子供のころからお洒落なものが好きだったので、自分のうちの古くてボロい家が好きになれなかった。暖炉とかベットとか、当時流行の「応接間」(今で言うリビングとはちょっと違い、家族がくつろぐというより、お客様用の洋式のお部屋のことでソファーや肘掛け椅子が置いてあった)のある家に憧れていた。
1960年代後半のことである。
家はボロかったし、暮らし向きも質素で貧乏たらしかった。カラーTVなんていらない、という母だったが、手作りが好きで、当時は気づかなかったが、今思うと、そういう意味ではモダンだったのかもしれない。電動式のミシンを買い、私達姉妹の普段着からよそ行き、制服までをも手作りしてくれた。まだ電子レンジがこの世に生まれていない当時としても珍しかった天火(電気式のオーブン)もいち早く入れ、おやつにパンやケーキを焼いてくれたりしたものだ。
その母があるとき食卓に出してくれた料理がそれだった。耐熱ガラスの容器に入っているというだけで、すごくお洒落な気がした。母が、こんなお洒落な器を持っていて、お洒落な料理を作ったことに驚いた。当時とろけるチーズなんてまだなくて、プロセスチーズがちらしてあった。なすとトマトがアツアツで、フーフーいって食べた気がする。たまにリクエストしたが、めんどくさい、とか言ってめったに作ってはくれなかったが。
大人になり、東京で一人暮らしをしていたころ、近くに住んでいた姉の家族に呼ばれて、ひな祭りや姪たちの誕生日など、夕飯をご馳走になりに行ったことがあった。母譲りか、姉は料理が上手でどれもみなおいしかったが、あるときゆで卵の入ったミートローフが出てきたことがあった。食卓に出る前、焼いたばかりのそれが入っていた容器が、やはり耐熱ガラスのパウンド型だった。
今もっているグラタン皿は長方形の平たいもの(写真手前)で、結婚したころ義妹にもらったもので、二人分の市販のマカロニグラタンがぴったり入る。耐熱ガラスでとても気に入っているが、最近、母の作ってくれた「なすとトマトの重ね焼き」と姉の「ゆで卵の入ったミートローフ」を作りたくなった私。それには平たいグラタン皿では不適格で、どうしても深さのあるパウンド型がほしくてたまらなくなった。しかもそれは、絶対に耐熱ガラスでなくてはならない。なぜなら、それが母の味、姉の味であるような、懐かしくてお洒落で、憧れみたいな気がしたからだ。(手持ちのグラタン皿にも合っているしね)
母に使ってないならちょうだいよ、といったのだが、もう何十年も使ってないので探したけれど、ついにそれは出てこなかった。(実家は物が多すぎる)仕方ないので、買うしかない。
で、先日も書いたとおり、昔流行った耐熱ガラス容器は、最近ではあまり見かけなくなったようで、やっとのことでネットで探し当てて手に入れました。(写真奥)
平たい皿では一段しかできない、なす、トマト、ひき肉の「2段重ね」に成功し、味付けは塩コショウと、ケチャップとウスターソースを混ぜたものを適当にかけ、オーブンに入れ、母の味を再現してみた。もちろんとろけるチーズで。
が、ちょっと焼きすぎてしまったみたい。子供のころに食べたような、感動の仕上がりにはならなかった。母のは、もっとなすやトマトの味や形がしっかり残っていたような・・・なす好きのオットも、「まあ、こんなもんだな」(うまくもまずくもない)だってさ。ちなみに母に作り方を聞いてみたが、ああ、そんなの、やったねー、適当に作ったからもう忘れた、だと。
ぐ、ぐやじ~い! また挑戦してやるぅ。
いや、次はゆで卵入りのミートローフだな。
1960年代後半のことである。
家はボロかったし、暮らし向きも質素で貧乏たらしかった。カラーTVなんていらない、という母だったが、手作りが好きで、当時は気づかなかったが、今思うと、そういう意味ではモダンだったのかもしれない。電動式のミシンを買い、私達姉妹の普段着からよそ行き、制服までをも手作りしてくれた。まだ電子レンジがこの世に生まれていない当時としても珍しかった天火(電気式のオーブン)もいち早く入れ、おやつにパンやケーキを焼いてくれたりしたものだ。
その母があるとき食卓に出してくれた料理がそれだった。耐熱ガラスの容器に入っているというだけで、すごくお洒落な気がした。母が、こんなお洒落な器を持っていて、お洒落な料理を作ったことに驚いた。当時とろけるチーズなんてまだなくて、プロセスチーズがちらしてあった。なすとトマトがアツアツで、フーフーいって食べた気がする。たまにリクエストしたが、めんどくさい、とか言ってめったに作ってはくれなかったが。
大人になり、東京で一人暮らしをしていたころ、近くに住んでいた姉の家族に呼ばれて、ひな祭りや姪たちの誕生日など、夕飯をご馳走になりに行ったことがあった。母譲りか、姉は料理が上手でどれもみなおいしかったが、あるときゆで卵の入ったミートローフが出てきたことがあった。食卓に出る前、焼いたばかりのそれが入っていた容器が、やはり耐熱ガラスのパウンド型だった。
今もっているグラタン皿は長方形の平たいもの(写真手前)で、結婚したころ義妹にもらったもので、二人分の市販のマカロニグラタンがぴったり入る。耐熱ガラスでとても気に入っているが、最近、母の作ってくれた「なすとトマトの重ね焼き」と姉の「ゆで卵の入ったミートローフ」を作りたくなった私。それには平たいグラタン皿では不適格で、どうしても深さのあるパウンド型がほしくてたまらなくなった。しかもそれは、絶対に耐熱ガラスでなくてはならない。なぜなら、それが母の味、姉の味であるような、懐かしくてお洒落で、憧れみたいな気がしたからだ。(手持ちのグラタン皿にも合っているしね)
母に使ってないならちょうだいよ、といったのだが、もう何十年も使ってないので探したけれど、ついにそれは出てこなかった。(実家は物が多すぎる)仕方ないので、買うしかない。
で、先日も書いたとおり、昔流行った耐熱ガラス容器は、最近ではあまり見かけなくなったようで、やっとのことでネットで探し当てて手に入れました。(写真奥)
平たい皿では一段しかできない、なす、トマト、ひき肉の「2段重ね」に成功し、味付けは塩コショウと、ケチャップとウスターソースを混ぜたものを適当にかけ、オーブンに入れ、母の味を再現してみた。もちろんとろけるチーズで。
が、ちょっと焼きすぎてしまったみたい。子供のころに食べたような、感動の仕上がりにはならなかった。母のは、もっとなすやトマトの味や形がしっかり残っていたような・・・なす好きのオットも、「まあ、こんなもんだな」(うまくもまずくもない)だってさ。ちなみに母に作り方を聞いてみたが、ああ、そんなの、やったねー、適当に作ったからもう忘れた、だと。
ぐ、ぐやじ~い! また挑戦してやるぅ。
いや、次はゆで卵入りのミートローフだな。