あるママの誕生日

昨夜は台風接近の影響で店はガラガラ

早い時間に久々のナツミから電話

「近くに居るんだけど…」

開店前だったが、既にメイクを終えていた私は

「久しぶりだから、顔出してよ～」と懇願

３分後に彼女はドアを開いた

既に何処かで飲んでたようで良い塩梅だ

「良い事有ったみたいじゃない」

ナツミは会社の後輩の若い男と飲んでたらしい

彼女はお局様だが若い後輩からも慕われていて

恋の悩みを打ち明けられたりするのだとか

女性を意識させないサバサバした性格なので

同僚や後輩の男性がよく飲み会に誘ってくるそうだ

そんな彼女が、唯一弱い女の部分を垣間見せるのが

ウチの店だ

会社で嫌な事があったり、落ち込んでる時に

よく遊びに来てはティッシュで涙を拭いていた


今夜は速水のパパと隣町のママの誕生日を祝いに行く予定だ

パパからはまだ連絡がなかったので

ナツミの話を聞いていた

そこへ携帯が明るいメロディーを奏でた

パパは何処かのクラブで飲んでるようだ

ナツミの話をまだ５分しか聞いてなかったが

新人のバンビにバトンタッチして

タクシーに飛び乗った

「アタシ、この子好きかも知れない」と

ナツミはバンビを気に入ってくれたようでホッとした


雨が激しくなって来た

運転手さんは顔馴染みの中山さんだった

彼もたまに店に遊びに来てくれる

気さくでとっても楽しい人だ

世間話で大笑いしながら待ち合わせ場所に到着


お店の前でパパと合流

さっきまで居たお店の女の子が付き添っている

彼女は、以前パパが指名してた子の従姉妹で

すぐ下のクラブで働いている

見た目は貫禄があるが腰が低くて誠実な人だ

お客様を他の店まで送る心遣いもさすがだ


店の入り口の所に飾られた豪華な花に目を惹かれた

パパの名前が入っている

今回はまた一段と素晴らしい

それにしてもお花ってホントに心を和ませてくれる

甘い香りが入り口に漂っていた


店内に入ると

外の天気など関係ないかの様に大盛況

ママのお誕生日を祝う為に大勢のお客様が見えていた

来年は１０周年を迎えるこのお店

女の子はどの子もレベルは高いけど

何よりも大らかでいつも笑顔を絶やさない

ママの魅力がひときわ光っている

色んなお店のママとお付き合いさせていただいているが

ここのママが一番好きかも知れない


ここの所何かと忙しい中をわざわざ時間を作ってくれて

このお店に連れて来てくれたパパに心から感謝