薬が抗マラリア薬剤と対になったとき、タモキシフェン耐性乳癌は逆転する
安価な抗マラリア剤のヒドロキシクロロキン(HCQ)は、タモキシフェン(広く使われている乳癌薬)に対する耐性をマウスで逆転させる。
臨床癌研究の6月15日号で、ジョージタウン・ロンバルディ総合癌センターの研究者はHCQをタモキシフェンに加えることが、閉経後エストロゲン受容体陽性の(ER+)進行した乳癌の女性に新しい治療の選択肢を提供する可能性があると言う。
ER+のサブタイプは、すべての乳癌の約70パーセントを占める。
ER+乳癌の女性の多くがタモキシフェン(腫瘍に燃料を供給することからエストロゲンをブロックする)で治療されるが、これらの癌の50パーセントは反応しないか、時間が経つにつれてタモキシフェンに対して耐性を示すようになる。
シニア研究者でジョージタウン大学医療センター研究部長、そしてジョージタウン・ロンバルディの乳癌プログラム共同ディレクターのロバート・クラーク博士、DSc(理学博士)は、両方の薬が安価で、市場に出回って、明確な安全性プロフィールを持つと言う。
HCQはマラリアを治療するために開発されたが、その後、関節リウマチとループスの治療として再利用されている。
ジョージタウン・ロンバルディ腫瘍生物学部のキャサリン・クック博士は以前の研究で、生存を促進する経路(pro-survival pathway)が乳癌細胞でスイッチが入ることによりタモキシフェン抵抗が起こることを発見した。
HCQは、その全く同じ分子経路をオフにすることによって機能するとクックは言う。
研究者は、タモキシフェンとHCQの組合せが、フェソロデックスとHCQよりも効果的であることを発見した。それは腫瘍微環境中の活性による。
「フェソロデックスとタモキシフェンは抗エストロゲン療法として両方とも効果的であるが、免疫系に対する独特の影響を持つ。それがフェソロデックスとHCQの組合せの有効性を低下させる」、クックは言う。
学術誌参照:
1.ヒドロキシクロロキンはオートファジーを阻害して、ER+乳癌で抗エストロゲン反応を強化する。
臨床癌研究、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140613084502.htm
<コメント>
エストロゲン受容体を阻害するタモキシフェンと抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンの組み合わせは、フルベストラントとの組み合わせよりも効果的という研究です。
クロロキンといえば、癌細胞の自己貪食を阻害する作用が試験されていたものの、うまく行かないようだという記事が最近ありました。
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/dd5f0507eea0b2e78f76bbccbba164a1