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大田くんにロックオン! 長野久義を本気にさせる外野手争いのターゲット。

2015-05-03 23:49:17 | 2015年シーズン

せっかく長野がイジってくれていたのに…。

大田の開幕前の離脱のニュースには、またケガかと落胆した。
大田に向けられた今季への期待や希望は、
例年の大田覚醒願望とは明らかにグレードが違っていた。
だからこそ、長野も大田をターゲットに定め、開幕に猛チャージをかけたのではと妄想する。
少なくとも、今季の大田は今までとは違うと、今の段階ではそう言っても大袈裟ではない。

春のキャンプから二軍で調整を続けていた長野が、
東スポの特別企画 「目指せ開幕!チョーノ編集長の巨人ファーム便り」を
東スポ紙上でスタートさせたのは宮崎キャンプ、2月初旬の頃だった。
毎回、何かのテーマに沿って、フランクな内容で二軍のキャンプリポートを伝える、
長野ならではの軽快なおしゃべり文体がとて楽しかった。
インターネットを通じて見ることが殆どだったけれど、
このファーム便りは必ず、長野がお決まりの”お約束文句”でリポートを締めくくる。
それが”大田いじり”なのだ。

まず記念すべき第一回では、自身のリハビリの報告と、
ルーキー岡本和真の印象、二軍キャンプの宣伝ときて、
最後に、 「僕の目標は一日でも早い一軍復帰。大田くんに負けないように頑張らなきゃ」 と、
なにげに大田の名前を出してリポートを締めくくった。
この時点では、大田で締めるこのパターンがお約束化するとは思ってもいなかったから、
大田で締める長野のユーモアにツボをつかれた程度だった。

二軍で調整中に長野が積極的にファンサービスを行っていたことは、
キャンプ中継やスポーツ紙などでも何度か取り上げられていたが、
第二回のファーム便りではまずそのファンサービスをきっちりとリポート。
二軍のひむかスタジアムを満員にするという自らの企画 「プロジェクトH計画」 を紹介。
後半は、今季からジャイアンツに復帰した内田二軍打撃コーチが、
二軍選手にかけていた言葉にハッとさせられたというエピソードを語る。
内田コーチの金言に自らのバッティングを当てはめ感嘆する長野編集長だったのだが、
最後の締めで突然 「ところで大田くんは一軍で元気にやっているのかな。
僕も負けないよう、もっと頑張らないと。」 と第一回同様、大田いじりを続けて見せた。

こうなってくると、こりゃお約束のパターンかと、当然読者も感づいて期待が高まる。
期待通り、第三回でも長野は裏切らない。
二軍宿舎の露天風リポートから宮崎名産の鶏料理と話題は進み、
同じリハビリ組みである矢野、アンダーソンらの近況報告に話が及んだところで、
やっぱり最後は唐突に 「そういえば、一軍では大田くんが大活躍しているようですね。
僕も負けないように頑張らないと」 。

二軍の宮崎キャンプ最終日の夜の食事会の模様から始まった第四回ファーム便りでは、
2月25日に行われたヤクルトとの練習試合(ひむかスタジアム)で
本塁打を放った岡本和真のバッティング技術を絶賛するチョーノ編集長。
自身の練習も徐々に具体的になってきていることを伝えると、
やはり最後はぬかりなく 「大田くんとグラウンドで勝負できるようになるまで、もう少し」 。
大田に堂々の宣戦布告で、外野レギュラー争いを盛り上げる。

そして最終回となった第五回のファーム便りで、長野はついに一軍合流を報告する。
ようやく念願の大田との一騎打ち、そんな図式が長野のアタマには描かれていたろうか。
ファンにとっても、ここまでの大田いじりが長野復帰でどう展開してゆくか、注目である。
ところがなんと、当のライバル大田はその時点で既に一軍不在。
長野が敷いてきたせっかくの伏線が、大田故障という思わぬ方向に着地する。
オチとしてこの展開がどうなのか、ガッカリなのか、
あるいはなんとも大田らしいという納得の結末だろうか。
そんな流れをあたかも見越していたかのような、
単なる長野の ”大田いじり” で今回の伏線は終焉か。
結局今季も ”大田大躍進” は 「おあずけ」 なのかと、我々ファンは肩を落す。

このファーム便りが最終回を迎える数日前、
長野は最終調整となったイースタンリーグ・ロッテ戦に先発出場して3安打を放つ。
その試合を取り上げたスポーツ報知に、長野が一打席目のヒットの際、
一塁ベース上で 「ボールください!ボール!」 と笑顔で声を張り上げたという記事が載った。
これは2011年、大田が楽天戦でプロ初安打を放った際のパロディーである。
このシーン、憶えているファンは多いだろう。
一塁上でソワソワしながら満面の笑みを浮かべる大田の屈託のない表情がとても印象的だった。
そのシーンを、長野は実戦復帰一発目のヒットで再現したのだ。

ここまで徹底した ”大田いじり” 。
大田をターゲット?に絞って臨んだ長野の2015年シーズン。
長野の、この ”大田いじり” の真意を妄想すると、
やはり、今季を並々ならぬ思いで迎える長野の強い決意と結び付けたくなる。
それは、成長した大田に対する、純粋なる宣戦布告でもあるだろうし、
あるいは、手術明けで挑む新たな戦いへの象徴、それが大田泰示なのかもしれない。
さらに深読みすれば、大田に目をかけ続ける原監督に対しての意思表示のようにもとれる。
「泰示よ!昨季後半にちょこっと打った程度で調子に乗るなよ!」 そんな長野のプライド。
そして何より、長野のこの刺激で、大田のプロ意識がより高まることに期待を寄せる。

と、相変わらず妄想を膨らませる。

いずれにせよ、せっかく長野が同じ土俵に持ち上げてくれたのに、当の大田はケガで不在。
本人はもとより、ファンも、原監督もガッカリ、長野も拍子抜けだったのではないか。

今季、”新成” を掲げた原巨人。
これまでのチームをいちど解体し、
より強いジャイアンツを作り上げると宣言した原監督だったが、
いざ開幕してみると、その新成の息吹が見当たらない。
筆頭のはずの大田はいないし、
昨季、開幕スタメンを勝ち取った橋本到はベンチの隅、
開幕カードを終えるとそのまま二軍行きとなった。
どうにか一軍に残った藤村も、その橋本降格の前日に二軍落ちしており、
中井に至っては開幕一軍にすら残れなかった。
小林誠司は開幕でスタメンマスクをかぶったものの、
相川が故障で戦線離脱すると、
緊急事態といって草々に阿部がキャッチャーに戻り、
阿部がケガで登録抹消されるまで、ほぼ控えの状態に甘んじた。

投手陣にしても、宮國、今村ら期待の若手の名前はなく、
救いはルーキーの戸根、高木勇人が開幕一軍に入ったことくらい。
目新しいところでは土田瑞起が10人の枠に残ったが、
2試合の登板で結果が出せず二軍降格となった。

”新成” を掲げたにも拘らず、
蓋が開いてみれば、オープン戦から続いていた主力野手の極度な打撃不振の隙を、
若手は誰一人、つくことができなかった。
オープン戦から安定した結果を残し、
開幕からここまで打線を陰日なたで支えているのは、
唯一全試合スタメン出場を続けている大ベテランの井端である。

井端の活躍は頼もしいしうれしいし、何より見応えがあるが、
チームの根幹を考えれば、けっして手放しで喜べるような話ではない。
井端の働きを評価しつつも、いまひとつ表情がスッキリとはいかない、
原監督の顔つきがその胸のうちを表わしているように見える。

レギュラーを勝ち取れなかった若手野手とは対照的に、
昨年オフに肘、膝と二箇所も手術をした長野は驚異的なスピードで開幕に間に合わせた。
このあたりのプロ意識というか、責任感というか、
そういった部分が大田らと長野との大きな差だろうか。
その差を詰めるには、若手は結果を出し続ける以外にない。

長野だって年齢的にはまだ30になったばかり。
一軍の外野手の中では大田、橋本の次に若い。
実力と実績と存在感で、どうしても大田ら若手との間に差を感じてしまうが、
現実的にはこの三人が、この先もっとも長く先頭に立ち、レギュラー争いを繰り広げてゆくはずである。

これまでは長野、亀井、その次に橋本、大田という図式だったが、
橋本、大田の躍進によっては、この二人の隙を長野、亀井が狙う、
そんな図式も充分に起る得るだろうし、そうなるとまさに ”新成” である。
もちろん、長野、亀井の存在がそんな簡単なものではないことは言うまでもない。


手術明けの長野が万全な状態でないことは素人目にも判る。
気になる箇所を庇うように動けば、違う箇所に負担がかかる。
それは何もスポーツに限らず、一般人の日常にだってレベルこそ違え同じことが言える。
どこかしらに多少の故障を抱えながらプレイするのもプロだと言うが、
長野のケースはどうにか騙し騙しで万全な状態に戻すというようなそんなレベルなのだろうか。
いくらチョー人・長野でも、右肘、右膝の手術である。
長野のバッティングを見ていると、もうひと押し、あともうひとノビ、そんな打球が多い。
どこかを庇っているからインパクトに力が伝わりきっていない、
ある試合でそう解説者が分析をしていた。

亀井の故障と入れ替わるカタチで一軍に戻ってきた橋本到が結果を出している。
長野がライバルに指名した大田泰示もファームで結果を残し、
一軍登録、即4番で期待に応えている。
橋本が活躍すると大田も負けじとのし上る。
大田が打ち出すと橋本の負けん気にさらに火がつく。
同級生、同期入団のこの二人の存在は、見ていてとても面白い。

よく、大きな可能性を秘めた存在、そんな表現で期待の若手選手を形容する。
橋本、大田も間違いなくそんな存在だっただろう。
しかし、今季までに至る二人の道筋と、ここにきてのこの成長をぶり見る限り、
もう秘めた段階を終えた役回りを、既に伴っているように感じる。
チームにとっても、ファンにとっても、もうやってもらわなければ困る、
そんな存在になった。

春季キャンプでのインタビューで、自主トレを共に過ごした後輩の橋本を、
しっかりライバルとして捉えていた亀井のように、
長野が今回、しきりに大田の名前を出して煽ったのも、
長野が本気で大田をライバルと認めたからかもしれない。

外野レギュラーの枠は3つ。
一昨年シーズンまでは、原監督の口から語られる外野レギュラーの枠は、
長野以外は競争が規定路線だったろう。
外野の長野、内野の坂本は、これからのジャイアンツの支柱、象徴といえる。
そんな長野もここ2シーズン、成績の足踏み状態が続く。
当然、自身に焦りはあるだろうし、原監督も全員横一線を口にするようになってきた。
それでも下から台頭してくる突き上げがなければ、
多少の足踏み程度で存在が揺るぐような長野ではない。
いっ時の勢い程度では、皆、長野の前に返り討ちである。

しかし、ここにきて、ようやく自身を脅かす存在が明確に見えてきた。
大田が、長野を本気で脅かす存在になった。
そう長野が教えてくれた。





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