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【続報】コートジボワール、グランバッサン襲撃事件をさらに振り返る(後編)

2016-03-22 07:30:17 | アフリカ情勢
現地時間13日に発生したコートジボワールの保養地、グランバッサン襲撃事件。16日、仏紙リベラシオンはAFP通信発の情報として、とても重要な分析を載せている。今後のサヘル地域におけるテロの動向を観察する上で大変重要な分析を含んでいると思われるので、前回から2回に分けて要旨シェアさせていただいている。

前回記事をまだご覧でない方はこちらからどうぞ↓
【続報】コートジボワール、グランバッサン襲撃事件をさらに振り返る(前編)

リベラシオン記事↓
Attentats en Afrique de l’Ouest: le recrutement jihadiste s’élargit
西アフリカのテロ事件、広がるジハード主義勢力のリクルート


きょうはその後編を続けてみたい。

1月、AQMI指導層のヤヒヤ・アブ・エル・アマム氏は、モーリタニア系メディア『アル・アクバル』のインタビューに答え、AQMIが地理的、部族的な限界を越えて、つまりニジェール川を超えて、顕著に影響力を拡大していることは喜ばしい、と讃えた。
「今日、ジハード戦士(ムジャヒディン)は、地域の申し子、プル、バンバラ、ソンガイなど、黒人の有志たちによる大隊、旅団などから構成され、地域の聖戦の実行を担っている。北部からわざわざ我々の同志を南部まで派遣するに及ばないのだ。」

(AQMIが自らのメディア機関'al-Andulus'を通じて発表した実行犯の写真、Sengo.comより)


サヘル地域専門家のイヴァン・ギシャウァ氏によれば、「現在の地域出身者による活動の根っこ」は2012年3月~4月にかけてのマリ北部の聖域化よりも、もっと以前に植え付けられた、と指摘する。「錨はモーリタニアに降ろされ、トンブクトゥ、ガオに向けられた。」「しかし兵士のリクルートは北部占領時代に広げられた。非常に若い世代への動員と訓練(ガオに訓練機能が置かれた)、もしくはMNLA(アザワド解放国民運動)、つまりはガオのアラブ、メナカのプル/アンソンゴに対する敵意の蓄積を通して広がったのだ。」そしてフランス軍によるサーバル作戦は「非常に若い地元兵士と対峙することとなった。」

しかし同氏は「このような兵士のリクルートが無尽蔵に続いていくのかについては定かでない。それは彼らのネットワーク化が機能するか、また地域や若年層をつかみ続けられるのかにかかっている。」


去る2月、在留米軍司令部(Africom)が主導する年次軍事訓練「フリントロック」(※)において、ドナルド・ボルドック将官は、ジハード主義勢力のリクルートシステムの阻止を任務の一つとして明示した。「教育も職もなければ、希望も生まれない。ガバナンスが行き届かない中で、そこに訓練の機会や武器、女性の提供が囁かれたら、それは魅力的に違いない。」カギは国民にとって「政府に正当性を持たせること」にあるとする。それこそが地域を統制し、生活を支える基礎になるからだ。(抄訳おわり)


(※)フリントロックについては、下記記事をご参照。
米軍、アフリカにおけるテロとの戦い(1)~多国籍統合訓練「フリントストック」発動中!

例えば2015年の中頃から頭をもたげてきた、マリ南中部を根拠とする「マシーナ解放戦線」(Front de Libération de Macina: FLM)。別の専門家の分析では「イスラム武装勢力としてのイデオロギーや行動原理には沿っておらず、むしろフルベ人の伝統的地位と権利を主張する不満分子」との見方が呈されている。イスラム武装勢力アンサール・デイーンなどと共同して、複数のテロ実行に関与したとも伝えられるが、実態はよくわかっていない。

しかし、もし上記の分析の延長線上にFLMのような勢力が位置付けられるとしたら、今後の広がりに一層の警戒が必要ということになるだろう。これまで、しばしば「サヘルの住民は断固としてテロを甘受しないし、かような暴力的過激主義を受け入れない」という議論も耳にしてきたが、この論拠は必ずしも現実を直視しているとは言えない、ということになる。

暴力的過激主義の広がりは、政治的、軍事的なものの見方をはるかに超え、社会的、宗教的、技術工学的な面からの観察とアプローチを必要としている。

いずれにせよ、これまで外来勢力と整理されてきたイスラム武装勢力が、西アフリカ諸国の中で内製化されつつあるとすれば、当事国はこの流れを早期に食い止めることが待ったなしの急務の課題となる。

(おわり)

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