サッカーの東アジア選手権（２月６～１４日・東京）を主管する日本サッカー協会は１２日、女子の北朝鮮代表が参加を辞退し、代替チームとして台湾代表が出場すると発表した。北朝鮮は入国をめぐる日本側の対応に抗議し、謝罪を求めていた。
北朝鮮チームの入国については昨年１２月、拉致問題担当相を兼務する中井洽国家公安委員長が「（北朝鮮に）制裁がかかっている段階だから当然反対だ」と発言。最終的に日本政府は入国を許可し、大会出場に支障はなくなったが、北朝鮮側の反発は根強く、１１日に参加辞退の最終決定を通知してきたという。
北朝鮮には大会規定に従って最大１万ドル（約９２万円）の罰金が科されるが、それ以上の制裁はない見通し。日本協会副会長で、大会を主催する東アジア・サッカー連盟の小倉純二会長は「東アジアの話であって、ＦＩＦＡ（国際サッカー連盟）とは関係ない」と話し、北朝鮮が国際的な制裁の対象にはならないとの認識を示した。
〔共同通信 2010年1月12日の記事より〕
＊ ＊ ＊ ＊ ＊
先月から騒動になっていた北朝鮮の東アジア選手権の参加問題。中井洽・国家公安委員長が北朝鮮に対する制裁措置を理由に、代表チームの入国に反対。一旦は、北朝鮮の大会参加は危ぶまれましたが、今月4日に政府は入国手続きのリミットや国際サッカー連盟（FIFA）の制裁を恐れて翻意して入国を許可。しかし、北朝鮮は「謝罪もない上に、今の状況では選手の安全が保たれない」などの理由で、自ら大会参加辞退の決定をしました。
ただ、今回は日本サッカー協会は命拾いしたと思います。というのも、もし日本政府の決定によって北朝鮮女子代表チームを入国拒否していたら、日本サッカー協会はFIFAから資格停止処分を受けている可能性が高かったからです。ただ、今回は、北朝鮮自身の判断で大会参加を辞退した形となるので、日本サッカー協会への処分は免れます（逆に北朝鮮は理由も無く辞退したので罰金処分を課せられます）。もしこの処分を受けたら、日本は男女の全年代の代表チーム＆クラブチームが国際試合禁止処分を受けるので、壊滅的な打撃を被ってました。ただ、「なでしこジャパン」にとっては、アジア女王・北朝鮮と公式戦で戦う貴重な機会を失いました。3枚のW杯出場権を賭けた5月のアジア杯（＠中国・成都）に影響しない事を祈ります（なお、日本は北朝鮮とは同組で5月23日に対戦します）。
たしかに、今回は日本サッカー協会への処分が免れる見通しなので丸く収まったのかもしれません。しかし、これで本当に良かったと言えるとは到底思えません。それどころか本質的には何も解決しておりません。何故かというと、北朝鮮とは、今後あらゆる大会の抽選の結果次第では、同じ組に入って対戦する可能性があるからです。現在の民主党政権の姿勢だと、W杯予選や五輪予選のようなホームアンドアウェー方式の場合、今回のような北朝鮮代表チームの日本への入国だけでなく、今度は日本代表チームの北朝鮮への渡航の問題が必ず発生すると思います。
問題の解決策としては開催地を中立国に移すことも可能でしょう。実際に30数年前の日本は「警備上の理由」でイスラエルを相手にホームでの試合を返上した事があります（→詳細はこちら）。ただし、この措置はサポーターにとっては観戦する機会を奪われる事を意味します。もちろん、ホームアドバンテージもありません。対外的に見ても、スポーツ選手団の安全と身分を保証を出来ない不安定な国だと思われます（テロ支援＆犯罪国家の北朝鮮に、これを言われるのは本当に癪だけどね）。せっかく招致した国際大会の開催権を安易に放棄するのは、競技団体や参加国に迷惑を掛けるので、国際社会に対する著しい信用失墜行為です。極めて恥ずかしい事態だと思ったほうが良いです。
サッカーはあらゆる競技の中で全世界で最も愛好されている競技である以上、自国にとって好ましくない敵性国家とも対戦する可能性があります。国境を越えて対戦する可能性が頻繁にあるからこそ、サッカー協会に対する政府介入が許されないのは世界的な常識です。これは、サッカーだけでなく全ての競技も同様です。もちろん、我が国の同胞が北朝鮮によって拉致されたのは許せない犯罪であり、徹底的に制裁を加えるべきです。しかし、駆使する手段を間違ったら逆効果です。ましてや、時の政権の都合や政治家の恣意的な運用で振り回されたら、安定した国際大会の開催は不可能です。つまり、日本は国際大会を開催する能力が皆無だと国際社会から見なされます。残念ながら、現在の民主党政権にはこの認識が全く存在しません。
現在のあやふやな姿勢だと、今後も同様の問題が発生する可能性は否定できないです。彼らの唱える“政治主導”によって振り回されるのはもうまっぴらです。頼むから、無能な政治屋によって「なでしこジャパン」の強化を妨害をするのだけは本当に勘弁願いたいです。
▼東アジアサッカー選手権2010 決勝大会 （東京の2会場で開催）
・男子
2月 6日（土） 19：15 日本 対 中国 【味の素スタジアム】
2月 7日（日） 19：15 韓国 対 香港 【国立競技場】
2月10日（水） 19：15 中国 対 韓国 【味の素スタジアム】
2月11日（木） 19：15 日本 対 香港 【国立競技場】
2月14日（日） 16：30 香港 対 中国 【国立競技場】
〃 19：15 日本 対 韓国 〃
・女子
2月 6日（土） 15：30 日本 対 中国 【味の素スタジアム】
2月 7日（日） 16：30 韓国 対 台湾 【国立競技場】
2月10日（水） 16：30 中国 対 韓国 【味の素スタジアム】
2月11日（木） 15：15 日本 対 台湾 【国立競技場】
2月13日（土） 13：00 中国 対 台湾 【味の素スタジアム】
〃 15：30 日本 対 韓国 〃
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北朝鮮チームの入国については昨年１２月、拉致問題担当相を兼務する中井洽国家公安委員長が「（北朝鮮に）制裁がかかっている段階だから当然反対だ」と発言。最終的に日本政府は入国を許可し、大会出場に支障はなくなったが、北朝鮮側の反発は根強く、１１日に参加辞退の最終決定を通知してきたという。
北朝鮮には大会規定に従って最大１万ドル（約９２万円）の罰金が科されるが、それ以上の制裁はない見通し。日本協会副会長で、大会を主催する東アジア・サッカー連盟の小倉純二会長は「東アジアの話であって、ＦＩＦＡ（国際サッカー連盟）とは関係ない」と話し、北朝鮮が国際的な制裁の対象にはならないとの認識を示した。
〔共同通信 2010年1月12日の記事より〕
＊ ＊ ＊ ＊ ＊
先月から騒動になっていた北朝鮮の東アジア選手権の参加問題。中井洽・国家公安委員長が北朝鮮に対する制裁措置を理由に、代表チームの入国に反対。一旦は、北朝鮮の大会参加は危ぶまれましたが、今月4日に政府は入国手続きのリミットや国際サッカー連盟（FIFA）の制裁を恐れて翻意して入国を許可。しかし、北朝鮮は「謝罪もない上に、今の状況では選手の安全が保たれない」などの理由で、自ら大会参加辞退の決定をしました。
ただ、今回は日本サッカー協会は命拾いしたと思います。というのも、もし日本政府の決定によって北朝鮮女子代表チームを入国拒否していたら、日本サッカー協会はFIFAから資格停止処分を受けている可能性が高かったからです。ただ、今回は、北朝鮮自身の判断で大会参加を辞退した形となるので、日本サッカー協会への処分は免れます（逆に北朝鮮は理由も無く辞退したので罰金処分を課せられます）。もしこの処分を受けたら、日本は男女の全年代の代表チーム＆クラブチームが国際試合禁止処分を受けるので、壊滅的な打撃を被ってました。ただ、「なでしこジャパン」にとっては、アジア女王・北朝鮮と公式戦で戦う貴重な機会を失いました。3枚のW杯出場権を賭けた5月のアジア杯（＠中国・成都）に影響しない事を祈ります（なお、日本は北朝鮮とは同組で5月23日に対戦します）。
たしかに、今回は日本サッカー協会への処分が免れる見通しなので丸く収まったのかもしれません。しかし、これで本当に良かったと言えるとは到底思えません。それどころか本質的には何も解決しておりません。何故かというと、北朝鮮とは、今後あらゆる大会の抽選の結果次第では、同じ組に入って対戦する可能性があるからです。現在の民主党政権の姿勢だと、W杯予選や五輪予選のようなホームアンドアウェー方式の場合、今回のような北朝鮮代表チームの日本への入国だけでなく、今度は日本代表チームの北朝鮮への渡航の問題が必ず発生すると思います。
問題の解決策としては開催地を中立国に移すことも可能でしょう。実際に30数年前の日本は「警備上の理由」でイスラエルを相手にホームでの試合を返上した事があります（→詳細はこちら）。ただし、この措置はサポーターにとっては観戦する機会を奪われる事を意味します。もちろん、ホームアドバンテージもありません。対外的に見ても、スポーツ選手団の安全と身分を保証を出来ない不安定な国だと思われます（テロ支援＆犯罪国家の北朝鮮に、これを言われるのは本当に癪だけどね）。せっかく招致した国際大会の開催権を安易に放棄するのは、競技団体や参加国に迷惑を掛けるので、国際社会に対する著しい信用失墜行為です。極めて恥ずかしい事態だと思ったほうが良いです。
サッカーはあらゆる競技の中で全世界で最も愛好されている競技である以上、自国にとって好ましくない敵性国家とも対戦する可能性があります。国境を越えて対戦する可能性が頻繁にあるからこそ、サッカー協会に対する政府介入が許されないのは世界的な常識です。これは、サッカーだけでなく全ての競技も同様です。もちろん、我が国の同胞が北朝鮮によって拉致されたのは許せない犯罪であり、徹底的に制裁を加えるべきです。しかし、駆使する手段を間違ったら逆効果です。ましてや、時の政権の都合や政治家の恣意的な運用で振り回されたら、安定した国際大会の開催は不可能です。つまり、日本は国際大会を開催する能力が皆無だと国際社会から見なされます。残念ながら、現在の民主党政権にはこの認識が全く存在しません。
現在のあやふやな姿勢だと、今後も同様の問題が発生する可能性は否定できないです。彼らの唱える“政治主導”によって振り回されるのはもうまっぴらです。頼むから、無能な政治屋によって「なでしこジャパン」の強化を妨害をするのだけは本当に勘弁願いたいです。
▼東アジアサッカー選手権2010 決勝大会 （東京の2会場で開催）
・男子
2月 6日（土） 19：15 日本 対 中国 【味の素スタジアム】
2月 7日（日） 19：15 韓国 対 香港 【国立競技場】
2月10日（水） 19：15 中国 対 韓国 【味の素スタジアム】
2月11日（木） 19：15 日本 対 香港 【国立競技場】
2月14日（日） 16：30 香港 対 中国 【国立競技場】
〃 19：15 日本 対 韓国 〃
・女子
2月 6日（土） 15：30 日本 対 中国 【味の素スタジアム】
2月 7日（日） 16：30 韓国 対 台湾 【国立競技場】
2月10日（水） 16：30 中国 対 韓国 【味の素スタジアム】
2月11日（木） 15：15 日本 対 台湾 【国立競技場】
2月13日（土） 13：00 中国 対 台湾 【味の素スタジアム】
〃 15：30 日本 対 韓国 〃
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