荷物運搬中の階段の踏み外し事故

　前橋地裁平成２５年１２月１３日判決は、受刑者が空きコンテナを７段積んで運搬中階段を踏み外した事故について、国の賠償責任を認めています。

　直接には労災ではありませんが、労災における損害賠償請求においても参考になるものと思われるのでご紹介します。

　裁判所は、空きコンテナを７段積んで短い時間で階段を降りて運搬する作業は、階段を踏み外すおそれのある作業だとしました。そして、踏み外した場合には、骨折を含む負傷の危険があるとしました。

　その上で、刑務所側は、受刑者がそのようなやり方でコンテナ運びが行われていたことを認識していたので、そのような作業のやり方をしないよう注意などする義務があったのに、これを怠ったとし、損害賠償責任を認めたのです。

　使用者と労働者の関係でも、労働者が階段を上り下りし重い荷物を短い時間で運んでいてケガをしたような場合に、使用者に賠償責任を認める余地が認められたといえるでしょう。



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弁護士　齋藤裕（新潟県弁護士会所属）

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