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エイズウイルスの薬でメラノーマの薬剤耐性を回避する

2016-03-23 06:06:52 | 癌の治療法
HIV drug could stop skin cancer becoming drug-resistant

March 14, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/03/160314140114.htm

Cancer Research UKが資金を提供した研究によると、抗エイズウイルス薬は皮膚癌細胞の治療抵抗性につながる早くからの変化の一つを止める可能性があるという
この研究はCancer Cell誌で発表された


メラノーマに対する標準治療を開始していた11人の患者から得られたメラノーマ皮膚癌をマンチェスター大学の研究者が調べたところ、癌細胞は『分子スイッチ』を切り替えて一時的に自身の配線を組み直していた
それにより癌細胞は治療を始めて最初の2週間で抗癌剤に抵抗できるようになり、その後に遺伝子の変化により永続的な抵抗性を獲得した

エイズウイルス(HIV)への薬であるネルフィナビルnelfinavirは、細胞が治療を生き残る能力を加速する『分子スイッチ』を阻害することにより作用する
今回の研究はマウスで実施されたものだが、ネルフィナビルと皮膚癌への標準治療とを組み合わせて使うことで治療をさらに強力にすることに加えて薬剤抵抗性を遅らせる可能性が示唆される


筆頭著者、マンチェスター大学のClaudia Wellbrock教授は言う
「皮膚癌への標準治療で癌細胞は最初の数週間でより強く丈夫になり、治療に抵抗するようになる
しかし、完全に抵抗性になる前に皮膚癌細胞を標的とすれば、そのような回避を阻止するチャンスが得られるだろう
我々はこの研究がそれを現実とする方へ一歩さらに近づけると考えている」


Cancer Research UKのマンチェスターがん研究センターのディレクターであるNic Jones教授は言う
「メラノーマは治療が難しいが、その理由は癌細胞が極めて早く薬剤抵抗性を獲得するためである
しかし、今回の刺激的な研究は抵抗性への初めの一歩を阻止することにより治療をより長く有効にして、
我々が反撃fight backできるようになることを意味する」


「薬剤抵抗性は非常に難題だが、我々は大きく進歩しつつある
皮膚癌後期の薬剤抵抗性はいまだに我々が取り組まなければならない大きな問題だ
最近の免疫療法の開発で我々は大きく前進したが、
今回の刺激的なアプローチは皮膚癌が抵抗性を生じるのをより早い段階で止めることができるだろう」


http://dx.doi.org/10.1016/j.ccell.2016.02.003
Inhibiting Drivers of Non-mutational Drug Tolerance Is a Salvage Strategy for Targeted Melanoma Therapy.
突然変異によらない薬剤耐性ドライバを阻害することはメラノーマ標的治療への救済戦略である


[メラノーマ]
 BRAF↑→MEK↑→ERK→SKI,SMAD2─┤PAX3↓→MITF↓→薬剤耐性↓

[阻害剤投与]
 MAPK阻害剤─┤BRAF↓→MEK↓→ERK→SKI,SMAD2↓─┤PAX3↑→MITF↑→薬剤耐性↑


Highlights
MITFは、非突然変異的で可逆的な薬剤耐性の段階drug-tolerance phaseのドライバである

※薬物耐性/drug toleranceは、不可逆的な抵抗性を獲得する薬物抵抗性/drug resistanceとは異なる

・薬剤再利用/drug repositioningにより、メシル酸ネルフィナビル/nelfinavir mesylateをMITF発現の抑制因子として同定する
・ネルフィナビルは、BRAF・NRAS突然変異メラノーマをMAPK阻害剤による治療に対して感受性にする
・ネルフィナビルの組み合わせ療法は、NRASをドライバとして獲得される抵抗性に打ち勝つ


Summary
MAPKを標的とする治療に対してメラノーマがいったん薬剤抵抗性を獲得するまでに進行するとonce melanomas have progressed with acquired resistance、変異の不均一性は大きな難題をもたらすpresent a major challenge

ゆえに薬剤抵抗性の獲得が生じる前の治療段階を調査した結果、メラノーマ生存癌遺伝子melanoma survival oncogeneのMITFが、変異によらず可逆的な初期の薬剤耐性状態のドライバであることを発見した
この薬剤耐性はPAX3を介したMITFの上方調節によって誘導される

薬剤を再利用するスクリーニングdrug-repositioning screenにより、
エイズウイルスHIV1のプロテアーゼを阻害するネルフィナビルを PAX3とMITFの発現を強力potentに抑制する阻害剤として同定した
ネルフィナビルは、BRAF/NRAS突然変異メラノーマ細胞をMAPK経路阻害剤へと深く感受性にする

さらに、
ネルフィナビルは
MAPK阻害剤療法が進行した患者から単離されたBRAF/NRAS突然変異メラノーマ細胞ならびにBRAF/NRAS/PTEN突然変異メラノーマ腫瘍に有効である

我々は
MAPK阻害剤によって誘導される薬剤耐性のドライバの阻害が
メラノーマの標的療法に対する現在のアプローチを改善しうることを実証する



関連サイト
http://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=MITF
UniProtKB/Swiss-Prot for MITF Gene
MITFは細胞の分化、増殖、生存において必須の役割を演じる遺伝子発現を調節する転写因子で、BCL2とチロシナーゼのような標的遺伝子のプロモーターに見られる対称的なDNA配列(E-box)(5-CACGTG-3)に結合する
チロシナーゼtyrosinaseとチロシナーゼ関連タンパク質/tyrosinase-related protein 1(TYRP1)の発現を調節することにより、メラノサイトの発達において重要な役割を演じる

※チロシナーゼ: チロシンをドパキノン(DOPA quinone)に変換する。ドパキノンは非酵素的に重合してメラニンとなる

MITFは様々なタイプの細胞の分化に関与する
例えば、神経堤neural crestに由来するメラノサイト、肥満細胞、破骨細胞、
眼杯optic cupに由来する網膜色素上皮層retinal pigment epitheliumである



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