のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

女ががんばる都市近郊酪農(のらやま通信255/1602)

2016年04月28日 | 農のあれこれ

 とうかつ女性農業者ネットワークという千葉県北西部東葛飾地域の農家の女性達の集まりがあります。母はそのグループのメンバーで、年に数回の集まりを通じて地域の仲間たちと交流・学習をしています。冬は比較的時間がとれることから、先日、東葛飾地域の農家2軒と1事業所の見学に行きました。今回、母として私がうれしかったのは、オヨメと一緒に参加できたことです。同じものを見てきいて何を感じてくれたか、若い女性の感覚であちらこちらの農家女性の姿をみてほしいと思いました。
うかがったのは船橋市のM牧場。女性オーナーがきりもりしていました。年のころ40代前半?先代はとなりの鎌ヶ谷市で酪農と梨の複合経営をしていたそうです。牛の排泄物を堆肥にして果樹を育てるという循環農業でしたが、住宅地の増加に伴って気をつかうことが増えていたそうです。そのころ長女のMさんは1年間ヨーロッパの酪農家で研修をし、そこでの経験がその後の彼女の進路を決定づけたそうです。鎌ヶ谷市から船橋市へ移転し、ヨーロッパの機械を導入して牛を飼う酪農をはじめました。
搾乳、乳搾りは朝と夕方の二回。牛にえさを与え、糞尿の始末もして堆肥にする。人間より大きな体の牛を相手にするのだから仕事の大変さは想像できます。でも、たいへんであろう日々の仕事をこえた、なにものかに達成感と充足感を感じるのだろうなと彼女の話しぶりから感じました。要するに『牛がすきなのね』ということです。「体の模様がちがうだけでなく、毎日世話をしていると牛の体調の変化もわかる」無責任な突然の来訪者であるおばさん軍団は牛たちを見てカワイイとのたまう。
M牧場の牛たちは一定のスペースのなかに何頭かがいてフリーで動けるようになっていました。ヨーロッパスタイルの育て方です。フリーで牛が自由に動ける一方、精密に牛は管理されています。牛の固体識別番号が足にICタグ付けされ、とハンディターミナルで管理されていて、搾乳の時にICタグを読み取ってウシ君がその日に何歩歩いたかわかるしくみになっています。歩いた歩数で牛の健康状態がわかり、発情期までわかってしまうそうです。M牧場は搾乳をする農家ですが、牛に乳をだしてもらうためには牛が出産をしなければならず、毎週のように牛の出産があるそうです。朝夕の搾乳に加え子牛の世話もして、まさに100頭の牛の家族がいるという感じでした。
 搾乳スペースも見せてもらいました。人間がおっぱいに手をやってしぼるのではなく完全に自動化されていて乳首を消毒したらホースつきの機械をとりつけて牛乳は自動的に搾乳されるそうです。牛の固体管理や飼育・搾乳のシステムは彼女の判断で海外のシステムを取り入れたそうですが、海外研修した彼女にはわかっても家族にはそれが伝わらず、栃木の先進農場へ視察に行き、家族を説得したそうです。
 わが家のオヨメのワンポイント感想「よその家は効率化していると思った。」今回の研修のキーワードその1は『作業の効率化』でした。効率があがったら、働きやすくなり、自由な時間が増えるかもしれませんし、あるいは仕事を増やすことができるかもしれません。M牧場の場合、従業員が数名いました(労働の外部化)。牛の固体管理のシステム化により特定の人のカンにたよるのではなく、だれでもが牛の状態がわかるようになっていました(機械化とシステム化)。
 総じて酪農の世界では大きなお金が動きます。牛自体高価ですし、設備投資も半端ではない。びっくりしたのはえさの干草はすべて輸入だということです。円高だ円安だという為替レートの変動によってえさの価格はかわるのだなあと倉庫の干草を目の前にして思いました。戦後の物価の優等生は牛乳とタマゴといわれてきました。価格が変わらないということです。生産者の努力のたまものだと頭を下げると同時に国産の牛乳といいながらえさは外国産、ちょっと複雑な感想ももちました。

 そしてそして、わがやの『非効率を効率化する』最大の課題は山のような書類の整理整頓です。特に母である私!(笑)つぎからつぎへと仕事を抱え追いつかないという実態ですが、まあ、失せモノさがしの時間の多いことこのうえなしです。その点オヨメはそれが上手です。みならわなくちゃ。(by sa)
(2016年2月)

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