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アフリカの都市を脅かす若年層の暴力(2)〜コートジボワール・アビジャン[ミクロブ]

2016-07-22 07:30:59 | アフリカ情勢
アフリカにおいても、イスラム国(IS)やアルカイダ系組織など、暴力的過激主義の問題がクローズされているが、大都市ではもっと身近な青少年暴力集団の問題が差し迫って感じられている。

前回はコンゴ民主共和国の「クルナ」(Kulunas)について述べてみた。

アフリカの都市を脅かす若年層の暴力(1)〜コンゴ・キンシャサ[クルナ]

今日は当地コートジボワール、大都市アビジャンで猛威を振るう「ミクロブ」(Microbes)について見てみよう。

(abidjantv.netウェブサイトより)


'Microbe'とはフランス語の辞書によればこうある。

(プチロワイヤル仏和辞典第3版)
microbe   / mi-krɔb ミクローブ /  男   ❶  (病原体としての)微生物; ⦅特に⦆  細菌   ❷ ⦅話⦆  ちびすけ,  でき損ない

そう、市民には「できそこないのちびすけの集団」が、細菌のように増殖しているように映っている。

ミクロブたちの存在が確認されてきたのは2011年の選挙後内戦終了後、アビジャンが復興に向けて急速に動き出した時期に符合する。主な活動範囲はアボボ、アジャメ、アテクベ、ヨプゴンなどの人口が密集する、あまり生活環境のよくない下町の住宅地である。そして最近ではリビエラ・バドンなど、高級住宅の立ち並ぶココディ地区の郊外でも騒乱事件が引き起こされている。

ミクロブのメンバーは実に若い十代前半が中心。中には8歳、9歳という年齢の少年も含まれる。なたやナイフ、時おり銃器などの凶器をもち、一般人や民家、商店、市場を襲い、しばしば放火し、金品強奪、傷害、殺害もはたらく。また奪った金品で麻薬を常習する。

特に2015年半ごろ、ミクロブ内での対立から、当時のリーダーがリンチ死に至る事件があった。以降は市民に対する強盗、襲撃に加え、グループ内の抗争による規模の大きな衝突、乱闘が発生している。

この事件の背景には、コートジボワールの政治的背景が大きく影響していると指摘する向きがある。危機下においてローラン・バグボ前大統領は青少年を煽り、暴力を働かせた。アビジャンの若年層の一部にその暴力的性格が残された。また現在のミクロブの背後には、社会統合されていない旧武装勢力が上納組織として存在するとも言われる。

ミクロブの一部は身寄りなく、アボボ、アテクベに身を寄せている。他方で、家族とともに自宅に住むものもいる。親が共犯者となり、息子が働いた犯罪で得られた金品で生活する、という点は、コンゴ・キンシャサのクルナと符合する。それからアビジャン市民によれば「ミクロブはほとんどムスリムだ」といわれている。


ミケロブという暴力的社会現象。コートジボワールの政治や混乱の歴史を引きずったものではあるが、前回ご紹介したキンシャサのクルナに、多くの点が符合する。もう一つの「暴力的過激主義」。問題の根は社会、経済、政治の奥深くに根ざしている。今後、このような動きがアフリカの都市問題としてさらに浮上してくることが危惧される。

(おわり)

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