イスラーム映画祭がいよいよ開幕した。連日盛況で平日でも相当のお客様がお見えとのこと。ご不便をおかけしているが、なんにせよイスラームへの健全な関心が高まるのはとてもよいことだと思う。
ンボテがお手伝いしたのは12月12日(土)の初日。足をお運びくださった皆様、またンボテのつたないトークをお聞きくださった皆様に、心から感謝申し上げたい。
(左からンボテ、イスラーム映画祭主催藤本さん、青木ラフマトゥさん)
その日も会場には実にたくさんのお客様。封切り映画の'Timbuktu'(邦題『禁じられた歌声』)、2本目の『トンブクトゥのウッドストック』とも、開演前早々に札止めとなり、立ち見の方もたくさんいらった。ンボテの知人でも少なくとも5人の方から入れなかったとの連絡をいただいた。申し訳ない。
ンボテもこの日は早めに会場入り。関係者へのご挨拶に加え、トークに向けた機材や舞台周りのチェックを早々に済ませる。
会場には報道陣もお見えになっていた。取材されていたNHK、日本テレビ系列では、早速夕方からニュースでイスラーム映画祭の開幕について報じられた。
またNHK国際放送局(フランス語放送)からもインタビューをいただいた。こちらもそのうち放送されると思うので、詳細決まり次第、ご紹介したい。
一本目の'Timbuktu'については、解説トーク前にもう一度を見ておきたかった。関係者の席が用意されていたが、会場があふれてしまいそうだったので、早々に席をお譲りして、最後列から立ち見させてもらった。
さてこの'Timbuktu'。ニジェール川のほとりに今日も変わらず流れる時と生活。イスラーム武装勢力の非人道的な支配のもとに、変わり果ててゆく日々。そんな日常と非日常が交錯する中で、主人公のトゥアレグ、キダーンの家族の生き様と戦いを描いた作品。
上映後のトークセッションでいただいたお題は『映画から読み解く、イスラム過激派と西アフリカ・サヘル地域のいま』。映画のエンディングには重い結末を迎えたこともあり、会場は少し重苦しい雰囲気に。トークでは地誌と歴史、現代西アフリカ世界の展開、そして2000年代後半のイスラーム武装勢力侵入による治安悪化などに触れた。そして映画の舞台背景である2012年を挟み、トンブクトゥで起きてきたこと。その後起きていることについてお話しした。最後には、前回訪日時にアブデラマン・シサコ監督が語った、映画にまつわるいくつかのエピソードを添えて、トークを終えた。
アブデラマン・シサコ監督のエピソードについてはこちらでもご紹介しています↓
映画『ティンブクトゥ』監督の描きたかったものとは?~アブデラマン・シソコ監督来日(3)
2本目の上映は『トンブクトゥのウッドストック』。こちらの映画は2011年、マリ内戦化、イスラーム武装勢力による侵入前夜にあたる。そこで開催された混乱前「最後」の音楽祭のメイキング・オブを描いたドキュメンタリーだ。砂漠に響く旋律とともに、トゥアレグのアイデンティティーと主張が力強く込められている。
ンボテはこの上映時間には楽屋へ。ゲストとしてお迎えした青木ラフマトゥさんとのトークに向けた準備をしていた。ラフマトゥさんは日本でたった4人のトゥアレグ族のひとり。この映画のトークをご一緒するのはこれで二回目。今回も笑いの絶えないトークにしよう。そして「お色直し?!」。毎度おなじみ、トゥアレグの伝統衣装に身を包んだ。
そしてトークセッションへ。上映後の会場の空気はさっきと異なり、重苦しさがなかった。つかみの反応もとてもよい。そう、この映画はチカラを与えてくれるのだ。
舞台背景を軽くご紹介したところでラフマトゥさんを壇上にご紹介。
(写真・夏目深雪さんご提供)
ゲストトークのタイトルは『平和と音楽を愛するサハラ砂漠の民、トゥアレグの魅力』。まずは砂漠に生まれ、トゥアレグに暮らした彼女が日本にたどり着くいきさつを追った。サムライを探し求める旅、残念ながらまだおめあては見つかっていないそうだ。しかし日本にいても遊牧の伝統は捨てられず?!家庭内移住を繰り返すフシギ笑。
その後映画の場面から、トゥアレグと音楽、トゥアレグのアイデンティティー、トゥアレグの女性をテーマにトークを進行。「イスラームである前にトゥアレグ」という伝統の墨守。女性が自由で社会の中心的役割を持っているとのお話しは、典型的なイスラームやアフリカ社会のイメージとは全く異なるものだ。離婚も自由、その暁には歌と踊りを交えたお祭りが催されるそうだ。
話は食生活にも及ぶと「トゥアレグの料理はスパイスがいのち」。12種類の香辛料が料理に独特の味と風味を与えるそう。でも欠かせないのが「13種類目のスパイス」。それは「砂漠の砂」だそうだ。そして食後のお茶の儀式。「一杯目は人生のように苦く、二杯目は友情のように優しく、三杯目は愛のように甘く。」
最後には女たちが喜びを表現する際に口にする呼び声、「トゥルルルル、、、」。会場にこだましてトークを終えた。
この「イスラーム映画祭」という素晴らしい企画のスタートに、また足をお運びくださったお客様の映画背景理解に、少しでもお力になれたとしたら本望である。
追伸・映画'Timbuktu'(邦題『禁じられた歌声』)は、12月26日から渋谷ユーロスペースで一般公開。そしてその後は全国で上映されます。今回ご覧になれなかった方、ぜひ足をお運びください!→公開予定はこちら。
(おわり)
ンボテがお手伝いしたのは12月12日(土)の初日。足をお運びくださった皆様、またンボテのつたないトークをお聞きくださった皆様に、心から感謝申し上げたい。
(左からンボテ、イスラーム映画祭主催藤本さん、青木ラフマトゥさん)
その日も会場には実にたくさんのお客様。封切り映画の'Timbuktu'(邦題『禁じられた歌声』)、2本目の『トンブクトゥのウッドストック』とも、開演前早々に札止めとなり、立ち見の方もたくさんいらった。ンボテの知人でも少なくとも5人の方から入れなかったとの連絡をいただいた。申し訳ない。
ンボテもこの日は早めに会場入り。関係者へのご挨拶に加え、トークに向けた機材や舞台周りのチェックを早々に済ませる。
会場には報道陣もお見えになっていた。取材されていたNHK、日本テレビ系列では、早速夕方からニュースでイスラーム映画祭の開幕について報じられた。
またNHK国際放送局(フランス語放送)からもインタビューをいただいた。こちらもそのうち放送されると思うので、詳細決まり次第、ご紹介したい。
一本目の'Timbuktu'については、解説トーク前にもう一度を見ておきたかった。関係者の席が用意されていたが、会場があふれてしまいそうだったので、早々に席をお譲りして、最後列から立ち見させてもらった。
さてこの'Timbuktu'。ニジェール川のほとりに今日も変わらず流れる時と生活。イスラーム武装勢力の非人道的な支配のもとに、変わり果ててゆく日々。そんな日常と非日常が交錯する中で、主人公のトゥアレグ、キダーンの家族の生き様と戦いを描いた作品。
上映後のトークセッションでいただいたお題は『映画から読み解く、イスラム過激派と西アフリカ・サヘル地域のいま』。映画のエンディングには重い結末を迎えたこともあり、会場は少し重苦しい雰囲気に。トークでは地誌と歴史、現代西アフリカ世界の展開、そして2000年代後半のイスラーム武装勢力侵入による治安悪化などに触れた。そして映画の舞台背景である2012年を挟み、トンブクトゥで起きてきたこと。その後起きていることについてお話しした。最後には、前回訪日時にアブデラマン・シサコ監督が語った、映画にまつわるいくつかのエピソードを添えて、トークを終えた。
アブデラマン・シサコ監督のエピソードについてはこちらでもご紹介しています↓
映画『ティンブクトゥ』監督の描きたかったものとは?~アブデラマン・シソコ監督来日(3)
2本目の上映は『トンブクトゥのウッドストック』。こちらの映画は2011年、マリ内戦化、イスラーム武装勢力による侵入前夜にあたる。そこで開催された混乱前「最後」の音楽祭のメイキング・オブを描いたドキュメンタリーだ。砂漠に響く旋律とともに、トゥアレグのアイデンティティーと主張が力強く込められている。
ンボテはこの上映時間には楽屋へ。ゲストとしてお迎えした青木ラフマトゥさんとのトークに向けた準備をしていた。ラフマトゥさんは日本でたった4人のトゥアレグ族のひとり。この映画のトークをご一緒するのはこれで二回目。今回も笑いの絶えないトークにしよう。そして「お色直し?!」。毎度おなじみ、トゥアレグの伝統衣装に身を包んだ。
そしてトークセッションへ。上映後の会場の空気はさっきと異なり、重苦しさがなかった。つかみの反応もとてもよい。そう、この映画はチカラを与えてくれるのだ。
舞台背景を軽くご紹介したところでラフマトゥさんを壇上にご紹介。
(写真・夏目深雪さんご提供)
ゲストトークのタイトルは『平和と音楽を愛するサハラ砂漠の民、トゥアレグの魅力』。まずは砂漠に生まれ、トゥアレグに暮らした彼女が日本にたどり着くいきさつを追った。サムライを探し求める旅、残念ながらまだおめあては見つかっていないそうだ。しかし日本にいても遊牧の伝統は捨てられず?!家庭内移住を繰り返すフシギ笑。
その後映画の場面から、トゥアレグと音楽、トゥアレグのアイデンティティー、トゥアレグの女性をテーマにトークを進行。「イスラームである前にトゥアレグ」という伝統の墨守。女性が自由で社会の中心的役割を持っているとのお話しは、典型的なイスラームやアフリカ社会のイメージとは全く異なるものだ。離婚も自由、その暁には歌と踊りを交えたお祭りが催されるそうだ。
話は食生活にも及ぶと「トゥアレグの料理はスパイスがいのち」。12種類の香辛料が料理に独特の味と風味を与えるそう。でも欠かせないのが「13種類目のスパイス」。それは「砂漠の砂」だそうだ。そして食後のお茶の儀式。「一杯目は人生のように苦く、二杯目は友情のように優しく、三杯目は愛のように甘く。」
最後には女たちが喜びを表現する際に口にする呼び声、「トゥルルルル、、、」。会場にこだましてトークを終えた。
この「イスラーム映画祭」という素晴らしい企画のスタートに、また足をお運びくださったお客様の映画背景理解に、少しでもお力になれたとしたら本望である。
追伸・映画'Timbuktu'(邦題『禁じられた歌声』)は、12月26日から渋谷ユーロスペースで一般公開。そしてその後は全国で上映されます。今回ご覧になれなかった方、ぜひ足をお運びください!→公開予定はこちら。
(おわり)