
「動いて、喋って、オヤジになった」が、この映画のチラシのコピー。しかし、オヤジになったのはタイトル通りのテッドというテディベア。 次は映画サイト、トップの紹介。
―1985年のクリスマス、ボストンに住む8歳の少年ジョンは星に願いをかける。クリスマスプレゼントにもらったクマのぬいぐるみ“テッド”が 本当にしゃべって友だちになってくれるように。すると奇跡が起こった!
それから27年がたち、すっかり中年となったジョンと、見かけは変わらないが中身はすっかりオヤジ化しているテッドがいた。 うだつの上がらない生活でもテッドがいれば幸せなジョンだが、恋人ロリーからテッドと別れるように選択を迫られる。
この作品は本国以外でも予想外にヒットしたらしく、外見は可愛いテディベアが下ネタジョークを連発、女と酒、ドラックに目がないという 意外性が受けたのだろう。そして80年代を代表する映画やナンバーが登場しており、特に40代後半以降の中年世代には楽しめるのではないか。 今を代表する歌姫ノラ・ジョーンズ本人も登場したが、久しぶりにティファニーの「I Think We're Alone Now」(邦題:ふたりの世界)が 聴けて懐かしかった。ティファニーも十代のアイドルとして一時脚光を浴びたが、人気は長く続かず、スキャンダルで落ちぶれた。 「生きているぬいぐるみ」として注目されたテッドがドラックで身を持ち崩し、今や落ちぶれたように。
テッドやジョンの他にもこの映画に登場するのは、何故かサエない男たちばかり。ロリーを狙っている上司は高学歴のイケメン、 金持ちで高校時代は花形スポーツ選手だったが、それを鼻にかけている嫌味な男。自分の経歴なら女はイチコロと思い込んでいる。これなら うだつは上がらなくとも気のいいジョンの方が、女に好かれるのも分からない。
ТVで見たテッドの虜となり、執拗にテッドに付きまとった挙句、誘拐を企てる中年男もいた。男には十歳前後の肥満児の息子がおり、 これまた極度に甘やかされて小皇帝のようになっている。息子と2人暮らしをしているらしく、パートナーに逃げられた? 対照的にロリーやテッドの彼女(金髪美人)はしっかりしており、今時の映画らしい。
B級映画鑑賞が趣味のジョンだが、特にお気に入りは1980年版のフラッシュゴードン。派手な宣伝のSF大作の割にコケた映画だったし、本国でも それほどヒットしたとは思えない。しかし、ジョンの台詞から、あの手の作品は米国人好みなのが分かりかけた。やはりアメフトの花形選手が 悪者を倒し、地球や宇宙を救う…という単純なストーリーが好まれるのか。主人公を演じたサム・ジョーンズ本人も登場している。
ただ、「フラッシュのテーマ」が流れた時、クイーンファンの私は戸惑ってしまった。この歌やサントラを中心となって作ったのは SF好きのブライアン・メイであり、フレディ・マーキュリーはあまり熱心ではなかったという。ちょうどフレディの新たな伝記 『フレディ・マーキュリー/孤独な道化』(ヤマハミュージック)を読んだばかりだったため、フラッシュのテーマが頭から離れず、暫く気が 散ってしまった。この歌の歌詞と和訳を紹介しているサイトもある。
映画の初め、クリスマスシーズンにジョンの近くに住むユダヤ人の子供が、周囲のクリスチャンの子供たちに袋叩きにされているシーンが あった。完全なイジメだし、このようなことは未だにボストンのような都会でもあるのだろうか?ユダヤ系の多いハリウッドゆえ、 反ユダヤ主義が今でも蔓延していると訴えたいのか?と勘ぐりたくなる。日本のドラマで悪役のクリスチャンが登場しないように、ユダヤ人を 悪く描いた米映画など見たことがないからだ。
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