7月1日の琵琶湖紀行の続きです。
翌2日は伊賀の里へ。
伊賀といえば忍者。忍者といえば、かつては影丸。
でもいまは「モクモク」。
「
伊賀の里モクモク手作りファーム」は
朝日農業賞やら日本グリーンツーリズム大賞やら
日本農業賞やらの受賞を重ねてる全国区の農業公園。
あちこちで紹介もされていますし、
最近でも『現代農業2009年8月増刊 農家発若者発グリーンニューデール』で「共同的精神を礎に究極の地場産業で雇用を創出」というタイトルでレポートされています。
近くまで行くんですから、まあ寄らねばなりますまい。
事前にHPをみていたら
「視察受け入れはこちら」とありまして、
一人500円の費用で説明をしてくれるといいます。
この費用、入園料に充当してくれますので、
実質無料でスタッフが業務概要を説明する時間をとってもらえます。
夫婦二人旅ですが、図々しく農業視察として前日に申し込みました。
対応してくれた理事のMさんは
お若いのでしょうが、切れ者といった感じ。
慣れているのか、忙しかったのか、
まあ両方でしょうが、てきぱきとポイントをお話くださいました。
キーワードは「コミュニケーション」
「養豚農家がどう生き残るか」から食肉加工に取り組む中で、
情報発信の重要さを確認。
手作りウインナー体験教室の成功がきっかけで
バーベキューのできる場を用意しなくちゃ、
バーベキューならビールも必要、
ついでに材料の野菜も作ろうと業務を広げてきたこと。
ただそれもニーズに応じて展開してきたのでなく、
お客さまとの交流の場、共感の場づくりを目指してきたこと。
固定顧客をネイチャークラブメンバーとして扱い、
さまざまな情報発信をしていること。
たとえば、野菜など有機栽培にはこだわらない。
お客様が納得していただけることが大事。
その際、ブランドとしての付加価値をつけるために
ネーミングやパッケージに配慮してきたこと。
そのために社員として6人のデザイナーを抱えていること。
たしかに園内の案内板や各種チラシ、通信などに
イメージとしての一体感を感じます。
農産物直売所内のポップ
社員に対しても資本家と雇用者という関係ではなく、
みなが同じ立場で互いに助け合っていく
協同組合精神を基に事業を進めていること。
なにか新しい事業を始める場合にはプロジェクト化すること。
たとえば豆腐事業を始める際には
やる気のある社員が数か月修行にでかけ、
そのまま事業の責任者になったり。
1987年に発足して20年あまりの現在、
生産、加工、交流の場づくりを担う「モクモク手作りファーム」、
通信販売等、流通を担う「農業法人モクモク」、
名古屋や津などで直営レストランを展開する「株式会社伊賀の里」、
リサイクルや地域活性化支援を担当する「モクモクネイチャーエコスシテムズ」、
地域活性化ノウハウや特産品づくりを支援する「モクモク農村産業研究所」というコンサルタント業務を担う組織まで業務展開。
農業生産部のポスター
生産からモノづくり、販売、サービス、宿泊、食農学習、貸し農園と
常に農業の新しい可能性に挑戦しているモクモクには
全国から入社希望者が集まっているそうです。
職員の平均年齢は30歳。
社内結婚率も高くて今年時点で35組の社内カップルが
誕生していることも自慢です。
この活気溢れる雰囲気には圧倒されます。
全国から視察が来るのもうなづけます。
ただ、
キーコンセプトの「コミュニケーション」を共通に
モクモクをそのまま全国各地に移植しようとしても
それぞれの場所でコミュニケーションの仕方が違うことも
想定されます。
都市近郊の「かしわ」流、あるいはわが家流の仕方は
なんだろうと考えさせられました。