リッスン・トゥ・ハー

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ランチ/さよならストレンジャー

2007-08-25 | 若者的図鑑
素朴な歌声でささやきかけてくる、とても暗い話。

日常を歌っている。どこまでも、わたしたちが、いた時代にあわせた感情や叙景を込めて、何の企みもなくシンプルに。

それがくるりの魅力なのです「ランチ」は、アルバムをはじめるにあたって、得体の知れないくるりというものへわたしたちを誘う歌です。
ハーメルンの笛吹きのように、朝早く霧がかかった街を、しかしひっそりと細い音を立てて通り過ぎていく。こっちの世界はあったかい食べ物があって、楽しい遊園地があって、そんな暗い街にいることはないから、みんなおいでよと言っている。しかし、そんな昔の御伽噺を今更言ったところで誰も信じないし、だからくるりは支持されなかった。

マニアックな音楽をやる京都の眼鏡の人と、わたしだってあんなに顔をゆがめて歌う「東京」の一体どこがいいのかしらと思っていたし。「虹」であらあらなにこの人たち。

「久しぶりにコーヒーをたてよう、未来のこと話したい」

ちいさくこの歌を口ずさむ日常が誰にもあるから、わたしはそれを知ってしまったから、くるりに付きまとうコバンザメみたいにその後を追いかけて追いかけて、進むたびに得体の知れぬものの全容が見えてきて、その大きさに思わずしりもちをつく。永遠に、です。


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