天下御免のすっとこどっこい

自分が読み返して「楽しかった」と思えることを書き綴っています。

『元禄忠臣蔵 前篇』(1941年)

2015年09月13日 | 時代劇(テレビ・映画)
京都文化博物館3階のフィルムシアターで『元禄忠臣蔵 前篇』(1941年)を観てきました。

大石内蔵助…河原崎長十郎
富森助右衛門…中村翫右衛門
浅野内匠頭…嵐芳三郎
吉良上野介…三桝万豊
瑶泉院 三浦光子
大石妻おりく…山岸しづ江
大石松之丞…市川扇升
中村梅之助…吉千代
多門伝八郎…小杉勇
徳川綱豊…市川右太衛門

総監督…白井信太郎
監督…溝口健二
原作…真山青果
脚色…原健一郎、依田義賢
撮影…杉山公平
美術監督…水谷浩
音楽監督…深井史郎
建築監督…新藤兼人

歌舞伎でおなじみの真山青果の『元禄忠臣蔵』の映画版です。
実際舞台では「御浜御殿綱豊卿」と「仙石屋敷」しか見たことがない上、原作も読まずの鑑賞となりました。

お話は松の廊下の刃傷から山科の別れまで、それを112分もかけてるものだから、間延びして間延びして。普通に(ってどんな?)娯楽として忠臣蔵を期待されているなら眠くて仕方ないかと思われます。
セットや役者さんのお芝居や台詞まわし、「え?こんな展開あり?」とちょっとマニアックな見方をすると楽しいかも。

いやあ、とにかくセットがすごいです。松の廊下の長いこと。刃傷が起きてからのかなりの人間が右往左往するシーンがものすごい迫力でした。
中庭も京都のお寺みたいに綺麗で、あらゆる屋敷の襖やら屏風、衝立までもがものすごく豪華ですばらしい絵が描かれていて、こんなにセットに目がいく映画もめずらしいかと。
カメラも「これ見てすごいよ」とばかりに遠巻きで長ぁ~~~~~~く映してるし、江戸から戦前にかけての日本画に興味が出てから見て良かったと思います。
それから時代考証も凝ってたのかなあと。阿久里のおぐしにお香をたきしめたり、おりくさんの髪型が一般的な時代劇とは異なっていて、元禄時代の絵にそっくりだったり。

言うまでもないですが、皆さんの所作や台詞まわしはすばらしいです。あんなに難しくて長い台詞をすらすらと。聞いていてもよくわかる。今の歌舞伎よりも歌舞伎です。もう舞台で『元禄忠臣蔵』は見ることができないかも。
前進座出演の映画は3本目ですが、『人情紙風船』『その前夜』は現代語やったんやなあと今回よくわかりました。

河原崎長十郎さんの内蔵助って結構私のイメージに近いかも。ただのいい人ではなくて腹の中では何を考えているかわからないような感じが。
中村翫右衛門さんいいですね。どういいのか説明できない自分がおりますが。後篇に御浜御殿があるのかなあ。あればいいなあ、きっとあるかな。綱豊は市川右太衛門さんやからね。
右太衛門さんちょこっと出番があり、「用件伝えました」と配下に聞いて「そうか」と言っているようにちょっと微笑むという感じの品のいい表情が、次期将軍さまという雰囲気が出ていて良かったです。
内蔵助の次男の吉千代役に中村梅之助さん。かわいい♪大人になっても顔が全く変わらなかったんですね。

これまで私が見たことのある忠臣蔵ではなかった(と思われる)のか、印象的な場面が3つありました。
殿中で刃傷に及んだ内匠頭の公儀の沙汰に「刀に手をつけなかった吉良は武士ではない」「吉良と柳沢はつながっている」だのひたすら抗議する浅野の家臣(奥田孫兵衛?ちょっとあやふや)
京都でのうわさが浅野のびいきと聞いて内裏に向かって平伏
内蔵助は初めからあだ討ちを決心していて、大学長広のお家復興を願ったのは一生の不覚と、息子松之丞に告白
かなり昔の作品のはずなのにかなり新鮮に思えました。

さてはて後篇はどういう展開なんでしょう。楽しみです。

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