うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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来年6月にドイツで開催される女子サッカーW杯の組み合わせ&日程が決定

2010年11月30日 | サッカー(女子)
◆女子サッカー・第6回FIFA女子ワールドカップドイツ大会(2011年6月26日~7月17日 @ドイツ9会場)

<1次リーグ> (6月26日~7月6日)  ※カッコ内は2010年11月19日発表のFIFAランキング
グループA:ドイツ(2)、カナダ(9)、ナイジェリア(27)、フランス(8)
グループB:日本(5)、ニュージーランド(23)、メキシコ(22)、イングランド(10)
グループC:米国(1)、北朝鮮(6)、コロンビア(32)、スウェーデン(4)
グループD:ブラジル(3)、豪州(12)、ノルウェー(7)、赤道ギニア(62)

<決勝トーナメント>
準々決勝:7月9日(金)または10日(土)
準決勝:7月13日(水)
3位決定戦:7月16日(土)
決勝:7月17日(日)

・日本の1次リーグの試合日程
6月27日(日)15:00 日本 対 NZ @ボーフム/レヴィアパワーシュタディオン
7月 1日(金)15:00 日本 対 メキシコ @レバークーゼン/バイ・アレーナ
7月 5日(火)18:15 イングランド 対 日本 @アウグスブルグ/インパルス・アレーナ

※各グループ上位2チーム(計8チーム)が決勝トーナメントに進出。
  試合開始時間は現地時間(日本との時差は+7時間)
  なお、このW杯は欧州勢にとってロンドン五輪欧州予選を兼ねており、五輪本大会で実質的な「英国代表」となるイングランドを除いた成績上位2チームに五輪出場権が与えられます。


日本サッカー協会の今大会の関連ページ


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目指せ世界のベスト4以上

4年に1度、五輪前年に開催される国際サッカー連盟(FIFA)が主催する女子のナショナルチームの世界一を決めるこの大会。「なでしこジャパン」こと日本女子代表は、5月に中国で開催されたアジア杯で3枚のW杯出場権を賭けて戦いました。初優勝が期待されたこのアジア杯では、日本は1次リーグで宿敵北朝鮮に2-1で勝利するなど3戦全勝を飾りましたが、準決勝で豪州に0-1で痛恨の敗北。3日後に行われた3位決定戦で地元の中国と最後の切符を賭けて戦い、2-0で快勝して3位入賞を果たし、来年6月にドイツで開催されるW杯の出場権を獲得しました(→詳細はこちら)。

日本女子のW杯出場は、1991年第1回中国大会から6大会連続の皆勤出場です。男子とは大会の歴史や競技の成り立ちに違いがあるとはいえ、女子のW杯出場は男子よりも一足早く、出口の見えない暗黒時代だった当時のサッカーファンにとってこれは数少ない誇りでした。ただ、日本は五輪では、2004年アテネ五輪でベスト8、2008年北京五輪で4位入賞と2大会連続で上位進出してますが、意外にもW杯では1995年第2回スウェーデン大会のベスト8が過去最高成績です。残りの4大会は全て1次リーグで敗退です。ちなみに、過去5大会の通算成績は16戦3勝11敗2分です。五輪が12戦3勝8敗1分なので、五輪に比べるとW杯は日本にとって相性の悪い大会です。

日本が過去のW杯で振るわなかったのは、レギュレーションも少なからぬありました。第1~2回大会までは本大会の参加チーム数が12だったので、1次リーグ3位のうち成績上位2チームまでが決勝トーナメントに進めました。なお、参加数が12の五輪も同様の形式です。だが、1999年第3回米国大会以降は参加数が16に増えたので、1次リーグでは必ず2位以内入らないと決勝トーナメントに進めなくなりました。また、日本は過去のW杯では第1シード国には入れなかったので、当時の世界の強豪国と必ず同組になりました。つまり、日本は第1シード国との戦いを余儀なくされて敗北を喫っしたので、2位争いで不利に立たされたのが要因でした。

しかし、今回の日本の立場は今までとは大きく異なります。なんと日本が第1シード国の4ヶ国に選ばれたからです。日本は先の広州アジア大会で優勝したとはいえ、FIFAランキングは5位ですし、正式にはアジア第3代表なのですが、アジアサッカー連盟(AFC)加盟国の中でFIFAランキングが最上位国なので今大会は第1シードとして扱われました。これは本当に朗報です。なにせ、第1シード国になったおかげで、現在の世界3強である五輪2連覇中の米国、2大会連続五輪銀メダルのブラジル、W杯2連覇中で今大会の開催国ドイツと1次リーグでの対戦を回避出来たからです。意外だと思われますが、日本は過去の五輪とW杯では1度も1次リーグでは2位以内に入ったことがありません。それだけに、日本はこの絶好のチャンスを活かして、4大会ぶりの決勝トーナメント進出を果たさなくてはいけません。

B組に入った日本の対戦相手は、対戦順に、ニュージーランド(通算対戦成績4戦3勝1分)、メキシコ(通算対戦成績7戦5勝1敗1分)、イングランド(通算対戦成績2戦1敗1分)です。3ヶ国とも過去に公式戦で対戦経験があります。NZとは北京五輪の1次リーグの初戦で対戦し、先に2点のリードを許した後、終盤になんとか追いついて2-2で引き分け。下馬評が優位だっただけに不本意な結果でしたが、拾い物の勝ち点1を掴んだことが、準々決勝に進めた大きな要因となりました。メキシコとはW杯では過去に2度H&A方式で行われた大陸間プレーオフで対戦。前々回は日本の1勝1分(なお、この試合は国内開催の女子大会で初めて採用されたアウェーゴール方式)。前回は1勝1敗で並びますが得失点差で日本が上回り、いずれも日本が本大会の出場権を獲得しました。イングランドとは前回の2007年第5回中国大会の1次リーグの初戦で対戦し、ロスタイムで宮間あやのFKで追いついて2-2で引き分けました。ただ、この試合でドローに終わったことが響いて、準々決勝に進めませんでした。

NZとメキシコとは、親善試合でも最近対戦したことがあります。NZとは昨年11月14日にさいたまで対戦し、日本が2-1で勝利(→詳細はこちら)。メキシコとは、今年5月に国内で2度対戦し、日本が3-0、4-0といずれも勝利してます(→詳細はこちら)。また、年代別の大会においてもこの3ヶ国とは近年対戦したことがあります。NZとは9月にトリニダード・トバゴで開催されたU-17W杯の1次リーグの最終戦で対戦し、日本が6-0で完勝。メキシコとは7月にドイツで開催されたU-20W杯の1次リーグの初戦で対戦し、3-3の引き分け。イングランドとは、一昨年の2008年10~11月にNZで開催されたU-17W杯の準々決勝で対戦し、PK戦の末に敗北。7月のU-20W杯の1次リーグの最終戦でも対戦し、3-1で勝利してます。

たしかに、日本は第1シード国の利点を活かし、過去の大会に比べると割と楽な組み合わせだと思います。ただ、女子サッカーは1996年アトランタ五輪から正式種目になったこともあり、近年は世界各地域で強化に本腰を入れ始めて著しくレベルアップし、強豪国との地域差が無くなりつつあります。特に、今まで発展途上だと思われた地域は、近年若年層の育成と強化に力を入れております。如何せん、男子と比べると女子は競技人口が少ないので、若年層の強化はフル代表に直結しやすいからです。7~8月のU-20W杯では、各大陸内において2番手以下だと思われていた国の躍進が目立ちました。

メキシコもそうした国の一つです。U-20W杯では優勝候補だった日本はメキシコに大苦戦を強いられて辛うじてドローに終わり、結局この試合で勝ち点を失ったことが響いてしまい、無念の1次リーグ敗退を余儀なくされました。そして、今大会の北中米カリブ海予選を兼ねたゴールドカップ(同地域の大陸王者を決める大会)では、メキシコはなんと世界1位の米国を準決勝で2-1で倒し、米国をイタリアとの大陸間プレーオフに追いやりました(なお、プレーオフでは米国が2戦2勝で出場権を獲得)。イングランドも五輪開催国なので非常に強化されており、昨年8~9月にフィンランドで開催された欧州選手権で準優勝を飾ってます。なお、ロンドン五輪ではイングランドが実質的な「英国代表」として参加します(→詳細はこちら)。

他の組を展望すると、A組は開催国のドイツが断トツで強く、むしろ焦点は2位争いだと思われます。アフリカ勢は試合数が少ないので、世界ランキングで実力を測るのは難しいです。3ヶ国とも甲乙を付け難いので、優勝候補のドイツを相手に失点が少ないチームが有利になるでしょう。なお、日本が属するB組のチームはA組から勝ち上がったチームと準々決勝で対戦するので、日本としてはドイツとの対戦を避ける為にも1次リーグを首位で通過したいところです。また、身体能力に優れたナイジェリアとは相性が悪いので、なるべくなら避けたいです。

C組は米国、スウェーデン、北朝鮮が同居した文字通りの「死の組」です。この3ヶ国は今回で3回続けて同じ組に入りました(ちなみに、米国と北朝鮮は今大会で4回連続の対戦)。前々回は米国とスウェーデン、前回は米国と北朝鮮が勝ち抜きました。おそらく、初出場のコロンビアに勝ち点を落としたチームが脱落する可能性があります。ただ、コロンビアはU-20W杯では大方の予想を覆して4位入賞したので油断は禁物です。D組はブラジルが優位に立ち、初出場の赤道ギニアが不気味な存在です。おそらく、前回大会でも1次リーグで同組だった、前回4位のノルウェーと、前回ベスト8でアジア杯王者の豪州の両国の間で激しく2位の座を争うでしょう。

今回のW杯は、欧州勢にとってロンドン五輪欧州予選を兼ねており、五輪本大会で実質的な「英国代表」となるイングランドを除いた成績上位2チームに五輪出場権を与えられます。なので、イングランド以外の欧州勢はモチベーションが相当高いので、対戦する時は要注意です(特に決勝トーナメントでの対戦)。なお、ブラジルとコロンビアは、今大会の南米予選を兼ねて11月にエクアドルで行われたスダメリカーノ・フェメニーノがロンドン五輪南米予選も兼ねていたので、この両国がロンドン五輪では南米代表として出場します。

日本は準々決勝進出はもちろんのこと、北京五輪に続いてのベスト4進出も決して不可能な目標ではないです。それだけに、日本は1次リーグと対戦する国とはいずれも相性はそれほど悪くは無いので、寝首を掻かれない為にも、十全の準備を整えて臨まないといけないです。決してアジア競技大会の優勝だけで満足をしてはいけません。世界で羽ばたく為にも、今以上にレベルアップをする必要があるのです。そして、最終目標であるロンドン五輪で悲願のメダル獲得を目指す為にも、今大会で世界3強の壁を打ち破ってなでしこジャパンの新しい歴史を作ってほしいです。



▼女子W杯の過去の歴代成績
(大会名称は第1~3回大会までは「FIFA女子世界選手権」、第4回大会から現在の「FIFA女子ワールドカップ」)
                      優勝      2位         3位          日本の成績
第1回(1991年)中国大会       米国     ノルウェー     スウェーデン     1次リーグ敗退
第2回(1995年)スウェーデン大会   ノルウェー  ドイツ        米国          ベスト8
第3回(1999年)米国大会       米国      中国         ブラジル        1次リーグ敗退
第4回(2003年)米国大会       ドイツ      スウェーデン     米国           1次リーグ敗退
第5回(2007年)中国大会       ドイツ     ブラジル      米国          1次リーグ敗退

※第2回大会と第3回大会は五輪予選を兼ねており、五輪開催国を除いた上位7チームに本大会出場権が与えられました(2004年アテネ五輪以降の大会は大陸予選制を導入)。

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