その一の続き
ベルばら愛読者は今でも大勢いるし、ツヴァイクの『マリー・アントワネット』を読んだファンも多いはず。しかし、小説への感想は十人十色だし、九月虐殺やランバル公妃の惨死を知ってもフランスが大好きで、未だに興味が尽きないという人の方が大半だろう。それも個人の思想や信条の自由なのだ。
現代日本でも美食とファッションの国として讃えられるフランス。フランスのファッションやブランド特集の載らない女性誌は皆無だし、河北新報のような地方紙さえ、その年毎のフランスモードを紹介する記事が出る。70年代後半、河北新報にパリコレ取材の裏話が載ったことがあり、中々興味深い内容だったため妙に憶えている。
当時でも日本はパリコレの上得意だったが、とにかくフランスのファッション界は日本人記者に対し、横柄な態度を取っていたという。ようやく取材の許可が出ても、与えられたのは会場の片隅の場。21世紀には事情が違ってきているかもしれないが、少し前までは東洋人には取材もさせたくなかったようだ。この辺りにもフランス人の人種意識が表れており、私のフランスを見る目にも微妙に影を落としたと思う。
「パリ症候群」という用語がある。wikiには「異文化における適応障害の一種であり、カルチャーショックの一種。「流行の発信地」などといったイメージに憧れてパリで暮らし始めた外国人が、現地の習慣や文化などにうまく適応できずに精神的なバランスを崩し、鬱病に近い症状を訴える状態を指す精神医学用語」と解説されており、「発症者の多くは、裕福な家庭に育った20-30代の日本人女性」ともある。
「マスメディアが作る虚飾の犠牲?パリ症候群に陥る日本人女性たち」、というサイトにはより具体的な症状が紹介されているが、タイトル通りパリ症候群に陥る日本女性は、マスメディアが作る虚飾の影響が大なのだ。そもそも日本の女性雑誌で、現実のパリやフランスを描いたコラムが載ることはあまりない。雑誌ばかりか河北新報のような地方紙に掲載されるパリ在住日本人のコラムさえ、現地称賛ばかりが目につく。
もちろんパリに限らず、小説や映画などにより作られたイメージに影響を受け、現地に行ってカルチャーショックに陥る日本人は他にも大勢いるだろう。文化習慣の異なる外国に住むということ自体、少なからぬカルチャーショックに遭うもの。但し、パリ症候群も個人差があり、戸惑いや苦労しながら、ちゃんと現地に適応できる日本人もいるのだ。フランスに渡航した日本女性全てが罹る訳ではない。
改めてマスメディアの垂れ流す虚飾の影響力の大きさには慄然とさせられる。日本のメディアがパリやフランスの恥部を取り上げないのは、フランス被れの知識人の他に、観光業界の思惑もあるのではないか…と想像したくなる。フランスは観光大国でもあり、現地はもちろん日本の観光業者もその恩恵を受けている。ネガティブなことを書けば、観光客の足が遠のくというもの。
そして日本のメディアだけでなく、フランス側の思惑や戦略もあると私は見ている。イメージ戦略というのも外交戦や情報戦の一種であり、「日仏文化協会」のようなスタッフがそれに貢献しているはず。ドイツ車を絶賛する自動車評論家が、実はドイツ車メーカーから資金を受けて提灯記事を書いていた疑惑が昨年持ち上がったが、雑誌ライターにはその手合いがゴロゴロいる。同じことはフランスにも言えるのではないか。
「ブルガリア研究室」さんから2014-09-07付で、「幻想は幻滅に繋がる」というコメントを頂いたことがある。この場合は「民間交流、民間外交」への批判的見解だったが、実に意味深いタイトルだ。実際にフランス幻想を抱いて渡仏した日本人は、現地で幻滅するハメになった。
私がフランス幻想を持ったのもベルばらの影響があったし、それがツヴァイクの小説で幻滅に繋がったのだ。映画や小説の他に漫画も時に罪作りになる。もちろんフランスや作者の池田理代子氏のせいではなく、全ては私自身の無知による思い入れと思い込みが原因なのだ。但し十代前半の少女が幻想を持たず、冷静に事実を分析することは極めて難しい。
インド・中東関連記事を書く時、私が現地のマイナス面も出来るだけ紹介しているのは、インド・中東幻想に陥るのを防ぐ目的もある。かなりエグイ内容もあり、ゲンナリされた読者もいたが、メディアのような虚飾に満ちた記事を書きたくなかったのだ。
「ブルガリア研究室」さんも以前、「長所短所を書かなければ、歴史を書いたことにならない」といった発言をしていたし、この姿勢は歴史記述以外にも当てはまる。本来ならメディアが、フランスや他国のプラス面マイナス面双方ありのままの情報を報道するべきなのだ。だが、日本のメディアにそんなモットーがあるはずもなく、雑誌情報は眉唾物と見て鵜呑みにしないことが賢明だろう。
以前フランス料理風のレストランで食事をした際フランスの観光案内のような雑誌を見ていたのですが、田舎の風景も美しく、そこに掲載されていたレストランの料理もきれいで美味しそうでした。実際にフランスに旅行した池波正太郎もフランスの田舎を賞賛していました。
でも、フランスは核大国で原爆を持ち、国中に原発を建てていることはあまり報道されませんね。ウィキペディアにフランスの原発一覧が掲載されていましたが、非常に多い。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
こちらが地図。何故かドイツ語ですが、パリの近辺にも原発施設があります。パリから120kmの場所とか、130kmの場所とか、日本では考えられない近さです。
>Kernkraftwerk=原子力発電所
>Wiederaufarbeitungsanlage=再処理工場
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%
こちらは農業地帯のようですが、原爆製造を目的として設立された地区なのだそうです。とは言うものの、旧ソ連のような閉鎖都市ではありません。ぶどう畑と原爆製造関連施設と言うのもそぐわない感があります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E5%9C%B0%E5%8C%BA
以前にも書きましたが、フランスは軍事大国ですし、日本の左翼が嫌がるような原発大国でもあるのですが、何故かそのイメージを持つ人が少ないのも面白いところです。確かにフランスはイメージ戦略に長けていますね。
2年前の、国際結婚に関する議論、懐かしく思い出しました。
先週金曜日まで二女が来日し、日本食材(インスタントラーメン、ふりかけ、その他)をたくさん買い付けて帰って行きました。来日中に、ロンドンの自宅では、夫とその父親がせっせとキッチンをリフォームしてくれていました。欧州人の偉いところは、日本ほどリフォームを安くやってくれる工務店などが発達していないから、日曜大工=DIYで、自分たちでこなしてしまうこと。
外国での結婚生活は、日本とはかなり異なるけど、楽しい側面がある。今回も、娘は、我々が食べたかった食品をたくさん運んできてくれたし。チェダーチーズも、米国、NZ製しか日本では買えないけど、英国製はとびっきりおいしくて、似て非なる食品です!
ちょっと忙しいので、フランスに関するコメントはできないけど、一言・・・・大したことは無い、英国の方がよほど奥行きがあるかも。高級レストランがおいしいのは、当たり前!
池波正太郎のフランス旅行記、私も見ています。載っていたフランスの田舎の風景はまるで絵のように美しかったし、洗練されたパリとは違う素朴な料理も美味しそうでした。決して粉飾された誇大広告ではないはず。
仰る通りフランスは核大国ですが、それにしても紹介された原発の数の多さには驚きました。日本より国土面積が大きいにせよ、まさに国中原発だらけ。しかも海沿いだけでなく内陸部にも多い。さらに驚いたのは、パリから120~130㎞の位置に原発施設があったとは!日本で東京から130㎞の場所に原発施設など、到底考えられませんよね。だから福島に建設した。
紹介されたマルクール原子力地区ですが、周辺はワイン用のブドウ農園が広がっているそうですね。これまた日本では考えられません。2011年9月12日、ここのセントラコで爆発が起きて炎上、1人が死亡し4人が負傷する事故が起こりました。放射性物質の放出はないとされ、周辺に対し避難指示や外出規制も行われなかったとか。
この事故は東日本大震災と同年だったし、扱いは小さめながら河北新報の国際面でも取り上げられていました。フランスの反核団体は反応しなかったのでしょうか?また、この農園のワインは風評被害に遭わなかったのか、少し気になりました。
池内恵氏が書いていましたが、フランスの中東外交は文化面を押し出すそうです。その辺が英国とは違うらしく、おそらく中東以外での外交も文化を強調しているはず。但し中東諸国は、やはり英国外交を信頼するようです。
国際結婚されたお嬢様が里帰りされていましたか。どれほど海外暮らしが長いにせよ、日本食材を沢山買って英国に帰って行ったとは、やはり日本人ですね。前にも自らDIYをする欧州人のお話を伺いましたが、日本では日曜大工をする人は、未だに趣味人と思われているようです。
輸入物のチェダーチーズは、日本のスーパーでも売られていますが、英国製は全く味が違う??私が買った輸入物チェダーチーズはやはりイマイチでした。そしてフランスの食品も大したことがない?私的にはフランスワインよりも、チリ産の方が美味しく感じられます。
仏の原子力産業は、安価な電力の生産で、国内需要の大半を賄う以外に、独など隣国に電力を輸出して稼げるなど、仏の経済を支える重要な要素です。
英国も、結構原発を抱えています。両国ともに、日本のような地震、津波の危険性がないし、これまでも深刻な事故を経験していないから、安価な電力源としての原発に抵抗感が少ない。
とはいえ、東芝+Westing Houseが提案している次世代の安全性の高い原発などに切り替えていけばいいと思うけど、地震、津波の無い地域と言うことで、高価な新型炉ではなく、中国製の安価な原発を導入しようというのですから、英国も我々の感覚とは違うというか。
仏の場合も、WH式の新型炉の開発などに努力はしていたらしいけど、ここ20年ほどは仏の新型炉開発はことごとく失敗しているらしい。要するに、仏の場合、原発技術力が落ちてきている。日本も、東芝、日立の2社が原発メーカーとして残っているけど、新規建設が無いから、原発技術力はどんどん後退していく危険性があると思う。
ロシアでも、首都とか大都市近郊に原発が立地し、暖房用の温湯、スチームなどを直接団地に送り込んだりしているはず。原発由来のスチーム暖房・・・日本でなら、左翼の反対運動が激しいはずですが、ロシアの左翼=体制派は、そんなことを嫌わない。政府を倒す目的には、左翼の本山で常識となっている安全性も無視して、日本では「原発危険論」を煽り立てるのです。
前にも書いたけど、原発は、理論的には2万kw以下の小規模原発なら、冷却せずとも自然に大人しくなるから、安全な原子炉で、大都市の中に作れば送電網すら不要で、一番効率的なシステムのはず。原子力空母が安全なのも、こういう小規模原発を船内に持っているからです。大量の電力を使用できる空母、原潜は、海水を分解して真水が生産できるので、水の問題も無い。
仏のチーズ類は、ヤギ乳系のもので、小生が苦手なものもあるけど、総じて美味なものが多い。独では、レバ・パテの瓶詰がおいしかったし、安かった。ワインは、伊の小さいメーカーなどに、美味な赤ワインが多かった。とはいえ、伊のワインも高価な事例が多い。味と価格のバランスを考えると、スペイン、チリ、アルゼンチン、豪州などのワインが良いと思った。英国で買った南アフリカワインも安価で美味だったが、日本に来ているものは必ずしもおいしくはない。
ttp://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu359.html
ブログ主様はあえて避けておられるのかもしれませんが、こういうことも挙げられていました↓
ttp://blog.goo.ne.jp/2005tora/3
下記については、我々サイドでできることは、「ふるさと納税」が筆頭でしょうか。引用にもあったように、「ヘタな押しかけ、救助の邪魔」でしょうから。
先にスポンジ頭さんがコメントされていますが、フランスって核保有の軍事大国の上に原発大国でもあります。本来なら左翼が嫌うはずの国ですが、そんなイメージを感じさせないのは面白い。やはりフランス=文化大国のイメージ戦略が大かも。フランス被れの日本の文化人は、どうも左派寄りが多いようですが、フランスの軍事や原発政策を見習えとは決して言わないのは笑えます。白人の靴舐め然に見えます。
左翼の本山といえば、現代では中国こそ相応しいかも。日本の左翼は左翼というより、儒教極右の木偶が実体でしょう。今回の熊本地震でも、早々に怪しげな“市民団体”が動いていますね。熊本県人のブロガーさんが、「オスプレイ投入に反対する人間の神経を疑う」という記事を書いていました。活動家が沖縄や佐賀県出身というだけでおかしい。
http://blogs.yahoo.co.jp/houzankai2006/55868428.html
前にも書きましたが、日本で売られているフランス産のチーズはイマイチですね。フランス産チーズを買うくらいなら、北海道産のそれの方がずっといい。酒の量販店でフランス産のレバ・パテの瓶詰が売られていましたが、結構脂肪が多くて、味がしつこかったものもありました。
やはり室長さんもスペインやチリ産ワインは、味と価格を考えると良いと思われましたか。行き付けのスーパーで扱っていた豪州ワインは、あまり美味しくなかった。米国ワインは安くとも飲みたくありません。
リンク先トップにある、「キリスト教は、世界中を可能なかぎり多くの人たちをキリスト教徒にしようとしている。そのために手段を選ばないところがある」は必ずしも遠からずとは言えないでしょう。現代ではムスリムの方がそれに近いですが。
先のコメントにもリンクを貼りましたが、熊本県人の多くは「オスプレイ投入に反対する人間の神経を疑う」と思います。ご存知かもしれませんが、被災地でレポートの邪魔だからと雨宿りしていた子供を追い出す出来事がありました。本当にサイテーですね。
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1879795.html
http://news.cafeblog.jp/archives/1056168676.html
日本人、特に女性は、フランスに限らず、外国を綺麗に思い過ぎる。そして、理解してあげ過ぎる。
馬鹿馬鹿しいくらいに、憧れを持ち過ぎる。
自国の紹介さえろくに出来ないくせに、外国のことになると、やたら褒める。
というような人達が多過ぎる。それが我が国の欠点だと思っています。
第一印象(見た目)で物事を極め過ぎるから、後からの新事実には顔を背ける。
なので、mugi様とは違う反応をする人が多いのでしょう(フランス礼さん)。
残酷な殺し方や甚振り方は、どの国もやっている。それを見ようとしない、見せようとしないから、苛めに対しても見て見ぬフリをする。
日本の母親力、父親力、そして国力が落ちているように思えるのはそういう部分かな。
外国に対し、馬鹿馬鹿しい程の憧れを持ち過ぎる男性知識人も多いですよね。特にクリスチャンにはその類が多い。野口悠紀雄氏はわが国では輸入学問が大半なので、どうしても外国の威を借りる権威主義者が多いと言っており、その風潮を批判しています。氏自身はイェール大学の経済学博士号を取得された方ですが、前に野口氏の著書を記事にしたことがあります。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/898f8d22648d12e157322d6a5c22e6d6
欧米に限らず、インド・中東のような第三世界礼賛者も多いですよ。数は少なくとも女性のインド・中東礼賛知識人もいます。彼女らの特徴は、「偏見を持たずもっと理解を」。現地語を話せても、社会観は小娘並みとしか見えません。
とかく日本は近代以前から舶来モノを有難がる風潮がありました。山本七平は著著『日本人と中国人』で、その深層心理の分析をしています。山本自身がイスラエルやユダヤの代弁者だったため、彼の指摘には説得力があり、以前ネタにしました。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/ee4cedff4b3e7bc0ddaabd9435195690