【踊るそっくりさん】
渋谷でマイケルにうつつを抜かし、気づけば3時。
4時からのそっくりさんショーが迫っているではないか。
そこで次なる目的地、東京テレポート駅へと急ぐが、
路線情報を念いりにチェックしたにもかかわらず
駅に降りるとなぜかそこは東京ビックサイトで
(バカバカ!)、あわててお台場へ引き返す。
ほうほうの体でやってきたヴィーナスフォートでは
マイケルジャクソンコンベンションを開催中で、
奥の教会広場にグッズや写真が展示されている。
4時から待つことしばし、そっくりさんの登場だ。
そっくりショーのグループ・mj-spiritと
マイケル役のbluetreeさんの名は知っており、
一度ステージを観てみたいと思っていた。
メンバーはマイケル役と女性ダンサー2名。
歓声がすごいので何かと思えばライブ音源で、
ちょっとした首の動きやアドリブまで、マイケルの
すべてを日本人らしい生真面目さで精緻になぞっている。
ライブをコンマ何秒まで再現するリップシンクワールド。
これもある種のオリジナルアートだなあ!
Dangerous、Heartbreak Hotelのイントロを経て
Smooth Criminalへ。bluetreeさんはMCもいっさい入れず
マイケルが舞台から去るときの気取った仕草まで
大真面目にやるのが面白く、シャイな感じが出ている。
彼らがどんな気持ちでステージに立たれているかと
なんだかちょっと泣けてくる。鎮魂の舞いなのか・・
しかし曲が進むにつれ、彼らの想いが分かってきた。
この手の無料イベントは不特定多数が観るので、
トリビュートなら代表的な曲をやればよいだろう。
ところが、Human Natureからジャクソン5メドレーときた。
子供時代の歌で突如ニコニコするところまでソックリで、
I'll Be Thereのかがみこむ泣きマネも忠実に再現!
硬派な選曲にmj-spiritsのスピリットを見た思いだ。
さらに、You Rock My Worldまで飛び出したのには驚いた。
今までにない新しい曲をあえて選んだということは、
幻のロンドン公演を見せてくれようとしているのだろう。
お笑い要素は皆無だが、真摯なパフォーマンスが胸をうつ。
広場にぎっしり集った人々もそっくりさんに乗せられて
踊ったりマイコーと叫んだり、おおいに盛りあがる。
最後はキラキラ光る黒い上着をまとい、ステージを
テクテク歩くところから始まるライブ版Billie Jean、
ゾンビの衣装とお面をちゃんと着けてのThriller、
赤ジャケのBeat Itという黄金の3点セットで終了。
もはや浅草に間に合う時間をとうに過ぎていたが、
今日はこのショウを観られて本当によかった。
ヴィーナスフォートのBGMはマイケルオンリーで
通路でもマイケルのライブ映像がずっと流れているが、
こんなところで追悼される歌手が他にいるだろうか?
今日は世界のファンがマイケルを想っているだろう。
彼はやはりスーパースターだったんだ、と嬉しくなった。
(続く)