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戦場に行った欧米の女たち その①

2016-08-30 21:40:04 | 歴史諸随想

 女性の兵士はもちろん将校も珍しくなく、将軍さえ登場している現代だが、一昔前なら戦場に行く女は従軍看護婦くらいと思われていた。しかし、近代式の従軍看護婦が誕生する以前から欧州には女性兵士がいたことを、今年になって初めて知った。2月24日付のスポンジ頭さんからのコメントタイトルはズバリ「ナポレオン軍の女性兵士」、以下はそのコメント文。

オスカルは男装した女性軍人ですが、ナポレオン軍にも女性兵士がいました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Marie-Th%C3%A9r%C3%A8se_Figueur

 翻訳サイトでざっと確認したところ、軽騎兵竜騎兵としてスペインでの戦争にも参加したとのことですが、ルイ16世の時代から、ナポレオン3世の時代まで生存していたそうで、まさに歴史の生き証人と思います。ベルばらの話とほとんど関係ありませんが、このような人物もいた、と言うことで



 リンク先を見ると、Marie-Thérèse Figueurという人物の生涯が詳しく解説されている。生年1774年1月17日、没年は1861年1月16日なので死亡時は誕生日1日前の86歳となる。この時代では享年86だけで大往生だが、数々の軍功からもまさに歴史の生き証人といえる。小説や漫画の世界だけでなく、実際に女性兵士がいたとは想像もつかなかった。
 上記はwikiにも載っている画像。男装の麗人といった印象は薄いが、端正で意志の強そうな顔立ちだと感じた。私も翻訳サイトでざっと確認したが、彼女は職業軍人の家に生まれてはいなかった。しかし、9歳の時に孤児となり、母方のおじである歩兵連隊大尉に預けられる。

 Figueurは初め、フランス革命支持者ではなかったらしい。王党派のおじに導かれ、1793年には反革命的な連邦主義者の反乱に加わったこともあったという。だが共和国軍によって捕われ、説得されて共和国側で戦うことになる。同年7月9日、19歳になっていた彼女は騎兵隊隊員として入隊、以降女性兵士としての人生を歩み始めた。
 その後の軍人人生は私が情けないほどの軍事オンチということもあり、翻訳サイトで確認しただけではまるで分からない。兵士として優秀だったのか、それさえ確認できないが、Figueurは回顧録を書き結婚もしている。女ながら兵士をしているのだからさぞ大女と思いきや、意外に小柄だったそうで、そのため兵士の中では目立ったという。

 スポンジ頭さんからの紹介で初めてFigueurのことを知ったが、とにかく凄いとしか言いようがない女性だ。事実は小説よりも奇なり、と言われるが、漫画化したらオスカルよりもスーパーヒロインになれるだろう。特に現代ならウケそうなキャラ。
 女性兵士は何もフランスだけの現象ではなく、17世紀のスペインにもいたらしい。3月9付でYUUMAさんから次のコメントを頂いた。

最近、17世紀のスペインと新大陸で活躍したCatalina de Erausoのことを知りました。オスカルとは異なり、自らの意志で男のふりをすることを選んだ(ように見える)この実在の人物の人生もなかなか面白いものでした。
 波瀾万丈を絵に描いたようなエピソードに溢れていて、とっくに日本のマンガの題材にされていてもおかしくないのに、あまり有名ではないのが本当に不思議です。(自分が知らないだけなんでしょうか)

 Catalina de Erausoなる人物も初耳だったし、検索したら、ちゃんと日本語wikiにも載っていた。カタリナは兵士の娘として生まれたが、修道女になることを期待され、修道院に入る。だが、正式に修道誓願をする直前だった15歳のとき、鞭打ち行に耐えられず修道院を脱走する。脱走後のカタリナは男装をして、新大陸に向かう船の乗組員となった。新大陸に着くと男の名を騙って兵士登録する。
 前身が修道女だったという女性兵士カタリナは、YUUMAさんの云うとおり、波瀾万丈を絵に描いたような人生。目撃者によれば彼女は宮廷人のような格好をせず、剣を身に着けスペイン男性の格好をして兵士らしかったという。
その②に続く

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