うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
のんびり更新しますので、どうぞ気長にお付き合い下さい。

なでしこジャパン米国遠征

2011年05月22日 | サッカー(女子)
◆女子サッカー国際Aマッチ

・2011年5月14日 (@米国・オハイオ州コロンバス/コロンバススクールスタジアム)
米国 2(2-0)0 日本
得点者:米国)29分 アビー・ワンバック、37分 アミー・ロドリゲス

・2011年5月18日 (@米国・ノースカロライナ州ケーリー/ウェイクメド・サッカーパーク)
米国 2(1-0)0 日本
得点者:米国)28分 アミー・ロドリゲス、69分 ヘザー・オライリー


日本サッカー協会の今大会の関連ページ
今回の米国遠征のメンバー22名

〔写真はアジアサッカー連盟より〕


                          *  *  *  *  * 


現在FIFAランキング4位の「なでしこジャパン」こと日本女子代表は、今月にFIFAランキング1位で五輪2連覇中の米国へ遠征し、アウェーで同国の女子代表と2連戦を戦いました。6月にドイツで開幕するW杯の1次リーグでは、日本はロンドン五輪開催国のイングランドと、米国はアジアの強豪の北朝鮮とそれぞれ対戦します。更に、日米両国は準決勝以降で対戦する可能性があります。なので、お互いに1ヶ月後の本番を見据えた強化試合として戦いました。結果は、いずれの試合も日本が0-2と敗戦。やはりというか、圧倒的な体格差や身体能力はもちろんのこと、地力の差をまざまざと見せ付けられ、いずれの試合もスコアだけでなく、内容的にも完敗を喫しました。

YouTubeのダイジェストや協会の戦評を読む限りでは、いずれの試合も日本は持ち味のパスワークを活かしてリズムを掴む時間帯があったものの、肝心のペナルティエリア内で決定的な場面を中々作れず、攻撃面で迫力を欠きました。逆に、長期間に渡って合宿を張ってきた米国に、ロングボールを放り込まれて守備陣の裏を取られたり、サイドチェンジで左右に振り回されてから鋭いドリブルで攻め込まれるなど、時間の経過とともに日本はリズムを崩し、守備に綻びが見られたのも痛恨でした。敵地で世界1位との対戦を通じて、現在の日本の課題が見事なまでに炙り出されました。

現在の日本の世界4位という序列は決して間違いではありません。日本は、3年前の北京五輪では4位入賞し、昨年は2月の東アジア選手権と11月の広州アジア大会の2大会を制してます。しかし、今の日本は、所詮は世界のセカンドクラスのトップに位置しているに過ぎません。やはり、現在の世界3強を形成する米国・ドイツ・ブラジルとの実力差はまだ隔たりがあります。中でも、先天的に体格の違いがある白人の大型チームを大の苦手にしている傾向があります。過去の通算対戦成績においても、米国とは24戦21敗3分、ドイツとは8戦7敗1分といずれも未勝利です(なお、ブラジルとは5戦2勝2敗1分)。しかも、この3強は国際的な実績も図抜けており、牙城を崩すのは中々容易ではありません。

ただ、今回の米国は、実は昨年秋に行われたW杯北中米カリブ海予選においては、予選の準決勝で格下のメキシコに1-2で敗れて3位に終わり、イタリアとの大陸間プレーオフに回る事を余儀なくされた苦い経緯があります。プレーオフでは米国が2戦全勝して本大会の最後の切符を無事に掴むも、いずれの試合も1-0での辛勝でした。この結果を振り返っても分かるとおりに、女子サッカーは1996年アトランタ五輪から正式種目に採用されてから世界各国に普及が進み、地域間の格差が着実に縮まりつつあります。また、昨年7月のU-20W杯の結果を見るまでもなく、今まで発展途上だと思われた地域は、近年若年層の育成と強化に力を入れており、急激にレベルアップしてます。それだけに、今大会は世界の勢力図がどのように様変わりしているのかが、非常に注目です。

W杯では日本は、欧州選手権準優勝のイングランドだけでなく、進境著しいメキシコと、北京五輪の初戦で2-2で引き分けたNZとも1次リーグで対戦するので、油断をすると足元を掬われます。優勝が期待されながら1次リーグで敗退した、昨年のU-20W杯の同じ過ちを繰り返しては絶対になりません(→詳細はこちら)。とはいえ、W杯で初の表彰台を狙う為には、1次リーグを必ず首位通過しないとかなり厳しいです。なぜなら、2位通過すると、準々決勝ではW杯3連覇を狙う地元ドイツとの対戦が確実視されているからです。だからこそ、日本は今回の米国遠征の内容をしっかりと検証し、更には課題をキッチリと修正して、来るべき本番に備えなくてはなりません。



▼なでしこジャパンの今後の主な日程

・国際親善試合 vs韓国(6月18日 @愛媛・ニンジニアスタジアム)

・FIFA女子W杯ドイツ大会(6月26日~7月17日 @ドイツ)
 vsニュージーランド(6月27日 @ボーフム/レヴィアパワーシュタディオン)
 vsメキシコ(7月1日 @レバークーゼン/バイ・アレーナ)
 vsイングランド(7月5日 @アウグスブルグ/インパルス・アレーナ)
 準々決勝:7月9日または10日
 準決勝:7月13日
 3位決定戦:7月16日
 決勝:7月17日

・ロンドン五輪アジア最終予選(9月1~11日 @中国・済南)



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☆米国との第1戦のダイジェスト
(2011年5月14日 @米国・オハイオ州コロンバス/コロンバススクールスタジアム)



☆米国との第2戦のダイジェスト
(2011年5月18日 @米国・ノースカロライナ州ケーリー/ウェイクメド・サッカーパーク)




こちらは、女子サッカーを応援するキャラクター「楓(かえで)ちゃん」です。
人気漫画「キャプテン翼」の作者、高橋陽一さんの書き下ろしです。




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