣からは
カメムシの被害粒(黒い斑点米)が
多くなったという声が聞かれ、
各自で防除するよう通達が出されています。

実は薬散による防除以前に
カメムシの好きな雑草の種子がつかないよう
田んぼ周りをいつもきれいにしておくことが大事でして、
そのことの知っている農家によって
畦の草刈り作業があちこちで行われています。

そういえば、
佐渡の田んぼの畦の草はきれいに刈られていました。
段差のある法面を守るためもあったかもしれません。

当地ではそうもいかず、
草刈がされている畦、
手間を省くために除草剤を散布してある畦、
なんの手も入れていない畦と様々です。

除草剤ならひと月はきれいでいますが、
刈り払いだと今頃なら半月でしょうか。
人間が手間を惜しんでいる間に、
雑草も負けずに種子を短期間で作るようになります。

はてさて、田んぼの中だけでなく、
田んぼの周りの畦でも雑草との競争です。

サステなフリーマガジン sus+eco

2009年07月12日 | わが家の時時
大学生による大学生のための
持続可能な社会を創るための行動を
おしゃれにわかりやすく提案するフリーマガジン。

わが家の長女がこの春から参加している
学生サークル「学生団体サステコ編集部」が編集する
『susteco』no.8が先日、発行されました。

全国大学生環境活動コンテスト、略してエココン。
その2006年のコンテストでグランプリと環境大臣賞を受賞したという
実績があるとはいえ、
今年の春の新メンバーは一人だけ。
さっそく提案した企画が通って、紙面に反映されています。
なにはともあれ、メデタイ。

このフリーペーパ-の活動理念の特徴は
回し読みを勧めていて、最後は回収していること。
発行部数は5000部ですが、1部を5人で読み回せば25,000人が読者に。
同じ情報量でも消費する資源は5分の1で済みます。
そして、人の手を渡り歩いた冊子を回収し、
集まった数に応じて植林を行っているとか。

全国40近くの大学で無料配布されています。
お知り合いの大学生に紹介していただけたら幸いです。

タニシまで頼み草とる有機米

2009年07月10日 | 農のあれこれ
琵琶湖紀行その3

湖西・高島市の「ソラノネ」からの帰り道、
まだ日が高かったので鮒ずしでもお土産にしようかと、
琵琶湖大橋を渡って近江平野を走りました。
ふと、民間稲作研究所のイベントでお世話になった
Nさんがこのあたりで有機米作りをしていたはずだと
思い出しました。

突然のことなので
住所を頼りに田んぼだけ見せていただきました。



立派な乾燥備蓄施設のある屋敷の前に
Nさんの田んぼが広がっているようでした。
なぜNさんの田んぼとわかったかといえば、
JAS有機やら環境保全米の認定票が一枚一枚の田んぼに
表示されていて、なるほどここが有機田んぼで
こっちが減農薬田んぼと案内なしでも一目瞭然。



さすがNさん。有機田んぼなのに雑草一本生えていない
と感心して見ていましたら、
稲苗が薄くなっているあたりの様子が変です。



田んぼの中に石ころのようなものが転がっています。
それにあちらこちらにピンク色したものが(タイトル写真)…
初めて見たのですが、
どうやらこれが噂に聞くジャンボタニシのようです。
ピンク色したジャンボタニシの卵も初めてみました。

一般には害虫として防除対象となるのですが、
Nさんは稲苗を多少犠牲にしても
抑草効果を期待してるのかもしれません。

水田が広がる中の道を走っていると
「農作業請け負います  ○○農産」
というような看板が目につきます。
一事業者だけではありません。
複数の業者が競って請負耕作をしているようです。



そして、緑色した田んぼが消え、
一面、こげ茶した麦の刈り取り跡が広がっていました。
ブロックローテーションで集団転作しているのか、
二毛作しているのかは確かめていませんが、
水田を有効活用しているのには違いありません。

人手がなく田んぼが雑草に覆われてしまう前に
新たな担い手に委託するという仕組みが出来上がっているようです。

食べたり学んだり遊んだり、新しい場所でする

2009年07月09日 | 農のあれこれ
ブルーベリーフィルズ紀伊國屋の山のレストラン、
「ソラノネ」は湖西線安曇川駅から西方の高台にありました。

琵琶湖に面した平地から斜面を登るとまた平らな土地になって、
はじめは草地、そのうちに畑が広がり、
まっすぐな道の両側に点々と家並みがみられます。
典型的な開拓集落といった風情です。

小さな看板の先をみると、
物置小屋のような堆肥舎のような(失礼)デザインの
新しい建物が見えます。



円弧を切り取ったような建物が二棟。
まず目につくのが腰壁からうえの壁のない建物。
こちらが竃(かまど)棟のようです。
中をのぞくと、見慣れないかまどが4,5台並んでいます。



このかまどは三層式になっていて、
少ない燃料(薪)で炊飯、湯沸し、オーブンの3つの機能を、
1つの炊き口でこなすことができるとか。
「愛農かまど」と呼ばれるそうです。

ソラノネではこのかまどで炊いたご飯を食べられるだけでなく、
自分で作って食べられるメニューも揃えています。



斜め向かいの、やはり円弧を切り取ったような建物が
レストラン棟のようです。



テーブル席と、板の間席、オープンデッキと、
さまざまな趣向の場が用意されていました。
ソラノネがただの食堂ではないことがうかがわせます。
7月にはウエディングパーティも開かれるそうです。



オーナーのMさんによると、
この土地にはじめて訪れたとき、
姿が見えないけれどそらからヒバリの鳴き声が聞こえてきたといいます。
そんな環境で食べて学んで遊んで、リフレッシュできる場にしたい。
そこから空の音→ソラノネとなったそうです。

ソラノネでは調理の原点、かまど体験ができるほか、
隣接した畑でのブルーベリー摘み取り体験や
有機農業塾のメニューまで用意されています。

戦後開拓された農地には遊休地になっているところがあって、
そこへ若者たちが新規参入・新規就農する事例が増えてるようです。
それを「戦後第二の入植」と呼ぶとか。
ソラノネはレストランですが、
ブルーベリーフィールズで必要なブルーベリーを栽培する農園が
本来の目的。
りっぱな新規参入です。

かまど炊きされる米や有機農業塾の講師は
地元で有機稲作をしている
のんきぃふぁーむ
さんにお願いしているといいます。
きちんと地元と連携をとっているというのが
新規参入・新規就農の新しいモデルなのかもしれません。