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農薬のベノミルはALDHを阻害してDOPALを蓄積させる

2016-01-06 06:34:31 | 
Pesticides and Parkinson's: Further proof of a link uncovered

January 4, 2013

http://www.sciencedaily.com/releases/2013/01/130104101427.htm

この数年の間、カリフォルニア大学ロサンゼルス校/UCLAの神経学者は農薬とパーキンソン病との間に関連が存在するという証拠を集めてきたbuild a case
パラコートparaquat(ジメチルビピリジウム系除草剤)、マンネブmaneb(カルバミン酸塩系抗菌剤)、ジラムziram(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)のような一般的にカリフォルニアのセントラルバレー等で噴霧されてきた化学物質は、
これまで農場労働者farmworkerだけでなく単に近くに住んでいるか働いていて吹き流された粒子を吸い込んだ可能性がある人々の疾患の増加と関連付けられてきた

今回の研究でUCLAの科学者は、それとは別の農薬であるベノミルbenomylとパーキンソン病とのつながりを発見した
ベノミルの毒物学的な影響は環境保護庁/Environmental Protection Agencyによって禁止された後もなお約10年間残存するlinger

さらに重要なこととして、ベノミルによって始まる一連の有害damagingなイベントは、まったく農薬に曝露したことがないパーキンソン病の患者でも起きるかもしれないことを研究は示唆する
研究の首席著者でありUCLAで神経学の教授であるJeff Bronsteinによると、ベノミルへの曝露は細胞内で一連のイベントを開始してパーキンソン病につながる可能性があるという
この農薬はALDH(アルデヒド脱水素酵素/aldehyde dehydrogenase)という酵素を阻害してDOPALの制御をできないようにする
DOPALは脳内で自然に生じる毒素で、ALDHによって抑制されないとニューロンに蓄積してダメージを与え、パーキンソン病の発症リスクを上昇させる

研究者はベノミルに関する彼らの発見がパーキンソン病の患者すべてに一般化されるかもしれないと考えている
ALDH活性を保護する新たな薬の開発によって、個々人が農薬に曝露したかどうかにかかわらずいつかは疾患の進行の抑制を助けるだろうと彼らは言う
この研究はPNASで発表される

パーキンソン病は世界で数百万人が罹患する消耗性の神経変性疾患で、その症状は主に中脳の黒質という部分の神経変性の進行にともなって増していく
この領域は神経伝達物質のドーパミンを産生し、そして中脳の損傷は疾患と関連する
一般的にパーキンソン病の症状が現れるまでにはドーパミン作動性ニューロンの半分以上が失われている


筆頭著者のArthur G. Fitzmauriceによると、これまで遺伝性のパーキンソン病を引き起こす遺伝子多型が同定されてきたが、パーキンソン病で遺伝子が原因なのはほんのわずかであるという

「結果として、この疾患では環境要因が重要な役割を演じるのはほとんど確実である」
Fitzmauriceは言う

「関連するメカニズムの理解、特に何が原因で選択的にドーパミン作動性ニューロンが失われるのかを理解することは、疾患の発症を説明するための重要な手がかりを与えるだろう」


ベノミルは毒物学的な証拠により肝臓の腫瘍や脳の奇形、生殖への影響、発癌につながる可能性があると明らかにされるまで30年以上の間アメリカで広く使われていたが、2001年に禁止された

研究者はベノミルとパーキンソン病との間に関係があるのかどうかを研究しようとした
それは農薬の使用と慢性的な曝露から10年以上という長期間の毒物学的な影響の可能性を実証するだろう
しかし、農薬とパーキンソン病との間の直接の因果関係はヒトの試験で明らかにすることはできないため、研究者は実験モデルでの曝露が疾患の病理学的な特徴のいくつかを再現できるかどうかを決定しようとした

研究者は初めにベノミルの培養細胞での影響をテストして、この農薬がドーパミン作動性ニューロンにダメージを与えるか破壊することを確認した

彼らは次に農薬をゼブラフィッシュのパーキンソン病モデルでテストした
この淡水魚freshwater fishは研究で広く使われるが、その理由は遺伝子の操作が簡単で、早く育ち、そして透明なので、生物学的なプロセスの観察や計測が他の生物よりも簡単だからである
蛍光で染色してニューロンの数を数えることにより、このゼブラフィッシュで著しくニューロンが失われ、それがドーパミン作動性ニューロンだけで起きることを彼らは発見した
他のニューロンは影響を受けないままだった


これまでの証拠はα-シヌクレインというタンパク質をパーキンソン病の原因として特に示してきた
このタンパク質は全てのパーキンソン病患者に共通に見られ、
凝集して結合すると有害になりニューロンを殺して疾患につながる経路を作ると考えられている

ALDH活性の特定により、今や研究者は疾患を止めるために焦点を合わせるべきもう一つの標的を手に入れる

「動物モデルと細胞培養において、農業用の農薬はパーキンソン病につながる神経変性プロセスを引き起こすことがわかっている」
UCLA Movement Disorders ProgramのディレクターであるBronsteinは言う

「疫学研究では農業労働者と田舎に住む集団で高率に生じることが一貫して示されている
我々の研究は農薬が原因の一部かもしれないという仮説を裏付け、この新たな経路の発見は新しい治療薬の開発につながる可能性がある」


http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1220399110
Aldehyde dehydrogenase inhibition as a pathogenic mechanism in Parkinson disease.
パーキンソン病の発病メカニズムとしてのALDH阻害

Abstract
農薬への曝露はパーキンソン病の発症と関連付けられており、
我々は以前防カビ剤のベノミルbenomylがパーキンソン病の病理発生に関するいくつかの細胞プロセスに干渉することを報告した

今回我々はベノミルがその生理活性化されたbioactivated代謝産物であるチオカルバミン酸スルホキシド/thiocarbamate sulfoxide(T-SO)を介してアルデヒド脱水素酵素/aldehyde dehydrogenase (ALDH) を阻害し、反応性のドーパミン代謝産物である3,4-ジヒドロキシフェニルアセトアルデヒド/3,4-dihydroxyphenylacetaldehyde (DOPAL) の蓄積につながることを提案する
それはドーパミン作動性ニューロンの選択的な変性とパーキンソン病の発症につながる
この仮説は多くのエビデンスによって支持される

(i) 我々は以前、ベノミルからS-メチル N-ブチルチオカルバミン酸スルホキシド/S-methyl N-butylthiocarbamate sulfoxide(MBT-SO)への代謝をマウスで示した
この物質はナノモルレベルでALDHを阻害する

我々は今回、初代培養primaryの中脳ニューロンmesencephalic neuronにおけるベノミルへの曝露が (ii) ALDHを阻害し、(iii)ドーパミンの恒常性を変化させることを報告する

※初代培養: 生体から取り出した組織や細胞を容器等で培養する

それは (iv) in vitroの中脳の初代培養primary mesencephalic culturesと (v) in vivoのゼブラフィッシュ系において、ドーパミン作動性ニューロンの選択的な損傷を誘発する

(vi) in vitroの細胞喪失は、DOPALの形成を低下させることにより緩和される

(vii) 我々の疫学研究では、ベノミルへの曝露の高さはパーキンソン病リスク増大と関連があった

パーキンソン病の病因に関するこのALDHモデルは、ドーパミン作動性ニューロン選択的な脆弱性の説明を助ける可能性がある
これは環境からの毒性物質toxicantsがパーキンソン病の病理発生に寄与するという潜在的なメカニズムを提供する


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3545765/figure/fig01/

Figure 1
ALDH阻害はベノミルによって誘発されるパーキンソン病のメカニズムとして提案されている
ベノミルは効率的にBICやMBT、特にMBT-SOのようなALDH阻害剤へと代謝されるため、曝露は有毒なドーパミン代謝産物のDOPALの蓄積につながる
パーキンソン病の病理発生pathogenesisにおいて観察されるドーパミン作動性ニューロンに対する選択的な毒性に関して、この仮説は可能性としてあり得る説明を提供する

※GSH: グルタチオンglutathione

 ベノミルカルベンダジム,BIC─(GSH)→MBT─(CYP)→MBT-SO

※BIC: イソシアン酸ブチル/ butyl isocyanate

※MBT: S-メチル N-ブチルチオカルバミン酸/ S-methyl N-butylthiocarbamate

※MBT-SO: S-メチル N-ブチルチオカルバミン酸 スルホキシド/ MBT sulfoxide



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ドーパミンの代謝産物DOPALはドーパミンニューロンを殺す



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昔の牛乳の殺虫剤はパーキンソン病の徴候と関連



<コメント>
ベノミルの代謝にグルタチオンやCYPが関与しているので、これらに作用する環境的な要因も影響がありそうな気がします(喫煙による活性酸素等)。

 

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