トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

海外就職の落とし穴 その③

2010-10-17 21:11:49 | マスコミ、ネット
その①その②の続き
 ネットでは研究者を自称する書込みを時々見かけるが、その殆どは研究分野を明かさず、単に“研究者”と名乗る特徴がある。ももんが氏が本当に研究者なのか確認は不可能だが、HNから氏の人格も想像がつく。木から木へ飛び移る小動物名を使うこと自体、安易に楽と思う所に移動したがる心理があるのだろう。もちろん移動するのは自由だが、慌てる乞食はもらいが少ないという諺もある。
 そして、「海外ニート氏」のことに触れていたので、ももんが氏が何処のサイトから飛んできたのか見当がついた。あえて名は伏せるが、拙ブログに盛んに「海外ニート氏」を讃えていた人物がおり、いかにも同類らしいと感じた。そのため私は以下のように返信した。

 (前略)
 ただし、己の人生を決めるのは本人なので、「海外就職」や「海外留学」をした以上ご自由に、としか言いようがありません。その後の人生がどうなろうが、知ったことではないのです。私も日本の労働環境を不幸と思う若者が、どんどん「海外就職」をすることに大いに賛成します。双方共に幸福ですから。

 昔から人の不幸は蜜の味といいますからね。幸福な人でも他人の幸福を祝福するとは限らず、まして、そうでない者なら人間が本来備わっている嫉妬心から、他人の不幸を見て密かに溜飲を下げる。

 仰るとおり、いくらでも虚偽が容易な匿名ネットでは自らサイトを開設せず、他人のそれで己の意見をしたり顔に述べたり、無視されると「意見を聞かない」とキレ、意固地になるタイプをよく見ます。自分の意見に聞き従うべきと考えていたり、ネットという文明の利器があるにも係らず実態をよく確かめずイメージばかりを追う彼らも、滑稽なほど日本式軽さだと思えます。

「海外ニート氏」の熱烈なファンに言わせると、「就職もしないでパチプロで生活費や海外留学費を稼ぐ」日々の後、現代はシンガポールに暮らしているとか。私も「海外ニート氏」のサイトを見たことがあるが、これぞ海外就職のデマに塗れた自慢話と怪しげな宣伝サイトにしか見えなかった。パチプロで生活費や海外留学費を稼ぐなど、戯言そのものであり、それほどパチンコ投入資金があるなら、金持ちのドラ息子と見なされても当然なのだ。「子供の時から『ダメ人間』扱いされてきて、自尊心が潰れなかったというだけでもすごい精神力」と崇拝者は讃えるが、自己愛性人格障害者なら『ダメ人間』扱いされても、自尊心は潰れないはず。自尊心も誇大妄想なのだから。
 一方、「海外ニート氏」のHPを見た団塊世代の女性ブロガーは次のように述べており、私も同感である。「海外ニート君のブログを見ましたが、あれは非常に良いブログです。あれを読んで日本を脱出するアンポンタン&ク*ク*パーが多くなれば喜ばしいと思うこのごろ…

 かつてヤオハンという大手スーパーがあり、「若者はアジアを目指す」とアジア諸国での就職活動を呼びかけていたが、1997年に経営破綻する。海外店舗を拡大しすぎ、それが倒産に繋がったが、ヤオハンの宣伝に煽られ大陸に渡りながら勤務先が倒産、途方に暮れている若者もいた。ヤオハンが危ないことをおそらく業界内では予測していたと思うが、部外者、まして新卒の若者なら知るすべもない。
 最近もマスコミやネットで、若者に海外留学や海外就職を呼びかける著名エコノミストや文化人のコラムが載ることがある。これもまた、「日系メディアへ広告を出してくれる企業」の宣伝の一環に思えてくる。社会体験や思考力に乏しい若者ならば、早々にメディアの流すイメージに飛びついてしまうことだろう。特にネットは普段から対人関係に乏しく孤立傾向の者に対し、幻想や妄想を掻き立てるのに効果的である。

 海外在住を自称するブロガーやコメンターを見かけることがある。だが、彼らの中には盛んに日本の掲示板やブログに書込みしている者もおり、それだけで経歴や職歴が疑われる。もし自称通り外国在住ならば、結局海外留学または就職も上手くいかなかったと言える。北岸ズクナ師さんの言うように、「結局せっかく来ても日本語や日本人に依存して暮らすことになって」しまったのだ。

 とかく隣の芝生は青く見えるもの。海外雄飛を夢見て渡航しても、日本人に依存若しくは利用される海外留学(就職)者も少なくないのだろう。だが日系外資系問わず、何処でも楽な職場や仕事などない。職場も実際に働いてみないと実態が分からないし、芽が出るか否かは技能と努力の他に運が大きく左右する。海外だけに幻想を抱くのは考えものだし、「うまい話にご用心」と昔からいうではないか。就職先が日系だろうが外資系だろうが、デキる人は出来るし、ダメな者は落伍者となるのだから。1人の成功者の陰には何人もの失敗者がいる。成功例よりもむしろ失敗例の方が教訓になるものだが、後者は埋もれがちなため、その教訓は活かされないことが多い。

◆関連記事:「沈没者たち

よろしかったら、クリックお願いします
人気ブログランキングへ    にほんブログ村 歴史ブログへ

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
星新一「明治・父・アメリカ」 (madi)
2010-10-17 23:56:57
星新一「明治・父・アメリカ」で父君のアメリカ時代の奮闘などがえがかれています。
 当時もアメリカにでた日本人の成功率はそうたいしたことはなかったようですね。

返信する
RE:星新一「明治・父・アメリカ」 (mugi)
2010-10-18 21:12:11
>madiさん、

 明治に渡米した日本人はバイタリティがありましたが、それでも有利な立場の欧州人移民さえ成功者は少なかったのです。まして有色人種の日本人なら才能と努力だけではどうにもならず、さらに成功率は低かったでしょう。これは現代もさして変わらず、渡米するのは成功のためではなく、現地の日本人社会に端から依存する目的の者もいるはず。日本の労働環境はイヤだから渡米する、と考えている者はまず芽が出ないでしょう。もっともネットには、日本企業へのネガティブキャンペーンを執拗に書き込む「工作員」も確実にいると思われます。

 アメリカに来たシリアのアラブ人キリスト教徒もいて、以前「アメリカ帰りのシリア人の話」という記事を書きました。こちらも厳しい生活だったようです。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/09b345b02d642dc39c8d59074071baa4
返信する