Nikkoh の 徒然日記

ゲイ(=男性同性愛者)の Nikkoh が、日々の雑感やまじめなこと、少し性的なことなどを、そこはかとなく書きつくります

弱者男性問題(男性差別・女災)についての個人的考察

2013-04-05 23:56:31 | 男性差別 I (概観・総論・横断的内容)
僕は、《 男性差別問題 》や《 女災(女性災害) 》や《 弱者男性問題 》といわれるような社会現象について、以前から強い問題意識を持っています。
そして、この重大な問題が、あまりに問題として認識されなさすぎていることを憂いています。
なんとか少しでも状況を良くすることができないものかと、そのためには何をできるのだろうかと、考えています。しかしながら、「非力な僕にできることなんてそうそうないな…」というのが正直なところです。
出来ることと言えば、このブログでの情報発信くらいかなあという気もしますが、適切な形で発信するには、まだまだ知らない事が多すぎるのが現状です。
(それで時間をつくってはいろいろな書籍を読み込んでいます。リストを記事の末尾に掲載します)
また、平素は理性的でいられることの多い僕としては珍しく、この問題について考えていると、はらわたが煮えくりかえるくらい、行き場のない憤りが止めどなくわき出てきてしまい、それもまた大きな問題です。
理想を言えば、「感情的になることなく、冷静な筆致で、論理的に、できるだけ広い視野で、できるだけ偏り無く、正確に」記述したいのですが、完全に力量不足です。それがもどかしい限りの今日この頃…。

そういえば、同性愛者(ゲイ)である僕が、この問題に関心を持つことに対して、「珍しい」とお感じになる方もいるかもしれません。同性愛者も、男性差別問題の《 加害者側 》の仲間と見なされることが多いような気がするのです(僕としてはそれがまた辛くてたまらないなのですが…)。
僕は心身ともに男性であって、男性として生きています。同性愛者なので、恋愛の対象は同性=男性ですが、その点以外は、異性愛男性と概ね同じと思っています。そして、男性と一口に言ってもいろいろな中で、僕はかなり弱い部類の男性にカテゴライズされると思われます(それは同性愛者だからというのではなく、その他の諸々の要素 -例えば体力や性格など- を考えての結論です)。したがって、男性差別問題(あるいは女性災害や弱者男性問題)というのは僕にとっては当事者性の強い問題なのです。この問題は「僕自身の人生に関わる問題だ」と考えているのです。

さて、前置きはこのくらいにして、そろそろ本題へ移りましょう。

男性差別(女性災害,弱者男性問題)について語る場合、過激なフェミニズムや一部の身勝手な女性がやり玉に挙がる場合は多いです。フェミニズムについて、僕は決して完全悪とは思いませんが、社会に対して負の影響(副作用)を与え、負の遺産を残してきた側面が多くあることは否めません。その1つが男性差別(女性災害,弱者男性問題)といえると思います。過激なフェミニズムでは、「男性=加害者(強者・権力者),女性=被害者(弱者)」という、間違いとはいえないものの一面的な構図を絶対化した上でそこに強く固執し、教条主義的【 ※ 註を参照 】にありとあらゆる場面に対してよく吟味することもなく適用してしまいます。そしてそれ以外の視点や解釈を頑ななまでに認めようとはしません。このような一面的な見方しか許さない風潮は、今や政治の場やマスコミなどで一定の影響力を持っており、市井においても暗黙のうちに支配的となっています。ここから少しでも外れようとする者は、攻撃を受けたり奇人変人扱いされたりしてしまうのであり、結果的に 男性の被害者(弱者)としての側面や女性の加害者(強者)としての側面は殆ど顧みられることがなくなってしまっている のです。これが男性差別(女性災害,弱者男性問題)の大きな1つの要因であると考えられ、過激なフェミニズムが社会に残した負の遺産の1つといえるでしょう。また、身勝手な女性については、当人はフェミニズム思想の持ち主だと自覚していなかったとしても、実のところ知らぬうちにその思想の影響を受けている場合が多いと僕は見立てています。ここでいう身勝手な女性とは、自分に「女性らしさ」を押し付けられることは拒絶するのに男性への「男性らしさ」を押し付けを平然と行ったり,男女平等を口にしながらも男性の犠牲による女性の利益だけは固守しようとしたり,自分の「被害者性」にのみ囚われて自分の「加害者性」についてあまりに自覚していなかったり,ありとあらゆる問題をすべて「男が悪い」という結論ありきで思考するような人を想定しています。

註:「教条主義」とは、状況や現実を無視して、ある特定の原理・原則に固執する応用のきかない考え方や態度のことを指します。こちら を参照のこと

しかし、男性差別(女性災害,弱者男性問題)を語る上で、一部の愚かな男性の存在も決して忘れてはなりません。彼らは、《 バカマッチョ 》と称されたりします(蔑んだ表現ですが…)。その多くは異性愛男性で、必死に女性(特に若年女性)に対して媚びを売ります。媚びを売るだけならば別にいいのですが、同時に これでもかというくらい男性を貶めます。結果的に、精神的にも身体的にも、男性は虐げられるようになります。どれだけ自虐的なマゾヒストなのでしょう。あるいは、彼らは強い立場,良い地位にあるために被害が及ばない人たちのでしょうか。いずれにせよ、一番迷惑を被るのは弱い男性ということになります。
このような状況を鑑みたとき、《 男の敵は男 》という認識もしっかり持っておくことは大切だと思います。ここで、同じ「男」という文字を用いていますが、互いに別の集合を指す点に注意してください。注釈を付せば、《 男(=弱い男性)の敵は男(=バカマッチョ) 》というようになります。

この、所謂《 バカマッチョ 》について、風刺的に取り上げた動画があったので、紹介しておきます。彼らの愚かさが伝わるのではないかと思われますが、どうでしょう。

【3DCG】アンチバカマッチョ!


※ 流れてくるコメントは、プレイヤーの「吹き出し」ボタンを押せば消えます

男性差別(女性災害,男性差別問題)を考えるにあたり、女性を敵視・攻撃することは本来的でありません。あくまでも大切なのは、男性であるが故の苦しみにあえいでいる男性がその苦しみから解き放たれること であり、そのことを忘れてはなりません。闇雲に女性を敵視・攻撃しても目的は達成できませんし、男性の苦しみにも目を向けて、一緒に考えてくれるような女性(おそらくそういう女性もきちんと存在するはず…)に対しては大いに失礼なことにもなります。
もし、敵にあたるものがあるとするならば、それは先述したとおり、女性の一部であり男性の一部と言えるのでしょう。しかし、そこを攻撃することですら、意味はないと思います。敵視や攻撃は不毛な対立や闘争を生むばかりで、結局問題の解決をもたらさないと僕は考えています。
女性であるが故の苦しみにあえいでいる女性がその苦しみから解き放たれるための運動であったフェミニズムが、男性敵視・攻撃の色彩を強く持つことを、我々は反面教師として捉えなければならないと思っています。
日本では本来の意味での男性運動は、まだ殆ど見られないといっていいでしょう。既存の《 男性学 》は、《 女性学 》の別名に過ぎないと思います。あの男性学は、女性を楽にすることはあるでしょうけれど、決して男性を楽にすることはありません。これから先、どうなっていくかはわかりませんが、もし本来の意味での男性運動(マスキュリズム,メンズリブ)が活発化したとき、その運動がフェミニズムと同じ過ちを犯さないことを、僕は強く願っています。

--------------------

■ 参考書籍・ウェブサイト(男性差別問題とその周辺)

男性権力の神話――《男性差別》の可視化と撤廃のための学問(ワレン・ファレル著,久米泰介翻訳,作品社)
およそ20年前のアメリカで出版された本の翻訳である。原著は、Warren Farrell の "The Myth of Male Power" であり、本書はそれを(一部の章を除いて)日本語訳している。原著者のワレン・ファレル氏は、アメリカの社会学者で、マスキュリズムの大御所のような人物である。男性の被害者性や男性の苦しみなどにきちんと光を当て、そこからの解放を目指している。本書で彼は、男性も社会の中で差別されているという事実を、様々な具体例やデータによって提示している。本書を読むことで、これまで見えていなかった〈 男性差別 〉、あるいは、男性の弱者性,脆弱さ,被害者性などが、鮮明に見えてくるであろう。アメリカでは30万部を売り上げてベストセラーになったこの良著は、(悲しいことでもあるが)今でも色あせていない。本書が、多くの人の目に触れることを願いたい。
男性権力の神話――《男性差別》の可視化と撤廃のための学問
ワレン・ファレル(著),久米 泰介(翻訳)
作品社


正しいオトコのやり方―ぼくらの男性解放宣言(フランシス バウムリ著,下村満子翻訳,学陽書房)
20年以上前のアメリカで出版された本の翻訳である。原著は、Francis Baumli の "Men freeing men" であり、本書はその一部を日本語訳している。20年以上も前の、それも海外のことを取り上げている本だが、読むに値する価値はかなりあるだろう。内容は確かに古いものの、過去のアメリカと今の日本は重なる部分もあって、生きた内容として読めると思う。特に、男性差別(女災,弱者男性問題)に関心のある方や、男性が男性であるが故にもれなく不条理に背負わされてしまう様々な苦しみに対して問題意識を持つ人には強く薦めたい。
正しいオトコのやり方―ぼくらの男性解放宣言
フランシス バウムリ (著), 下村満子 (翻訳)
学陽書房


脱男性の時代―アンドロジナスをめざす文明学(渡辺恒夫著,勁草書房)
『脱男性の時代』は、心理学者の渡辺恒夫氏が1986年に出版した本である。
( 註 : 読売グループの渡邉恒雄氏とは全くの別人である。念のため注意されたし )
僕は、彼こそが、我が国における〈 男性学 〉の祖であると思っている。
セクシュアル・マイノリティについての記述に紙幅を割いてはいるが、〈 弱者男性問題 〉,〈 男性差別問題 〉,〈 マスキュリズム 〉,〈 メンズリブ 〉,〈 男性解放運動 〉を考える上で大きな示唆を与えてくれる書籍である。これらの事項に関心のある方には、必要な部分のみを読むという形でも良いので、ぜひ一読をお薦めする。
脱男性の時代―アンドロジナスをめざす文明学
渡辺恒夫
勁草書房


マッチョになりたい!?―世紀末ハリウッド映画の男性イメージ(國友万裕著,彩流社)
20世紀末のハリウッド映画を取り上げた本だが、〈 男性学 〉の本でもある。著者のご専門が、ジェンダーとアメリカ映画なので、両方の要素を併せ持たせ、男性ジェンダーの角度からの映画分析に仕上がっている。
國友さんは、男らしくない男の子であったが為に、「女の腐ったような」と揶揄されたり、「男らしくあること」を強いられることで苦しみながら育ってきた方である。僕自身と重なるところがあり、彼の文章を読むとカタルシス効果を得ることが出来る。
この本を読むと、男性もまた(女性と同様に)ジェンダー規範による抑圧を受けながら生きているのだということがよく分かると思う。そして、男として生きることは如何に〈 痛い 〉し〈 苦しい 〉ことなのかということも分かるのではないかと思う。
マッチョになりたい!?: 世紀末ハリウッド映画の男性イメージ
國友万裕
彩流社


『男は痛い!』
『男は痛い!』は、國友さんの 対人援助学マガジン における連載で、無料で読むことが出来る(PDFファイルをダウンロード)
『マッチョになりたい!?』と併せてご覧になることをお薦めする。
特に、女性(女児)からいじめ・暴力の被害を受けた男性(男児)の問題や、男性の性的羞恥心が軽視・無視されている問題などについては、國友さんご自身の経験なども踏まえて多く記述されている。

ぼくたちの女災社会(兵頭新児著,二見書房)
女災=女性災害 は、著者の兵藤氏による造語。兵頭氏は《 男性差別 》という語を好まず、《 女災 》という言葉を用いる。
女性災害とは、男女関係のあらゆるフェーズにおいて、事情の如何に関わらず常に「女性が被害者,男性が加害者」と決定づけられてしまうことを指す。
本書において、女性の加害者性とは、いかなる局面でも男性に対して《 被害者 》として振る舞うことが許されていること であり、男性の被害者性とは、いかなる局面でも女性に対して《 加害者 》として振る舞うように仕組まれていること であると規定されている。これは兵藤氏独特のものであるが、大いにうなずかされるところであり、大変興味深い。
些か理解が難しい部分はあるものの、その内容はかなり本質を突いていて、実に良著なのだが、絶版となっているのが残念。
ぼくたちの女災社会
兵頭新児
二見書房


兵頭新児の女災対策的読書

フェミニズムの害毒(林道義著,草思社)
どちらかというと、右より(保守)の視点からフェミニズムを批判する書。性別役割分業に肯定的な論調。
女性敵視や女性蔑視にはなっておらず、理路整然と書かれているので好感が持てる。
現代人(特に若者)は、知らぬうちに フェミニズム思想の影響を受けているケースが多いと思われるのだが、この本はその解毒剤として効力を発揮するはず。バランスを取る意味でも必読の書といえそう。
フェミニズムの害毒
林道義
草思社


林道義のホームページ

男女平等への道(古舘真著,明窓出版)
どちらかというと、左より(革新)の視点からフェミニズムを批判する書。性別役割分業に否定的な論調。
「保守派の頑固じじい」にも「過激なフェミニスト」にも批判的で、虚弱な男性や気の弱い男性などのように男女双方から相手にされない非力な弱者の立場から男女平等を論じた、貴重な本。真の男女平等を求める姿勢で、公正に書かれているので、共感をもって読むことが出来る。
男女平等への道
古舘 真
明窓出版


・ 「ある作家のホームページ」(古舘真さんのページです) http://www.geo*cities.jp/fghi6789/index.html

註:ジオシティへのリンクが張れず、直接載せることもできませんでした。どちらを実行しようと試みても「不正な書式」という表示が出てしまうのです。有益なサイトなのに、どこがどう《 不正 》なのやら…。そういう次第なので、上のアドレスをコピー&ペーストした上で、oとcの間の《 * マーク 》を消して、リンク先を閲覧してください。

日本の男性の人権(山本弘之著,ブイツーソリューション)
男性差別問題を取り扱った書籍が少ないことを憂う著者が、自費出版の形で世に送り出した書籍。
さまざまな男性差別を挙げていて、参考になる。データの類もしっかりと掲載されている。
ただ、少し文章が拙い印象を受けてしまう点と、感情に走ってしまっているように見える部分がちらほらある点が残念。
日本の男性の人権
山本弘之
ブイツーソリューション


男は虐げられている(竹中英人著,郁朋社)
実はこの書籍はまだ読めていません。いつか読みたいと考えているので、読む方法を画策中。
男は虐げられている
竹中英人
郁朋社


Q&A男性差別



同性愛(ノンアダルト) ブログランキングへ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 同性愛・GIDの数量イメージ | トップ | 男性DV被害者のこと »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。