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拾い読み★2012-051≪コラム記事≫

2012年02月20日 20時04分25秒 | マリーンズ2011~15
【プロ野球】12球団徹底比較。
優勝のカギを握るセットアッパーの質と量


 オープン戦も始まり、徐々に各チームの今シーズンの戦い方が見えつつあるが、ペナントレースを占う意味で最も注目したいのが、各球団のブルペン陣だ。なぜなら、リリーフ投手とチームの成績は深い関わりを持っているからだ。

 少し遡(さかのぼ)れば、1970年代後半から80年代前半にかけて広島、日本ハムのリリーフエースとして活躍し優勝請負人と呼ばれた江夏豊をはじめ、90年代にリーグ優勝4回、日本一3回のヤクルト黄金期を支えた高津臣吾や98年に横浜を初の日本一に導いた佐々木主浩など、「名クローザーのいるチームに覇権あり」という流れがあった。それが今は、そのクローザーにつなぐ投手の役割が重視されるようになっている。つまりセットアッパーだ。

 昨年、セットアッパーの浅尾拓也(中日)がセ・リーグのMVPに輝いたことは、まさに時代を象徴する出来事だった。現役時代、巨人やダイエー(現ソフトバンク)などで豊富なリリーフ経験を持つ野球評論家の橋本清氏は次のように語る。

「今の野球はうしろの3回をどう抑えるかが勝負。そこを抑えられるチームがペナントレースも制する。僕らの時代は先発もできない、抑えもできない投手が中継ぎをやるという考え方があったけど、今は中継ぎじゃなく中締め。勝敗を左右するポイントがくる7回、8回あたりに、相手打線にプレッシャーをかけられる投手を持ったチームが上位にくる。監督と勝利の握手はできないけど、セットアッパーはクローザーと同等の役割を担っています」

『後半の3イニング』の観点から、90年代の西武(杉山賢人、鹿取義隆、潮崎哲也)やオリックス(野村貴仁、鈴木平、平井正史)、近年ではJFK(ウイリアムス、藤川球児、久保田智之)を擁した阪神のように、ゲーム終盤を3人でつなぐチームが増えてきた。JFKを確立した当初、岡田彰布監督は藤川を7回に投入していたが、著書『オリの中の虎』(ベースボールマガジン社)で次のように述べている。

「7回に得点するチャンスが多い、ここで得点すれば試合に勝つ可能性が高い、だからラッキーセブンよ。(中略)守備側から言えば、相手にラッキーセブンを作らさんかったらええんや。だから7回を0に抑えたら勝てる。(中略)ここで70%は勝てるという形にすれば、8回に80%、9回には90%くらい勝てるという気持ちで3人目の抑え投手を出せる」

 ここで昨シーズン、20ホールドポイント(HP)以上を挙げたセットアッパーを防御率順に並べてみたい。

■セ・リーグ
浅尾拓也(中日)0.41
小林正人(中日)0.87
久保裕也(巨人)1.17
山口鉄也(巨人)1.75
江尻慎太郎(横浜)2.06
榎田大樹(阪神)2.27
バーネット(ヤクルト)2.68
松岡健一(ヤクルト)2.86
小林宏之(阪神)3.00
青木高広(広島)3.27
押本健彦(ヤクルト)3.28
久古健太郎(ヤクルト)3.65
牛田成樹(横浜)3.69

■パ・リーグ
森福允彦(SB)1.13
ファルケンボーグ(SB)1.42
榊原諒(日本ハム)1.66
増井浩俊(日本ハム) 1.84
平野佳寿(オリックス)1.94
ミンチェ(西武)1.98
ロサ(ロッテ)2.08
青山浩二(楽天)2.79
片山博視(楽天)3.43
※SBはソフトバンク

 これを見れば、チームの成績とセットアッパーの成績が密接にリンクしているのがわかる。そして、「セットアッパーの重要性という点ではセ・リーグの方がより大きい」と言うのは、ヤクルトの伊藤智仁ピッチングコーチだ。

「セ・リーグはDH制がないため、先発投手が代打で交代させられることが多い。好投していても6回あたりで交代することもあるし、競った展開だと負けていてもいいピッチャーをどんどんつぎ込んでいかないといけない。先発完投を目指すパ・リーグとは明らかに戦い方が違うわけです。だから、パ・リーグは先発が育ち、セ・リーグはリリーフが育つ。交流戦で戦っても、セットアッパーはセ・リーグの方が質は高いと感じました」

 ただ、パ・リーグの最近の傾向を見ると、完投能力のある投手は完投を目指し、それ以外の投手が先発した時は徹底したつなぎで勝利を取りにいくという“二極化”の戦いも増えている。

 現在のプロ野球において、セットアッパーがいかに重要な役職であるかということがわかってきた。そこで今シーズン、各チームのリリーフ事情はどうか。

 昨年リーグ優勝を果たしたソフトバンクや中日はリリーフ陣に大きな変化はなく、これまでの形を継承していくだろう。そして平野、岸田護という磐石のリリーフ陣を持つオリックスは、昨年22HPのミンチェを西武から獲得し、より強力なリリーフ陣を形成した。ロッテもサイドスロー左腕のルーキー・中後悠平が機能すれば、薮田安彦、ロサへとつなぐ形ができ、より厚みを増すだろう。一方、ミンチェが抜け、昨年クローザーを務めた牧田和久が先発に転向する西武は、リリーフ陣の再編を余儀なくされる。今のところ、ゴンザレス、ヘルマンの新外国人を起用する考えだが、実力は未知数なだけに、多少の不安が残る。

 セ・リーグでは、昨年リーグ最低の87HPだった広島はシーズン終盤からセットアッパーとして16HPをマークした今村猛に大きな期待がかかり、この一枚がしっかりと機能してクローザーのサファテにつなぐ形ができれば、かなり戦いは安定してくるはずだ。逆に、巨人は昨年クローザーの久保裕也が股関節の手術で開幕が微妙。新外国人のマシソンを当面の抑え候補としているが、不確定要素が多く、流動的になる可能性が高い。また、阪神も和田豊新監督がセットアッパー候補のひとりに久保康友を挙げていたが、藤川へとつなぐ形はまだ決まっていない。

 ただ、先の伊藤コーチは、「今の段階でいくら予定を立てても、毎年投げている投手は疲れもあるだろうし、調子の波もある。本当に形が落ち着いてくるのは開幕してから」とも言う。

 ここからどこのチームも『後半の3イニング』を守り抜く形を求め、実戦を重ねていくことになる。その中で、いち早く“勝利の方程式”を見つけ出し、ペナントレースをリードしていくのはどのチームなのか。セットアッパーたちの活躍が、今シーズンも戦いの行方を握っていることは間違いない。 

(sportiva)
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