日々、思うことをサラサラと。

日頃、イイな、とかおかしいゾ、とかキレイだなと思うことをサラサラと書き出してみたい。

やっぱりこの人は上手い

2009年05月30日 | 映画
今更ながらではありますが、やっぱり樹木希林は上手い!
「歩いても歩いても」は終始この人の上手さに惹かれっぱなしで観た。
樹木さんの真骨頂だろう。演じていて愉しかったんではないだろうか。

海で事故死した長男の命日に、それぞれ所帯を持った子どもたちが実家に
集まった際の顛末を描く。
次男(阿部寛)と老いた町医者の父(原田芳雄)はぎくしゃくした関係で、
妻は子連れで再婚(夏川結衣)。実家に帰るのが億劫な次男である。
長女(YOU)一家は明るくソツがない。

是枝監督はホントに配役が適材適所で使われ方が上手いと思う。
どの人もしっくりハマる。
表面上は和やかにまったり時間を過ごしているように見えるが、何か
お母さん(樹木)にちらちら危ない感じが付き纏う。可笑しみを誘う
YOUとの掛け合いで愉しく見てはいても油断ならない。どこかに棘を
探すべくセリフをしっかり追う。この緩い緊張感が面白い。

長男が身代わりで溺死し、救助された男性が毎年命日にやってくる。
男性は辛いだろうにお母さんは「来年もまた・・」と柔かに強要する。
樹木の両目は外に開きどこか上の空に飛んでしまう瞬間が怖い。
お父さんの過去の浮気がバレていたことを知ったときも、再婚の嫁を
ちくちく刺すときも・・ホラーの域だ。
実際、こういう怒りの表出をする人は本当に怖いのだ

YOUはこんな場合欠かせないキャラクターで、この人のおシャベリと軽さで
場が救われる(この人も先の楽しみな女優さんになりそう)
夏川結衣も上手くて綺麗だったなぁ。


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先入観で誤る・・・忌野清志郎さん

2009年05月15日 | 喜怒☆楽
先日深夜、NHK総合で亡くなった忌野清志郎さんの復活ライブを聴いた。

小柄な体躯、独特のど派手ファッション、タイトなパンツ、苦手なロック・・・こんなイメージだけでどうしても関心を示せずにいた人だ。
だが、この方が亡くなってからのメディアから流れてくるファンの映像に驚いた。若い人も、年を重ねた人も、男女を分かつことなく相当数の方々が哀しんでいる、悼んでいる。どれほどの人だったのか・・・と思った。

NHKが復活ライブを丸ごと映すというので、ウトウトと半覚醒の目をTVに向けた。・・・およそ10分後、完全に忌野パワーに取り込まれていた。歌詞が直に入ってくる、小さな体が丸ごとリズムそのもので、トランペットがドラムがベースが凄いことになっている(その方面まったくの無知ですが、でも”スゴイ”ってことは伝わるのです)
なにより、スタジオに集まったファンがどの顔も活き活きしてリズムを刻んでいる。みんななんていい表情してるんだ。こんな表情見ているこちらが気持ちいい。

あぁ、亡くなってから分かるなんて・・・・先入観は無恥無知だ
こんなふうに知ろうともしないで知らない物事がまだまだ沢山あることを予想すると、恥ずかしい限りだ。

小さな巨人に合掌。


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高野文子さんという漫画家

2009年05月03日 | 喜怒☆楽
私はこの人をこれまでまったく知らなかった。
1957年生まれ。新潟で看護師をしながら漫画を描き1979年「絶対安全剃刀」でデビュー。「黄色い本」で手塚治賞を獲る。
19780~漫画界のニューウェーブとして評価されたらしい。なにしろ寡作で30年の間に6冊というから・・・ある意味凄い!

ブリジストン美術館の帰途、定番コースの八重洲中央地下街をぶらぶら歩いていると小さな古本屋さん(八重洲○書店?未だに店舗名が分からない)に出くわす。
ココには必ず”何か”がある

・・という風変わりなタイトルと人物の顔立ちに惹かれてパラパラページを捲ってみたら、胸騒ぎがした。
なんだろ、この感じ。これは結構な掘り出し物かも・・と買ってみた(¥300)

じっくり読んでみたらやはりただ者ではなかった。
淡々とした画風の中に深くて鋭いものが詰まっている。構図が好きだ。
短編集の中の「美しい町」のサナエさんがとてもいい。賢く控えめ、
大きな包容力、ポツンと慎ましくそこにある感じがいい。こういう人は
人が困ったときに威力を発揮するんだよなァ。


「バスで4時に」も婚約者のお宅を訪問するときの若い女性のドキドキの緊張感が
可愛らしい。

他に「東京コロボックル」も不思議ネタです。

時代を巡って、今この人を読むことはいいタイミングだったと思う。
特にこの世相、疲労感の強い若い人たちに読んでほしい作品だ。
「絶対安全剃刀」「黄色い本」「棒がいっぽん」







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