あたしのお仕事の「そんなこと」です。
「献体」って知ってます?
亡くなった方の体を
研究のために大学病院などに提供するものです。
先日亡くなった方にはご主人がいますが
お子さんがありませんでした。
夫婦で考えて
数年前から「献体登録」をしてありました。
子どもがいないので
お墓を守ってくれる人もいないという理由でした。
「献体」は、亡くなるとその日のうちに
大学病院からお迎えが来ます。
私の住んでいる地域には
「献体」を受けている大学病院が2ヶ所あります。
A病院とB病院。
前に関わった方はB病院の「献体」でした。
B病院のお迎えはとても丁寧でした。
でもおととい亡くなった方はA病院でした。
A病院の人手がなかったのか
お迎えに来たのは葬儀屋さんでした。
何だか、とてもイヤな感じでした。
「次がつかえている」とか何とか言っていましたが
それにしたってプロたるもの
そんなことでいいのかって思いました。
長年連れ添った奥さんが亡くなって
とっても悲しい思いをしているご主人に
書類の手続きのことしか言わないし
とにかく時間がないって感じで急かされる。
もう二度とお顔も見れないんですよ。
一生のお別れですよ。
それなのに・・・。
棺を担荷に乗せた葬儀屋さんは
お部屋からさっさと運び出そうとします。
だから言いました。
「ここでお別れになるけど、奥さんのお顔見なくていい?」
そしたらご主人は「そうですよね、見たいです」と言いました。
運び出すために担荷の高さを上げてあったのですが
そのままの高さではお顔が見れません。
そしたらその葬儀屋さん
担荷の頭側だけを低くして棺の窓を開けました。
失礼じゃないかっ
って言いたかったけど
ご主人が何も言わないので我慢しました。
ご主人は80歳代で車の運転ができません。
市役所に死亡届けの手続きをしたり
火埋葬許可証をもらって大学病院に提出しなくてはいけません。
とても1人では無理なので一緒に行って手続きしてきました。
葬儀がないからお別れの時間も十分に持てないし
気持ちの整理も、奥さんのお顔を見ながら思い出を語ることもできず
遺骨がご主人のそばに残ることもありません。
ご主人は市役所からタクシーに乗って1人で家に帰りましたが
すごく寂しいだろうなって思いました。
奥さんがいなくなってしまったことの実感が持てないまま
1人ぼっちの時間を生きていくのです。
寂しいだろうな。