トーキング・マイノリティ

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合法移民と不法移民

2005-10-08 21:23:22 | 読書/インド史
 2~3年くらい前、『ブロードキャスター』というTV番組で、ジョージフィールズ氏が「不法移民に犯罪者が多いのは何処も同じだが、合法移民は現地人よりも犯罪率が少ないという調査結果がある」と言ったことがあった。もちろん世界中の合法並び違法移民のデータを網羅するのは不可能だが、彼の言葉は妙に私の記憶に残った。ある合法移民の歴史を思い出させるからだ。

 古来から様々な異民族、異教徒を受け入れてきたインドだが、十世紀にペルシアから迫害を逃れ西部グジャラート州に渡ってきたゾロアスター(拝火)教徒がいる。土地の支配者ジャディラーナは寛容な王であり、彼らが海浜に家を建てるのを許した。グジャラートの現地人はこれらのゾロアスター教徒たちをペルシアから来た人、すなわちパールシーと呼び、その名称は現代に至っている。
 ジャディ・ラーナも無条件で受け入れたのではなく、定住の許可と引き換えに以下の5項の遵守を求めた。
 パールシーの高位の祭司にゾロアスター教の教義の内容を王に解き明かすことグジャラート語を母語として採用することパールシーの女性はサリーを身につけること全ての武器は引き渡すことパールシーの結婚の行列は夜行われること、などであった。

  最後の取り決めは古くからの土地の住民との摩擦を避けるため、両者との配慮から出たものと思われる。というのは、パールシーは白を尊い色としており、祭司 は普段から白尽くめの服装だが、一般信徒も結婚式の際は新郎新婦ばかりか家族、親類、友人一同これまた白尽くめの衣装をまとう。ヒンドゥーでは白は喪服の 色であり、未亡人は白いサリーを着るのだ。白服集団の行進は日本人でも不気味に思われるだろう。ただ、現代では昼でも結婚の行列は許可されている。
 他の4項は現代でも当然の条件だ。①については当時もカルト宗教はあったのだし、訳の分からぬ異教徒を受け入れる国などない。郷に入って郷に従うのが移民の基本なのだ。

 その後の彼らの歩みは7月21日付けの記事でも書いたが、彼らは「その成員は誰も、苦しい時にも他宗教の者に施しを求めることはしない(ゾロアスター教、メアリー・ボイス著より)」から見事ではないか!さらにダライ・ラマ受け入れに尽力した者もいる。何かと言えば差別の言葉を口にし、補償を要求するわが国の大半は不法移民である少数民族とは雲泥の差だ。
 印パ分離独立により、主にパキスタン領に住んでいたパールシーの一部はアメリカ、イギリスに移住した者もいたが、そこでも確固たる地位を築いてゆき、落伍者はまずないといわれる。

  パールシーの場合は合法移民であり、最も優れた移民集団ではあるが、合法、不法問わず移住先で絶えずトラブルを起し、現地と協調する姿勢が極めて薄い集団 もいる。東南アジアの華僑などがその典型だが、わが国にもその類はいる。基本的には民族の気質によるものだろうが、受け入れても現地に貢献するどころか、 厄介者と成り果てる移民も存在するのは明らかだ。

■参考:『宗祖ゾロアスター』前田耕作 著


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2 コメント

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嫌われる移民 (Mars)
2005-10-09 17:08:37
こんにちは、mugiさん。



>郷に入って郷に従うのが移民の基本

移民であれば、移民先から何かと白い眼でみられるものです。それを、移民先の様式に習い、溶け込む(その為の努力は、並大抵のものではないでしょうね)か、反発して、自分達だけの小グループを作成するかのどちらかだと思います。前者はパールシーや南北米に移民した我が民族もそうでしょうね。反対に、後者にあたるのが華僑や某半島系の人なんですね。

後者の場合、自分達のグループだけ、もともとの移民先も拒絶する、移民先のルールは守らない、自分達の先祖を敬い、葬祭についても身内や移民元にしかお金を使わないなど、嫌われる要素は沢山ありますね。やはり、この手のアジア系の嫌われる移民には、○華の思想の毒が、そのまま生きているように思われます。



>何かと言えば差別の言葉を口にし、補償を要求するわが国の大半は不法移民である少数民族

>受け入れても現地に貢献するどころ か、厄介者と成り果てる移民

まさしく、パールシーの正反対の存在ですね、某半島系の移民は。かの民族に、つけるクスリはあるのでしょうか?



そういえば、中岡龍馬氏のブログ、「今だからこそ・・・ 韓国斬り!!」の内容が出版されるとのこと。タイトルは「韓国人につけるクスリ」で、おちゃめなカタツムリ、もとい、ノ○ヒョン大統領のイラスト(飲み物を、飲みながらの参照には、注意が必要です)が表紙ですので、一読されてはいかがでしょうか?

※発売日は今月の20日ですが、本屋で立ち読みでも結構ですので、一読されてはいかがでしょうか?(私も、立ち読みしてみます(笑))



(中岡龍馬氏のブログは

ttp://christopher2005kor.seesaa.net/

で、本の表紙は、こちらから。

ttp://images-jp.amazon.com/images/P/4775506315.01.LZZZZZZZ.jpg)

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来てほしくない移民 (mugi)
2005-10-09 20:17:41
こんばんは、Marsさん。



 パールシーも一朝一夕に現地との信頼を築いたのではなく確執もありましたが、自分たちの文化を守りながら移住先に貢献する姿勢は立派です。17世紀以降、訪印した西欧人の記録を見ても、彼らを勤勉、穏やか、正直、活動的、清潔・・・と褒めちぎってます。かつてのどこかの国民のようですが。

 某半島系の移民には、○カにつける薬はないといいますからね(笑)。



「今だからこそ・・・ 韓国斬り!!」、私も時々見ています。

あのノ○ヒョン大統領のイラスト、笑えますね。整形してもあの程度だから仕方ない。夫婦そろって整形受けた大統領など、世界で韓国だけでしょう。
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