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今、自分が出来ること。やれること。それを精一杯やっていかなくちゃ!!

コラム記事【2/14~2/15】

2023年02月16日 06時44分03秒 | マリーンズ2023
≪2/14≫


開幕一軍を目指した戦い

 「今日をチャンスに変える。」

 ロッテは石垣島春季キャンプ中に行われた楽天モンキーズとの国際交流試合を終え、14日からは沖縄本島に移動して練習試合がスタートする。沖縄本島での遠征メンバーも12日に発表され、途中、メンバーの入れ替えが行われることもあるとのこと。結果を残せなければ、26日まで行われる石垣島キャンプで調整することになる。

 本格的な競争が始まる前に、選手たちに今季に向けた決意や開幕までどんなアピールをしていきたいか聞いた。

 右肘のトミー・ジョン手術を経て、2月の石垣島春季キャンプから進化した姿を見せる種市篤暉は「キャンプの時期はすごく僕の中では野球のことだけを考えられている。動画をたくさん見たので、修正できている。その点については充実したキャンプになったと思います。本島でも抑えられるように頑張りたいと思います」と意気込めば、種市と同じ1998年9月7日生まれの鈴木昭汰は「結果が全てだと思うので、ゼロにこだわってやっていきたいです」と決意した。

 プロ1年目の昨季30試合に登板した廣畑敦也は「僕の場合は打たれてもいいと思っているので、打たれた後に点を取られないというのが大事。中継ぎ、先発かはわからないですけど、そこはどんなピッチャーも変わらない。ヒット3本打たれても点を取られなければいいので、そこは3アウトとって0点で帰ってくればどんだけ打たれても、四球を出そうが継続してやってきているところ。そこがうまいことハマれば」と走者を出しても、とにかく無失点に抑えることを誓う。

 益田直也、澤村拓一、東條大樹、小野郁、唐川侑己など実績、経験のあるリリーフ陣が多く、リリーフの枠を巡った競争も熾烈になることが予想される。プロ4年目の横山陸人は、リリーフ陣の競争に割って入っていくため、「まずは周りを見るというよりかは、自分の結果を意識していきたい。周りとかは気にせず、自分は自分でという感じで、とにかく試合で投げられるようにしていこうかなと思います」と話す。

 21年は自己最多の37試合に登板したが、昨季は3試合の登板にとどまった東妻勇輔は、毎年この時期に本来の力を発揮できず、開幕一軍を掴んだことがない。「そこ(開幕一軍)には繋がっていないので、どれだけバッターに勝負できるかというところだと思っている。そこだけ勝負できるようにしていきたいと思います」。

 東妻と同学年でプロ5年目を迎える中村稔弥も「左ピッチャーが多い中で、どのポジションでも絶対にこの時期は結果を出して無失点に抑えることが大事。自分もしっかりくらいついてこの争いに勝てるように頑張りたいと思います」と一軍の枠を勝ち取るつもりだ。 

野手陣も燃えている

 野手陣も昨季はシーズン最終盤にショートのレギュラーで出場した茶谷健太は「出させてもらえるのであれば、どこでも出られる準備はしたい」と一軍で出場することを最優先にポジションにはこだわらずアピールしていく姿勢を見せる。

 昨季はオープン戦でアピールし開幕一軍を掴み取ったが、打率.148だった平沢大河は、内野だけでなく、この春季キャンプでは再び外野にも挑戦。ポジション争いを制するために「打てないと話にならない。打つことと、どこでも守れるように全ポジションチャンスがあればと思ってやっています」と強い覚悟を持っている。

 安田尚憲、山口航輝と同じように高卒2年目までファームでみっちり鍛えてきた高卒3年目の西川僚祐は「開幕一軍を目指して、さらに結果を求めてやっていけたら一番いいかなと思います」と、結果を残し開幕一軍を掴みにいく。

 シート打撃や楽天モンキーズ戦ではバットで存在感を見せた池田来翔は、「内野手も入ってきてより厳しくなってくると思うので、なんとか今年試合に出ていイメージで開幕に入って、1年間出続ければなと思うので、オープン戦からしっかりやっていきたいと思います」と練習試合、オープン戦で結果を残し、内野の競争を勝ち抜きにいくつもりだ。

 育成から支配下選手登録を勝ち取ったが、一軍の公式戦で出場のない植田将太は捕手の競争に勝つため「結果を出すだけだと思うので、結果だけにこだわってやっていきたい」と話した。

 吉井理人新監督が就任し、若手選手たちはポジションを掴もうと自主トレ、春季キャンプと覚悟を持って臨んできた。昨年は髙部瑛斗が練習試合、オープン戦から結果を残しレギュラーを掴んだ。今年は投手、野手にそういった選手が何人出てくるか。1人でも多く若手が一軍で居場所を掴めば、チーム力がアップするのは間違いない。レベルの高い競争で、マリーンズファンを熱くさせてくれ。

取材・文=岩下雄太

※初出時に鈴木昭汰投手の誕生日に誤りがあり、訂正いたしました。大変失礼いたしました。

【沖縄本島遠征メンバー】
▼ 投手
16 種市篤暉
17 佐々木朗希
18 二木康太
24 東妻勇輔
28 菊地吏玖
29 西野勇士
30 廣畑敦也
36 坂本光士郎
37 小野 郁
41 カスティーヨ
43 秋山正雲
46 岩下大輝
47 鈴木昭汰
48 中村稔弥
50 小沼健太
56 中森俊介
60 横山陸人
64 佐藤奨真
121 土肥星也

▼ 捕手
2 松川虎生
27 田村龍弘
32 佐藤都志也
45 植田将太

▼ 内野手
00 池田来翔
5 安田尚憲
8 中村奨吾
10 友杉篤輝
13 平沢大河
40 福田光輝
57 小川龍成
67 茶谷健太

▼ 外野手
1 藤原恭大
31 菅野剛士
51 山口航輝
59 西川僚祐
61 山本大斗

*途中、メンバーの入れ替えが行われることがある 

(ベースボールキング)

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≪2/15≫


監督が代わった最初のキャンプで、はっきり分かることがある。多くの監督は「横一線」という言葉でチーム内競争を促すが、本当に広くチャンスを与える新監督は、私が見てきた中では少ないように思う。

ロッテ吉井監督は平等にチャンスを与えるぞ、という方針を打ち出している。14日中日戦、この日のヤクルト戦で、その姿勢が確認できた。まず目を引くのは昨年はわずか2試合出場の捕手田村だ。中日戦で先発マスクをかぶり、ヒットも放った。この日も5回に指名打者で打席を与えられ、中前打で結果を出した。

昨年までの流れから2年目松川、4年目佐藤都の序列が予想されるが、そこに田村が割って入ろうとしている。吉井監督の「あとはお前次第」とのメッセージが現時点では届いている。

同じように、投手では左腕坂本が2番手として1回を抑えた。ストレート、変化球ともにキレがあり、コースにきっちり制球されていた。昨季は途中でヤクルトから移籍し、リーグも変わりペースをつかむのに必死だったはず。ロッテでは貴重な中継ぎ左腕として、おもしろい存在になりそうだ。

ショートは茶谷が1歩リードしているが友杉、小川にも出番を与えている。茶谷はファースト、サードも守り、内野はどのポジションもいけるぞという意欲を前面に出す。1安打しており、その他の打席も内容は良かった。

ソフトバンクで自由契約を味わい、ロッテでは育成から支配下にはい上がってきた。「チャンスがあれば、どこのポジションでも」の強い意思表示は、それだけで内野に緊張感を生む。

2打席連発した山口にも、ロッテでは落合さん以来となるホームラン王への期待を感じる。山口には継続して振り切れる強みがあり、そこにロッテとしては出色の長距離打者としての可能性が見える。

ここから1軍、2軍への振り分けが始まる。吉井監督の「チャンスは与える」という方針により、チームは新陳代謝という競争のさなかにある。

先発佐々木朗希のピッチングは何も言うことはない。この時期、投手の仕上がりは早いが、それを差し引いても、なんら注文はない。端的に言って、とてもいい。仕上がりは完璧。(日刊スポーツ評論家)

(日刊)

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≪2/15≫


「体験しました」とは、おこがましくて言えない“自主トレ体験”だった。

1月、静岡県内でのロッテ選手10人による益田直也投手(33)プロデュース自主トレ合宿を取材した。通称「益田塾」。1年間戦い抜く体力づくりを主に、午前中は体幹トレーニングを中心に、動いて、跳んで、走り抜く。午後は疲労のある中でキャッチボールを含む技術練習に取り組む。

益田 「ちょっと、やってみますか? 1分出来たら合格ですね」

差し出してくれたのは、重さ3キロのトレーニング用「縄跳び器具」だった。一応、大学までは野球部として活動し、入社後も草野球程度は継続してきた。ここ数年はコロナ禍で活動休止しており、47歳の体は完全になまっているが、「1分くらいなら、何とか出来るかも…」と。若手の横山陸人投手(21)からは「縄を手で回す感覚だったら絶対できません。腕は固定して」とアドバイスももらった。益田“塾長”がストップウオッチを手に見守る前で、大きく息を吐いて、スタートした。考えは甘かった。

リズムを大事にいこう-。そう頭の中でイメージ出来たのは最初の10秒だけだった気がする。益田は数えてくれる「10秒」の声を過ぎると腕が張ってくるのをすでに感じた。「20秒」。太ももや腰に力が入らない。徐々に3キロの縄を回しても地面につかなくなる感覚。そうすると、より腕で回そうとしてしまう悪循環。「30秒」。“塾長”の笑顔が鬼に見えて来た。同時に、体に力が入らない。30秒を過ぎると、縄? ロープ? が足に絡まった。「なんとか1分は…」。再スタート。そこには、生まれたばかりの子馬が、ヨタヨタと立ち上がるような姿でしかなかった。もはや縄跳びではなかったが、ゆっくりではあったが、跳んだ。いや、またいだ?

「60! 終了~」。呼吸困難。全身脱力。両膝に両手を突き、何とか倒れ込むことだけを防ぐことに必死だった。

益田 「ヤクルトの青木宣親さんは、これをいとも簡単に5、6分やるんですよ。プロ野球選手なら3分くらいはみんな出来るよ。コツも必要だけどね」

41歳の青木の身体能力は球界でもトップクラスなのだろうが、「やっぱりプロ野球選手って、超人だなあ」と再認識した。同時に、オフの自主トレ期間こそ、シーズンで成績を残す、はたまた球界で生き残っていけるかが決まる、プロ野球選手にとって、もっとも重要な期間であることを“塾長”に教えていただいた。

約5分後、取材が始まったが、私は呼吸が乱れたまま、まともに会話すら出来なかった。

2月に入り、石垣島でのキャンプで“塾長”と再会した。

益田 「また来年ですね。待っていますよ」

恥ずかしい醜態をさらし、自分自身への情けなさもある。私の自主トレ期間は、春季キャンプから始まっている。そう決意したにもかかわらず、ゴーヤーチャンプルー、ラフテー、ポーク玉子の“私の沖縄料理三種の神器”をつまみに、オリオンビールを飲む私は、まだまだ心から鍛え直す必要がある。【ロッテ担当 鎌田直秀】

(日刊)

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≪2/15≫


一軍を経験して見えた課題

 「去年はビハインド(での登板)が多かったので、勝ちパターンに食らいついていける1年にしたい」。

 今季に向けて、このように意気込むのはロッテ・小沼健太だ。育成選手として入団した小沼はプロ1年目の21年、イースタン・リーグ最多の18セーブをマークし、プロ2年目の昨年の春季キャンプは育成選手ながらA組スタートを切り、同年2月15日以降の沖縄遠征にも帯同。開幕前の3月22日に支配下選手登録を掴んだ。

 開幕一軍を逃したものの、開幕直後の3月29日にプロ初昇格を果たすと、同月30日のソフトバンク戦でプロ初登板を飾り、2回を無失点に抑えた。5月26日の広島戦では2回を無失点に抑えプロ初勝利を挙げ、ビハインドゲームを中心に6月終了時点で17試合に登板して1勝1敗1ホールド、防御率2.18と安定した投球を見せた。しかし、7月に入ると1日の楽天戦で3失点、続く3日の楽天戦でも3失点と、7月は登板した4試合全てで失点。7月11日に一軍登録抹消されると、その後、1度も一軍で登板することなくシーズンを終えた。

 「課題はコントロール。強くいくだけじゃダメだと思った。低め、コースだったり、どちらでもいいと思うんですけど、僕の場合は真ん中に集まることが多いので、真っ直ぐだけでなくて変化球のコントロールを課題として今はやっています」。

 一軍を経験して、きっちりとコースに投げ切るコントロールの重要性を課題に感じたそうだ。 

奪三振へのこだわりは?

 育成選手時代は「今までも三振が取れる方ではなかった。結果的に三振も少なく、四球も少ないんですけど、一軍に上がるためには三振数というのを、防御率以上に僕自身大切にしないといけないと思っています」と、“三振”にこだわっていく考えを示していたが、支配下選手登録直後の昨年4月の取材では「(三振が)取れないので、今は無理してこだわる必要はないかなと。今はそういう思いです」と話していた。

 奪三振についての考え方は、昨年4月から変化はあったのだろうかーー

 「今自分ができることと言ったらしっかりアウトを積み重ねていって、チームの勝利にこだわっていきたい。三振というよりはしっかりアウトを取れるピッチャーになることだと思います」。

 アウトをとにかく奪うことだけを考えて投げている。それでも、2月11日の楽天モンキーズ戦、14日の中日との練習試合では、いずれも1回を投げ0被安打2奪三振と、2試合・2イニングだけとはいえ、4奪三振と三振を多く奪っている。その理由のひとつがフォークだ。落差がこれまでに比べて大きくなった。

 11日の楽天モンキーズ戦後の取材で小沼は「(フォークの)握りをキャンプ中にちょっと変えてみてハマったので、それが今いい感じにいっている」と話し、「落差も欲しかったので色々握りは試行錯誤して今年はあの形でいこうかなと思っています」とのこと。

 ロッテのリリーフ陣は30代が多く、若い世代の台頭が待たれる。対外試合は始まったばかり。勝ちパターンに食らいつく1年にするためにも、まずは練習試合、オープン戦で結果を残して開幕一軍を掴み、首脳陣の信頼を得たい。

取材・文=岩下雄太

(ベースボールキング)

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≪2/15≫


千葉ロッテマリーンズに頼れる男が帰ってきた。

 澤村拓一、34歳。2020年のシーズン途中に読売ジャイアンツからトレードでマリーンズに入団。オフにMLBに挑戦したため在籍期間こそ短かったが、闘志あふれる投球でチームを上位進出に導いた。マリーンズファンに鮮烈な印象を残した右腕の復帰が発表されると“待っていました”とばかりに沸き、ネット上は祝福のコメントで溢れかえった。

 1月28日午前中に正式発表を行うと、午後には本拠地ZOZOマリンスタジアムで入団会見。そんな電撃スケジュールだったが、澤村はその入団会見で「勝つためにマリーンズに来ました」とキッパリと言い切った。

「マリーンズのために腕を振ろうと決意して、今ここにいます」
「先頭に立って引っ張っていけるような存在になりたいと思います」
「どんな時も強い戦う気持ちをもってファンのために頑張りたいと思います」

 放たれた一つ一つの言葉に独特の重みがあった。そこには2年間、MLBの名門ボストン・レッドソックスで戦ってきた男の吟味があった。

アメリカ生活で気づいた「言葉の重み」

「アメリカにいってあれこれ悩まなくなりましたね。イライラもしなくなった。毎日がイレギュラーなことばかりですからね。日本では当たり前じゃないことが普通に起こる。日本では電車だって、バスだって時間通りに来るのが当たり前みたいな感じがあるけど、向こうだとそうでもない。日本にいると、どうしても周りの目を気にしてしまうようなところがあったけど、向こうに行くと自然と周りの目も気にならなくなりました」

 トロント遠征で宿泊したホテルで憧れのハリウッドスターであるアーノルド・シュワルツェネッガーと遭遇する(屈強なボディーガードに囲まれていたため近づく事すらできなかった)など、驚きの経験はいくつもした。

 ただ、アメリカでの時間で痛感したのは「伝えること」の大切さだ。

「たとえば『郷に入っては郷に従え』。これはアメリカにはない表現の言葉。だから訳し方が難しい。ちょっとニュアンスが変わるだけで、だいぶ意味合いが変わる言葉が日本語には多い。そういう意味では自分は本当に通訳に恵まれた。言葉がどう伝わるかを考えながら丁寧に訳してくれた。助かりました」

 言葉ひとつで相手への伝わり方が変わる。自分が当たり前のように話していた言葉と向き合うことが増えた。だからこそ、通訳スタッフが工夫しながら、首脳陣と自分、チームメートと自分を繋ぐ姿に感謝したのだ。

「言い方次第のことっていっぱいあるなあと思いました。『これやっといて!』と言うのと、『これやってくれない?』と言うのでは、相手の捉え方もだいぶ違う。同じことを伝えたくても相手の心を考えないといけないと思うようになった」

異国での戦い「親のありがたさを感じた」

 続けて澤村は力説する。

「愛は等価交換というような考えを持った人もいますけど、自分が与えたからといって、なにか見返りが返ってくると思ったら大きな間違い。やってあげていると思ったらダメだし、見返りを期待してやるのもダメ。逆に慣れてくると支えてくれる色々な方に、やってもらって当たり前と思う人もいるけど、『ありがとう』がなくなったらダメ。恥ずかしい話」

 そして、たった1人での異国の地での戦いは、家族への思いも増す時間にもなった。

「アメリカに行ってそういう考え方になりましたね。親のありがたさを感じた。人間って、どうしても反抗期ってあるじゃないですか。親に対して言葉の語尾が強くなったり、言い方がキツくなったり、話を流してしまったり。離れて生活をすると大切にしないといけないという思いは、より強くなりましたね」

 残念ながらMLBのマウンドで投げる姿を家族に見せる機会はなかったが、日本に戻った際は家族で旅行へ出かけた。今オフも2泊3日で日光まで足を延ばし、滝を見たりと家族水入らずの時間を作った。

 澤村がマリーンズ入りを決めた時、印象的な出来事があった。

「アメリカに行くと決断した時も『身体に気をつけろよ』ぐらいしか言わなかった父がマリーンズに戻ると伝えると本当に嬉しそうな顔をしてくれて『いいと思う』と言ってくれた。マリーンズに戻って欲しかったのかなと思った」

 日本に戻る。マリーンズのユニホームに袖を通す。その幸せを一番に実感できたのは両親の嬉しそうな顔を見た時だった。育ててくれた親が身近にいる日本のマウンドで、マリーンズがリーグ優勝を達成するために全身全霊を注ぐ。その姿を見せたい。新たな目標に、エネルギーが身体中から湧き上がってきた。

早朝から筋トレ「歯磨きと一緒ですよ」

 これらの話は石垣島春季キャンプ全体練習前の午前6時半〜9時の間に聞いた。澤村は6時20分に宿泊ホテルを出発し、まずは室内練習場でウエイトトレーニングに取り組むのを日課としていた。ハードメニューの合間にもかかわらず、呼吸を落ち着かせながら丁寧に受け答えをする。

「(毎朝のウエイトは)歯磨きをするのと一緒ですよ。夜、歯磨きをしないと気持ち悪くて寝れませんよね。自分にとってはそういうこと」

 しかし、それは決して歯磨きほど気軽なものではない。みっちりと自分の身体に向き合い、限界ギリギリまで追い込む。もちろん、タイムマネジメントやコンディション面をしっかりと考えての活動だ。

「練習を終えてヘトヘトになってからウエイトをやっても、あまりいい効果はないと思う。朝は静かだし、まず最初に行うことが効率的。一日も有効的に過ごせる。トレーニングをやって技術練習をやってパッと帰る。そのあとはしっかりと休む。夜は早ければ21時ぐらいに寝ますよ」

 そんな澤村の背中を吉井理人監督も頼もしそうに見つめる。

「ああやって朝早くからトレーニングに励む姿を若い選手たちが見て、どう思うか。どう思ってくれるか。そういう部分も期待している」

 背番号54。2月5日にチームに合流したばかり。だが、すでに若い選手たちにも率先して声をかけるなど、すでにチームの中心的存在となっている。そんな頼もしき男も悩むことはあるのだろうか? ウエイトトレーニングの最後に質問した。 

「もちろん、悩みますよ。ただ野球では悩まなくなりました。悩むってことは自分を過大評価している部分があると思う。オレ、なんでこんなことが出来ないのかと悩むのではなくて、今の自分としっかり向き合って、そりゃあ、今の状態では出来ないよな。じゃあ、どうする、どうすればできるようになる?と前向きに取り組めるかだと思います」

 澤村の加入で、2005年から遠ざかるリーグ優勝も現実味を帯びてきたと感じているファンも少なくないだろう。前所属の巨人で4度のリーグ優勝を経験した男は語る。

「優勝旅行に行きたいですね。おすすめはハワイ。でも、優勝旅行は自分が楽しむものではなく、支えてくれたスタッフや家族が楽しむもの。支えてくれた人たちが喜んでいるのを見ていると『ああ、よかったなあ』となるわけですよ」

 ただ最後は語気を強め、気を引き締めた。

「もちろん優勝はそんなに甘くはないですよ。並大抵のことではない。歯を食いしばって乗り越えないといけない山場がたくさんあって、それを越えてようやくたどり着ける」

 吉井監督の率いる新生マリーンズに精神的支柱となるリーダーが加入した。厳しい戦いを制したチームしか手に入れられない栄光を、この漢がきっと力強く引き寄せてくれるだろう。

梶原紀章(千葉ロッテ広報)

(Number)

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