俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

スポーツと寿命

2014-09-28 10:16:45 | Weblog
 大妻女子大学の大澤副学長らによる、スポーツと寿命に関する研究が発表された。これはあくまで相関性であり必ずしも因果性を意味しない。短命については因果性がありそうだが長寿はそうではない。スポーツ以外の要因が長寿へと導いている可能性が少なくない。
 長寿は①陸上中距離(80.3歳)②スキー(77.3歳)③剣道(77.1歳)とのことだ。これらのスポーツに励めば寿命が延びると考えるのは軽率だ。例えばスキーの場合、最も贅沢で金の掛かるスポーツの1つだろう。金持ちで良い食生活をしていれば長寿になる可能性は高まる。とは言え、これらが寿命を短くするスポーツではないと言っても良かろう。
 短命は①相撲(56.7歳)②自転車(57.0歳)③ボクシング(61.5歳)となっている。1位は案の定相撲だ。あの異様な体型が有害であることには誰もが納得できよう。力士ではないが元プロ野球選手のドカベン香川氏が26日に52歳で亡くなった。肥満体は健康のために良くないようだ。
 2位は意外なことに自転車だ。これは日本だけの特殊事情だろう。日本で訃報が報知されるほどの自転車の選手は大半が競輪の選手だろう。ヨーロッパのような長距離の選手は少ない。長距離の選手であれば陸上の中距離の選手と同様に長寿なのではないだろうか。
 3位のボクシングは納得できる。無理な減量と脳の損傷が原因だろう。
 大体の傾向としては瞬発力を競う種目は短命で、持久力の種目は長寿なようだ。とは言え、最長寿の陸上中距離しか日本人男性の平均寿命(80.2歳)を上回っていないのは驚きだ。アスリートのような動物的生命力が強い人は植物的生命力は弱いということだろうか。あるいは過酷なスポーツは有害ということなのだろうか。
 余り考えたくないことだがドーピングの可能性も否定し難い。薬物による筋力強化はスポーツ界に蔓延しており、発覚した数の数倍・数十倍の選手が利用しているようだ。ドーピングは一時的に身体能力を高めるが長期的には健康を蝕む。
 「ゾウの時間ネズミの時間」という名著がある。これによると心拍数の少ないゾウは長寿で心拍数の多いネズミは短命、つまり一生での心拍数はどの動物でも殆んど違わないとのことだ。人間についても同じことが言えるのだろうか。長距離選手の心拍数は、練習中や競技中にはかなり増えるが、普段の心拍数は非常に少ないそうだ。このことと寿命の長短は無関係ではなさそうだ。

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