一顆明珠~住職の記録~

尽十方世界一顆明珠。日々これ修行です。いち住職の気ままなブログ。ときどき真面目です。

「大阪」愚考…(あえて観念的一般化しつつ)

2006年03月18日 | 哲学・思想・宗教
大阪ソウルバラード
オムニバス, やしきたかじん, 鹿紋太郎, 川村栄二, 上田正樹, 康珍化, 星勝, BORO, 河島英五, 宮本光雄
ビクターエンタテインメント

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大阪は異国。

大阪を訪れるとそんな思いを強くする。

とにかく関東文化圏とは明らかに「違う」のだ。

例えば、
市井の人々がボケとツッコミを日常化していること。

いかにして平凡な日常を笑いに転化できるか。

大げさに言えば、これは大阪人にとって、「人生の一大テーマ」なのかもしれない。

「笑いのメッカ」と言うのも実に頷ける。

人々、街全体のテンション&パワーがとても高いのだ。

それでは、はたしてそんな大阪が好きかと言われれば微妙だ。

なんとなく自分が場違いのところに来てしまったようで、いささか居心地が悪いのだ。
逆に、大阪人が東京に来ても同じような思いを抱くのかもしれない。

だが、ないものねだりというのだろうか・・・。

自分にない感性であるだけに、強烈に大阪文化に惹かれてしまうことがある。
いや、もしかしたら、自分の中に秘めた?“熱”を大阪人とその文化に投影させているのかもしれない。
大阪人気質は、ラテン民族気質との類似性を指摘されるように、概ね彼らの感情表現はストレートである。
そんな振る舞いが、私たちにはデリカシーのない「がさつさ」に見える時もある。

また、彼らには世俗的、物質的価値を至上とするような、狡猾で功利的なイメージがつきまとう。
厳密に大阪人のことを指していないが、「近江商人の通った跡は草も生えない」と言った陰口にも、そうした関西人(イメージ)への嫌悪と揶揄が込められているのが伺えよう。

逆に彼ら大阪人からすれば、東京(関東)人は気取り屋で、かっこつけで、情が薄くて、「ようすかん」という反論があるだろうが。
実際、大阪人は東京(人)を過剰に敵視しているのではと思うことがある。

学生の頃、そんな大阪、大阪人の異質な世界観を見極めようと、ある小説家の本を貪り読んだことがある。

というのは言い訳で、どうしようもなく彼が描く「大阪(人)」にはまってしまったのだと思う。

小説家「宮本輝」である。

これで、私の中の大阪人に対するイメージは大きく転換した。

氏は、底抜けに明るく振舞っている彼らの内面に潜む、暗い情念、人生への諦観、どこまでも深い人間愛を見事に描き切っている。

まさに、氏によって、「大阪文学」は完成したと言っていいと思う。
いま、手元にあるのは、文庫本の『蛍川(芥川受賞作)・泥の河』、『五千回の生死』。
いずれも、深く切ない、儚く悲しい。

そして限りなく優しい。

ディープソウルリバー・・・

陰・陽。

あの底抜けの陽気さの裏には、深い感傷があったのだ。

そうやって、彼らは内的な均衡を保っているのかもしれない。

あ~大阪人の友達が欲しい。

また大阪行きたいな♪

ちょっと居心地は悪いけど・・・

大阪ソウルバラードを聴きながら♪
(つんくも歌っています)

各曲沁みる・・・ブルースだ。



<PS>

永平寺同安居の心友に名古屋人がいる。
彼もまた私のそれまでの名古屋人に対するマイナスイメージを一変させた。
彼の雰囲気も価値観も確かに名古屋チックなのだが、実に心優しい奴なのだ。
こんないい奴は、そういない。とろけるほど優しい。

言うまでもないが、どこにでも心の優しい人はいるのだ。
いい奴は全国にまんべんなく分布している。

それにしても、安直な一般化は自戒しているつもりが、こうもはまってしまうのはなぜだろう。
「県民性」とか、「方言」に妙に心惹かれてしまう私である。

かくいう私は東京もんではなく、両親は南信州出身、私自身の生まれは神奈川、育ちは都心に比較的近い埼玉の某市である。

だから南信州の方言を聞くとホッとする。


<再追記>

宮本輝氏の著書、個人的に海外を題材にしたものは好かないのですが、
大阪を題材にしたものはすべていいです。

あと絶対外せないのが恋愛小説『錦繍』。
これは超名作、必読です!
春樹氏の『ノルウェイの森』と比肩できるほど。
いや、人によってはそれ以上かも。

深い・・・泣けますぞ・・・

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7 コメント

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私も… (わこ)
2006-03-18 23:39:44
宮本輝、私もよく読みます。

『ノルウェイの森』、『錦繍』共に何度か読みました。

うなっちゃいますね。



ところで私は大阪育ちです。初めて覚えた言葉はもちろん大阪弁…。

今じゃ大阪人ぽい気質はなくなったなぁ、と自分では思ってますが、そう思ってるのは自分だけかも…。。です

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ウチも! (*のんの*)
2006-03-19 23:10:50
おぉ。大阪は異国ですか・・・

ウルフルズのOsakaストラットおすすめします。

改めて聞くと、あぁほんま大阪は異国かも。って

意識します。

私もわこ様と同様普段は意識していないですし、

関西人ぽく見られませんが、価値観が違ったりして

自分の根本に関西人の血が流れてる事を意識します。



後、癖のある人なので好み別れるところですが、

中島らもさんの【なにわのアホぢから】ってエッセイもおもろいっす。
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わこさん、コメント有り難うございます (りょう)
2006-03-19 23:54:13
>わこさん

わこさんも、宮本輝好きなんですね!

『錦繍』、いいですよね。

読後1週間は余韻に浸れました・・・。

全編、往復書簡ってのが、ちょっと現実離れしてるけど…、とても心に響きました。

ノルウェイも最高ですね!ワタナベくんみたいになりたい…でもなれない(笑)



そうでしたか~!!!

わこさんは大阪育ち。雰囲気からはそんな感じしないけど・・・

でも、道理で笑いのツボを心得ているわけだ

記事上でのツッコミとボケが小気味いいです。納得!

ちなみに乙女の大阪弁は可愛らしくて好きです





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*のんの*さん、コメント有り難うございます (りょう)
2006-03-20 00:04:40
>*のんの*さん

そう言えば、*のんの*さんは大阪育ちでしたっけ?

*のんの*さんも、やっぱり面白いですもんね!(笑)

ブログから、笑いの心を忘れない温かな人柄を感じます。

ウルフルズ、中島らも、挑戦してみますね。

スタレビの『HOT MENU』というアルバムを、アマゾンで注文しました。発送待ちです。聴くの楽しみ~。



ちなみに私は絶対ボケ役のほうです。*のんの*さんはツッコミ役の方かな(笑)

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何となく(今頃な)コメント・・・ (CONDORU)
2006-04-29 15:05:19
宮本輝さん、私も一時期読んでいました。読んだ中で一番のお気に入りは「幻の光」です。どれも面白く飽きずに読めるのですが、強引に無理遣り長編にした様に感じられる新聞小説はちょっと・・・でした。りょうさんが仰っていると思われる「ドナウの旅人」もそうです。大阪を舞台にした初期の頃の作品はホントに良いです。。。繰り返し読みましたが、、、何度読んでも良さは変らないと思いました。



禁煙一ヶ月経ちましたか?凄いですねー(エライ!っす! ^^)私も最近食べ続けていた飴断ちをちょっとやってみました。あるとついつい食べすぎてしまいますので。連休中の空き時間(?)を想定しておやつの買い溜め・・・に飴も一袋。今口の中に数個目の飴が入っております。。。あっ、私も少しダイエットしなくっちゃ。お腹が太ってきたんですよう~
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追記 (CONDORU)
2006-04-29 15:12:37
飴断ちをしていたのですが、連休中の為にやっぱり買ってしまったという事です。。。

太ってきたのはお腹だけ(?)、、、です。です。。。
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CONDORUさん、コメント有り難うございます (りょう)
2006-04-29 19:29:33
>CONDORUさん

こんばんは。CONDORUさんも宮本輝好きなんですね!しかも私も「幻の光」大好きですし、「ドナウの旅人」がいただけないと思った点も、非常に共感できます。

あと「錦繍」、いいですよね~。また読んでみたくなりました。



禁煙の応援ありがとうございます!

いい感じで継続しております。



CONDORUさん、飴が好きなんですね。わたしも甘いものが好きなので、飴も買うんですが、途中で味に飽きてしまって、全部食べ切らないんですよね・・・。いつのまにか個別包装の飴がグチョグチョになってる・・・。

体重はそれほど落ちてないんですが、最近マッチョになってきたような気がします・・・元々筋肉付きやすい体なんで。ムキムキ過ぎもちょっと・・・でも、魔裟斗の身体はかっこいい、憧れますね。

あ、遅くなってますが、メールは連休中にできると思いま~す。
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