ぶらぶら★アフリック

アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

哀愁のラテンアフリカ、カーボヴェルデ

2016-07-05 07:30:52 | アフリカ紀行
遥かなるカーボベルデ。日本ではあまり耳にしない地名かもしれないが、アフリカではいろいろ注目される国だ。正式国名をカーボヴェルデ共和国(República de Cabo Verde)という。10の主要な島からなる小さな島嶼国、そのほとんどが火山島だ。そこに53.9万人が暮らす。

殺風景な島々には、どこか物悲しい空気と、控えめながらも底抜けに明るく、陽気な人々の息遣いが感じられる。アフリカであってラテン。アフリカとポルトガルとブラジルの間。そう、ラテンアフリカンな空気なのだ。

その独特の雰囲気は訪れるものを癒してやまない。心にキュン、とくる。


15世紀、大航海時代にポルトガルが渡来するまで、この群島は無人であったという。その後、ヨーロッパと中南米、アジアとの中継貿易で栄え、アフリカからの奴隷が多くここを経由した。一説には奴隷から逃れて、山の奥に住み着いた人たちがこの国の祖先であるという。急峻で水もない火山島。そこまで逃れれば追っ手が来ない、というところに人々は暮らした。なるほど、今でもカーボヴェルデでは、山の斜面で暮らし、耕し、日々の生活をおくっている人々をたくさん目にする。

(急峻な丘の上まで耕されている。サンチャゴ島)


その後、カーボベルデはギニアビサウ、サントメ・プリンシペ、アンゴラ、モザンビークなどともにポルトガルの植民地となる。英仏領の植民地はその後、二つの世界大戦にアフリカ人兵員を動員し、1960年前後の独立に向かっていく。他方、ポルトガルのサラザール政権は列強から距離を置いた。カーボベルデは、他のポルトガルの植民地同様、世界大戦からも独立からも遠ざかった。

大戦後、世界は冷戦構造に取り込まれていった。アフリカのポルトガル植民地では、キューバのカストロなどの支援を受け、社会主義革命の闘争が繰り広げられた。

1975年に5つのポルトガルの5つの領土がそれぞれ独立すると、誕生した国家はいずれも社会主義化し、内戦に突入した。それは冷戦の代理戦争でもあった。一党制下のカーボベルデ政権は、「ギニアとカーボベルデの独立のためのアフリカ党」(Partido Africano para a Independência da Guiné e Cabo Verde: PAIGC)。つまりギニアビサウと共同の国家を目指していた。この時代に、カーボベルデの人々は、ソ連、ポーランド、キューバ、中国などの社会主義同盟国に多数留学した。今でも現地のシニア層になんちゃってロシア語で話しかけると、たいへんウケる。

ベルリンの壁が崩壊し、アフリカに民主化の流れがやってくると、カーボベルデでも複数政党制が導入された。初めての選挙で、民主主義運動(Movimento para a Democracia: MpD)のアントニオ・マスカレニャス・モンテイロがSPAIGCを破り勝利。平和裡の政権交代を成功させた。


その後もおおむね安定した政治運営を続け、評価は高い。アフリカのガバナンス指標を表すモイブライマ指標(Indice Mo Ibrahima)では、カーボベルデはモーリシャスに次いで第二位である。またほとんど資源もない小さな島にもかかわらず、わずかな農業、水産業、観光などの産業で一人あたり3,290ドルの国民総生産を達成。貧困国からの卒業に成功した。そのウラには、80万人とも、100万人ともいわれる国外在住者(ディアスポラ)からの海外送金がある。選挙結果も海外票の影響が少なくない。


カーボベルデといえばZoukといわれるラテンアフリカンなポップスで有名。セザリア・エヴォラのブレイクをきっかけに、ヨーロッパでも大人気だ。もともとポルトガル語圏には、独特のクリオール音楽文化が展開する。どこかラテンで、どこかマイナーコードの哀愁が漂うラテンの旋律。単調なパーカッションのポリリズムは、カーボベルデの殺伐とした風景と相まって、心にしみてくる。




そのカーボベルデ。きょうが41回目の独立記念日である。ンボテの最後の訪問は2007年だっただろうか。再びあの丘の上に立ち、潮風に吹かれながら、プライアの海岸を眺めてみたい。



(おわり)


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4 コメント

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サウダージ満載 (らすた)
2016-07-06 06:23:59
元ポ族のらすたはカーボヴェルデ未踏ですが、nboteさんの全文に哀愁を感じ、久しぶりにセザリアエボラの唄を聴きたくなりました。
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Re:サウダージ満載 (ンボテ)
2016-07-06 08:36:11
ラスタさま
いつもありがとうございます。ポ族ですか〜、ンボテも修行中ですが、これもカーボベルデやギニアビサウのため。カーボベルデは本当に癒される国です。それもどこかマイナーコードで。セザリア・エヴォラの感性の世界が広がっています。ああ、哀愁のカーボベルデ!!
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Unknown (堀本隆保)
2017-07-06 21:54:33
裸足の歌姫の話は、ケニア時代に聞きました!!一度、いってみたいですね。
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Re:Unknown (ンボテ)
2017-07-17 06:17:26
堀本さん、セザリアの伝説は色々語り継がれていますね!アフリカ文化ネタにも引き続きご支援ください!!
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