長内那由多のMovie Note

映画レビュー、俳優論など映画のことを中心としたブログ

『ガール・オン・ザ・トレイン』

2016-12-07 | 映画レビュー(か行)


主人公レイチェルは通勤電車の車窓から見える1人の女性に妄想を募らせていた。彼女の名前、夫の名前、職業、そして2人の愛に満ちた生活…。ところがある日の車窓でレイチェルは彼女が夫以外の男と仲睦まじくしている姿を目撃してしまう。自身も夫に裏切られた過去を持つレイチェルの中で、次第に名前も知らぬ彼女への得体の知れない感情が膨れ上がっていく…。

ラブコメ、アクション、ミュージカルとあらゆるジャンルをこなす当代きっての万能女優エミリー・ブラントにとってはレイチェル役のアル中演技もどうという事はなかっただろう。勤め人から重度のアルコール中毒、そして…といった具合に物語が進むにつれレイチェルへの印象が変わり、果たして彼女の一人称は正しいのか?という“信頼のおけない語り部”となっていく展開が面白い。というか、明らかに殺人犯にしか見えない展開に日頃、記憶を無くすまで飲んでしまう諸兄諸姉は血の気が引くこと請合いだ。

映画はレイチェルはじめ3人の女性の一人称で物語を異なる角度から何度も語り直し、事件の全貌を明らかにしていく。レイチェルから見れば夫を寝取った憎きアナも、視点を変えれば夫の元妻にストーキングされるか弱い妻アナに変わる。大ブレイクを果たした『ミッションインポッシブル/ローグ・ネイション』の後ではほんの肩慣らし程度であろうレベッカ・ファーガソンがアナに扮している。

物語の中心となる車窓の女メガンに扮した新鋭ヘイリー・ベネットの、もの憂い気な独特の色気がいい。見方を変えれば誰にもその孤独を理解してもらえなかった哀しい女の物語とも見て取れる。

近年、米TVドラマ界の興盛によってハリウッド映画が余暇の楽しみにすらならないと感じていたが、テイト・テイラー監督の叙述の巧さ、ダニー・エルフマンの硬質な音楽、女優陣の魅力といった映画ならではの“技”に改めて唸らされた充実の1本だ。

『ガール・オン・ザ・トレイン』16・米
監督 テイト・テイラー
出演 エミリー・ブラント、ヘイリー・ベネット、レベッカ・ファーガソン、ジャスティン・セロー、ルーク・エヴァンス
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