トーキング・マイノリティ

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2008年度The Newspaper 仙台公演

2008-05-17 20:23:21 | 音楽、TV、観劇
 5月15日、2年ぶりとなるThe Newspaper 仙台公演があった。この社会風刺コント集団も今年で結成20周年を迎え、団員は多少入れ替わりがあれども、旬の時事寸劇は何時もながら楽しませてくれる。「春の裁選 IN 仙台」「歴代総理出演!?」のコピー通り、3代に渡る歴代首相に扮したメンバーによるコントは大いに笑えた。日本でコメディアンが政治家に扮すること自体、案外少ないかもしれない。

 初めに舞台に登場したのが小泉元首相役の松下アキラ。松下はすっかりこの役が十八番になっている。The Newspaperの寸劇が面白いのは、公演の場の地元ネタをかなり取り入れているからだ。松下=小泉元首相は先の中国国家主席来日で日中関係が改善したとの見方に疑問を投げ、仙台楽天と重ね合わせる。楽天は最近持ち直したというが、これまでが酷すぎた、やっとマシな有様になっただけだ…と言っては、会場を笑わせる。続けて松下は、楽天は地元では勝つそうだが、地元で強いというより他球団選手が仙台に来て体調を崩しているのでは?とキツい見方をする。楽天には甘い地元紙・河北新報さえ、地元以外で勝てない楽天を“内弁慶体質”と非難しているが、札幌と違いドームさえない仙台球場ゆえ、案外的外れとは言えないかも。春先の仙台球場は地元のファンでも寒く感じるのだ。

 後期高齢者医療制度についても、松下のコントは鋭い。「あれは私が始めたのだ、にも係らず福田さんが責められているのも妙なものだねぇ。浅野さん(浅野史郎・宮城県前知事)がつくった借金で、村井さん(村井嘉浩・宮城県現知事)が泣き言を言うのと同じ…」。さらに福田現首相と比較し、「私は人の言うことを聞かず、全部丸投げしたが、福田さんは派閥、野党、官僚…全ての声を聞いて丸抱え」。
 現首相役はThe Newspaper 最年長で団長の渡部又兵衛。福田首相独特の笑い「フフフ…」も決まっている。彼もまた低い支持率を梅原克彦・現仙台市長と同列視し、「梅ちゃんも似たようなものでしょう」とギャグを放つ。

 日本を代表する3人の知事という寸劇には、東京都、大阪府、宮崎県知事が登場する。劇中、団員扮する大阪府知事はまたも地元ネタを披露。「村井さんだけには負けたくない。村井さん、結構評判がよいらしいね。宮城県にトヨタ工場が進出するそうだけど、あれは村井さんの功績ではなくトヨタが勝手に来たのでしょう?」。前知事はあまり企業誘致に積極的ではなかったが。
 病院の待合室に3人の老人がいる設定劇で、地下鉄仙台東西線の話題も出る。あれは開通したら赤字だ、八木山など唯でさえ動物園みたいな所だから、駅をつくる必要もなかった…などの会話から、事前に地元のネタを結構念入りに調べていると思われる。今回の公演の際、「仙台という大変中途半端な町」という台詞が2回も出てきたのは、少し耳が痛い。

 政治家劇と並んで皇室劇は、この劇団の目玉。私がこれまで見た劇の最後は必ず、「さる高貴なご一家」が登場。皇室一家に扮した団員が舞台で繰り広げるコントは、実に笑える。公務にあまり出ない妻に皇太子が、ニートじゃあるまいし、もっと仕事をするように迫る。返答は「楽しいことには出ますが、そうでないことには出ないと、ちゃんとけじめを付けています」。本当に将来の皇后が、“引きこもり”状態なのは大問題である。
 年間予算が皇太子一家だと3億円以上に対し、次男の場合は5千万強程度というのも、この劇で初めて知った。使用人数も段違いなのだが、やはり皇室の跡継ぎとそうでない者はかなり差がつけられるのか。ちなみに現首相の年間警備費は果たしていくらぐらいなのだろう?米国大統領と違い、日本の首相、まして今の人物なら暗殺する者など、まず考えられないが。

 いかにも旬の話題と感じさせたのが、メタボの話題が出たこと。♪走る走る~俺達~、で有名な爆風スランプのナンバー「Runner」に合わせ、一生懸命2人の団員が舞台でランニングしている。北京オリンピックネタの寸劇かと思いきや、途中ランニングシャツの裾をめくり、ぽっこりお腹を見せたので、メタボ関連だと分った。筋肉がウリの松下アキラと違い、メタボ体型もいる。健康診断でメタボがチェックされるようになった時代らしい。

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