アカデミー作品賞にノミネートされていたSF作。
今年秋に公開が控えている「ブレードランナー2049」と同じ監督の作品。
聞こえてくる評判がかなり良いものだったので、公開をずっと楽しみにしていた。
早速観てきたその感想。
うーーーん、僕は微妙だった。
星は2つ半。★★1/2
第三種接近遭遇ものとして「未知との遭遇」以来の興奮を前半味わったし、最後に伝えたいメッセージはよく分かったし、哲学的な方向に収れんしていくこの手のSF映画が嫌いではないのだけれど、随所に散見する「安い」展開に興ざめしてしまったという感じ。
映像がとても美しくて、編集も上手だし、「ブレードランナー2049」にはとても期待が持てちゃうぐらい監督の手腕は見事なんだけれど、物語の大筋がある意味高尚で哲学的なのに比べて、ちょいちょい出てくるベタでお約束の展開が邪魔というか、リアリティを削いでいるというか、とにかくたまに興ざめしてしまうのだ。
とはいえこんなの観てない人にはなんのことか分からんだろうな。
なので以下ネタばれで語る。
以下ネタバレ
↓
前半すごく良かったのに、後半の「暴徒が街で略奪をし始めるくだり」とか「YouTubeを真に受けたバカ軍人が爆薬仕掛けて銃撃戦になるくだり」とか「中国が宇宙船相手に単独で攻撃を決定してロシアとかがそれに追随するくだり」とかそういうベタな展開が、ほーーーーーーーーーっんとに必要なくて勿体ない。
あんな要素なんてまったく要らないのに。
彼ら宇宙生命体と女性言語学者がいかにしてコミュニケーションを取れるようになっていくのかまでの過程と、ついにコミュニケーションが取れた瞬間のカタルシス、その後の会話の興奮などをもっともっと丁寧に描き、「彼らはなにをしに地球にやってきたのか」というその一点の謎解きをもっともっと徹底して丁寧に見せてくれていれば、それこそ最高の映画だったと思う。
それなのに、YouTubeバカ軍人とか中国バカ司令官が出てきて、興ざめさせる。
あいつらほーーーーーっんとに邪魔。
ああいう陳腐な要素のせいで、映画前半にせっかく漂っていた「これはただ者じゃない映画だぞ感」が後半どんどん薄まっていくのよ。
もう、勿体ないったらありゃしない。
最後に分かる「未来が分かっても(例えそれが悲しくてつらい過酷な未来だとしても)同じ選択をするのか?」という哲学的問いかけなんて最高じゃん。
そこで俺は少し泣いたからね。
なんであの円環文字が読めると過去や未来が見えるのかに、理屈はないよ。
ただそうなるのだというこの映画の理屈に乗れるか乗れないか。
俺は乗れたのでまぁ良かった。
でも、3000年後に助けて欲しいってなぜ今言いに来る必要があるのか始め、細かい理屈はなーーーーんも通ってない。
それでも俺は哲学的問いかけが心に響いたので少し泣いた。
だからこそ、その手前にいろいろ積んである要らない要素が勿体なく感じたのよ。
惜しい、実に惜しい!
でもいい映画だった。
「ブレードランナー2049」に期待したい!
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