うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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女子サッカーのロンドン五輪アジア予選の日程の概要が決まる

2011年02月13日 | サッカー(女子)
◆女子サッカーのロンドン五輪アジア予選の日程
※17チームが参加、アジアの出場枠は2

・1次予選
予めシードされた前回大会の成績上位5チーム(日本、中国、北朝鮮、豪州、韓国)は、1次予選と2次予選は免除。残りの12チームを地域別に3組に分け、セントラル方式(集中開催方式)で1回戦総当りのリーグ戦を実施。A組とC組から上位各2チーム、B組は首位チームの計5チームが2次予選に進出。

A組:台湾、香港、ミャンマー、タイ、ベトナム
(台湾・高雄で2011年3月18~27日まで開催)
B組:バングラデシュ、インド、ウズベキスタン
(バングラデシュ・ダッカで2011年3月18~22日まで開催)
C組:バーレーン、イラン、ヨルダン、パレスチナ
(ヨルダン・ザルカで2011年3月8~12日まで開催)

・2次予選
2011年6月3~12日に開催(会場未定)。1次予選を勝ち上がった5チームが参加し、セントラル方式で1回戦総当りのリーグ戦を実施。首位チームのみが最終予選に進出。

・最終予選  ←日本はこのラウンドから登場
2011年9月1~11日に中国の済南で開催。シード国の日本、北朝鮮、豪州、中国、韓国の5ヶ国と、2次予選首位チームの合計6チームが参加し、セントラル方式で1回戦総当りのリーグ戦を実施。上位2チームが本大会の出場権を獲得(なお、女子サッカーは世界最終予選と大陸間プレーオフは実施しない)。


ロンドン五輪アジア予選の関連ページ(wikiより)
※アジアサッカー連盟の(AFC)の日本語版のホームページはまだ更新されてませんので、詳細な事が分かり次第、その都度追記して変更いたします。


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今年2011年は、「なでしこジャパン」こと日本女子代表にとっては、2つの大きな国際大会を控えてます。まず1つ目は、6月26日~7月17日までドイツで開催されるW杯です。北京五輪に続いてベスト4以上の成績を目指す日本は、史上初めて第1シード国として大会に臨みます。そして2つ目は、W杯終了から1ヶ月半後の9月1~11日まで開催される、今年最大の目標であるロンドン五輪アジア最終予選です。3大会連続4度目の五輪出場を目指すこの戦いこそが、日本女子サッカー界の今後の運命を左右する、極めて重大な決戦だと言っても過言ではないです。

ロンドン五輪の本大会参加チームは12チームですが、アジアの出場枠はたった2つだけです。というのも、五輪の大陸別出場枠は、オセアニア以外の各大陸連盟は均等に2つずつ分配しているせいもあり、大陸間の実力差を全く考慮してないからです。つまり、強豪国が予選の段階で脱落することを意味します。逆に言えば、厳しい予選を勝ち抜いて本大会に出場すれば、自ずとメダル獲得の確率が高くなります。とはいえ、米国・ドイツ・ブラジルの世界3強の壁はまだ厚いとは思いますけど。だからこそ、まずは6月のW杯で好成績を収めて十全の準備をした上で、来るべき秋の決戦に臨まなくてはいけません。

予めシードされている日本はアジア最終予選から参加します。日本のライバルは、北朝鮮、豪州、中国、韓国の4ヶ国です。2次予選の勝者は間違いなく草刈場となります。女子サッカーは、競技そのものの発展形態が男子とは異なり、更には宗教的な制約などの影響もあるので、参加国はあまり多くはありません。上位5ヶ国とそれ以外とではかなりの実力差があります。しかし、男子と明らかに異なるのはレベルです。最新のFIFAランキングである2010年11月19日発表分だと、日本が5位、北朝鮮が6位、豪州が12位、中国が13位、韓国が18位です。この5ヶ国は全て世界20位以内に入っており、女子のアジアのトップクラスは世界的にも強豪地域なのを示してます。現時点でこの5強を細かく分析すると、日本・北朝鮮・豪州がトップクラスに位置し、1990年代の女王だった中国が低落し、韓国が猛追撃している構図です。ロンドン行きの2枚の切符を巡って、この5ヶ国が壮絶な“椅子取りゲーム”になるのは必至です。

日本は、2008年北京五輪で史上最高の4位入賞し、昨年は2月の東アジア選手権では中国と韓国を倒して大会2連覇を果たし、更には11月の広州アジア大会では地元中国と宿敵北朝鮮を破って悲願の初優勝を飾るなど、アジア最上位のランクに相応しい実績を残しております。安藤梢や永里優季など欧州のクラブで活躍している選手もおります。なので、五輪のメダル獲得は決して夢ではありません。しかし、今度の予選は決して楽観は出来ません。というのも、優勝した広州アジア大会は決して誉められた内容ではなかったからです(なお、この大会は国内組のみで編成)。準決勝で延長戦の末に辛勝した中国戦は敵地での戦いだったとはいえ、近年は力関係で完全に逆転した相手に大苦戦を強いられました。決勝の北朝鮮戦も、出足の鋭い北朝鮮の圧力に押されてかなり手こずりました。たしかに、日本は勝負所を見極めて決着を付けましたが、かつてのアジアの女王に対して、まるで10年以上前の力関係を彷彿とさせられるような内容でした。

更に、不気味な存在なのが豪州と韓国です。昨年5月のアジア杯(兼・W杯予選)の準決勝で日本は豪州と対戦。日本は、豪州自慢の優れた高さとパワーを剥き出しにした激しいプレッシャーに屈してパスサッカーが思うように出来ず、守備が乱れて0-1で敗れた苦い経験があります。それに、豪州はアジアオリンピック評議会(OCA)には非加盟なので、広州アジア大会には参加してません。一方、韓国は競技人口こそ大変少ないが、近年は若手育成に非常に力を入れており、昨年は8月のU-20W杯では3位入賞し、9月のU-17W杯では日本を決勝でPK戦の末に破って優勝するなど進境が著しいです。広州アジア大会でも中国に3位決定戦で2-0で勝利し、史上初めてアジアのフル代表の大会で表彰台に登りました。しかも、この広州アジア大会では、日本は韓国とは対戦してません。各国とも強化に本腰を入れているので、FIFAランキングとは裏腹にライバルとの実力差は紙一重だと思います。

今回のロンドン五輪アジア最終予選のレギュレーションは、前回北京五輪とは異なります。前回のアジア最終予選は、4チーム×2組に分かれて「H&A方式」で対戦し、各組首位チームのみが五輪出場権を獲得出来る方式でした。しかし、今回は参加6チームが1ヶ所に集まる「セントラル方式」で1回戦総当たりのリーグ戦を実施し、上位2位までが出場できます。今回の予選方式は抽選で別組に振り分けないので、概ね公平なシステムだと言えます。また、ライバルとは全て対戦するので、チームの強化にも繋がると思います。ただ、前回は中国が五輪開催国だったので予選免除されてましたが、今回は予選から参加します。更に、前回は約4ヶ月かけて戦う長期戦でしたが、今回はたった11日間だけの短期決戦なので、おそらく中1~2日の殺人的なハードスケジュールです。また、勝ち点で並んだ場合は得失点差も順位に関わるので、格下相手にターンオーバー制もやりづらく、全ての試合で難しい戦いを強いられます。なので、今回の予選は、今迄の大会の中で最も過酷で厳しい戦いとなります。

おそらく、対戦順と開催地が大きく勝負の明暗を分けると思います。短期決戦なだけに、序盤戦で躓いたら取り返しのつかない状況に陥ります。逆に言えば、序盤戦で連勝を飾れば、一気に勢いがつきます。対戦相手にもよりますが、絶対に初戦を負けないことが重要です。また、事前の情報収集や大会期間中の戦力分析など、入念なスカウティングも大切です。同時に、短期決戦だからこそ、自らのチームの選手の調子を見極めることも大切です。また、残暑が厳しい時期(豪州開催だと季節が逆)に行われるので、同じメンバーだけでは体力が持たないので、選手層を厚くする必要もあります。日本はW杯に続いて、短い期間で大きな大会に続けて臨むので、精神面の維持や体調管理も問われると思います。

最終予選の会場はまだ未定ですが、出場する6ヶ国の中から選ばれるそうです。5強の実力が接近しているだけに、ホームアドバンテージを得る為にも、日本は最終予選の誘致に名乗りを挙げるべきでしょう。ましてや、日本は過去に北朝鮮の地で1度も試合をしたことがありません。マスゲームで御馴染みの金日成スタジアムは人工芝なので、不慣れな日本にとっては不利に傾くから、この国での開催は是非とも避けたいところです(たぶん、北朝鮮は外交上問題があるから開催地には選ばないとは思うけど)。とはいえ、日本は昨年1月、東アジア選手権に参加する北朝鮮チームに対して、政府が入国拒否を検討し、国際サッカー連盟(FIFA)から制裁処分を危うく喰らいそうになった事があります(→詳細はこちら)。最終的には北朝鮮が自ら大会を辞退して事なきを得ますが、如何せん民主党政権(ひょっとしたら9月までに党が分裂&消滅して別の政権かも?)はスポーツに無知だから、余計な事をして足を引っ張らなければよいのですがね・・・。

なでしこジャパンの国際大会での活躍とは対照的に、現在の国内女子サッカー界を取り巻く環境は、長引く不況も影響して決して良くはありません。なにせ、国内女子サッカー界を長年に渡ってリードしてきた日テレベレーザですら、親会社の経営不振の影響で、プロ契約していた澤穂希と大野忍だけでなく、アマチュア契約だった近賀ゆかりと南山千明の代表クラスの4選手を、今年1月にINAC神戸レオネッサに放出したほどですから。如何せん、プロリーグのある男子と違って、女子は「なでしこジャパンあってのなでしこリーグ」という歪な状況なので、代表チームの成績が国内女子サッカー界の浮沈を握ってます。もし今回五輪出場権を逃すと、シドニー五輪出場を逃して各企業が潮を引くように撤退した、あの真冬の暗黒時代に逆戻りしかねないです。だからこそ、逆境に追い詰められた時に真の強さを発揮する、なでしこジャパンの選手たちの奮闘に心から期待したいです。


〔追記〕
日本サッカー協会は2月28日、ロンドン五輪アジア最終予選の開催地が中国の山東省の済南に決定したことを発表しました(→詳細はこちら)。過去に中国は、五輪、W杯、アジア大会、アジア杯、東アジア選手権など、女子の大きな国際大会を何度も開催した実績があります。ただ、会場に選ばれた最大の決め手は、やはり外交上問題のある国である北朝鮮の存在だと思われますね。中国開催なので、反日ブーイングに晒されて完全敵地となりますが、日本は何度もこの地で戦って結果も残しているので、極端な苦手意識は無いと思います。中国はW杯出場を逃すなど近年は低迷してますが、五輪最終予選を地元開催できる分、じっくりと調整しているはずなのでかえって不気味ですね(同じく、W杯に出場しない韓国も要警戒です)。だからこそ、なでしこジャパンは事前準備を万全にして、9月決戦に挑まなくてはいけないです。




▼なでしこジャパンの2011年の主な日程

・アルガルベカップ(3月2~9日 @ポルトガル・アルガルベ)
 vs米国(3月2日 @ポルトガル・アルガルベ)
 vsフィンランド(3月4日 @ポルトガル・アルガルベ)
 vsノルウェー(3月7日 @アウポルトガル・アルガルベ)
 順位決定戦(3月9日 @ポルトガル・アルガルベ)

・海外遠征(5月) ※対戦相手未定

・国際親善試合(6月18日 @愛媛・ニンジニアスタジアム) ※対戦相手未定

・FIFA女子W杯ドイツ大会(6月26日~7月17日 @ドイツ)
 vsニュージーランド(6月27日 @ボーフム/レヴィアパワーシュタディオン)
 vsメキシコ(7月1日 @レバークーゼン/バイ・アレーナ)
 vsイングランド(7月5日 @アウグスブルグ/インパルス・アレーナ)
 準々決勝:7月9日または10日
 準決勝:7月13日
 3位決定戦:7月16日
 決勝:7月17日

・ロンドン五輪アジア最終予選(9月1~11日 @中国・済南)



▼ロンドン五輪女子サッカーの出場資格
(本大会の女子は12チームが参加して行われます)

開催国:英国 (実質的なイングランド代表の単独チームです)
欧州(2):6~7月にドイツで開催されるW杯で、欧州勢の成績上位2ヶ国が五輪出場権獲得
南米(2):ブラジル、コロンビア
北中米・カリブ海(2):2012年にカナダで開催される大陸予選の上位2ヶ国が五輪出場権獲得
アフリカ(2):大陸予選の上位2ヶ国が五輪出場権獲得
アジア(2):9月に開催される大陸予選の上位2ヶ国が五輪出場権獲得
オセアニア(1):大陸予選首位の国が五輪出場権獲得


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☆前回4位入賞した北京五輪のなでしこジャパンの名場面集。
最後で力尽きて敗れたとはいえ、その戦いぶりは優勝した米国の監督から「未来の女子サッカーのお手本」と高く評価されました。日本は、更なるレベルアップをして必ずこの大舞台に戻り、今度こそ悲願の五輪メダル獲得を目指したいです。

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