盤上の悪魔

囲碁、哲学(人間原理、相対主義、プラグマティズムとか)、ラノベなんかを中心にしてます。

冒険者という職業が成り立たない数学的な理由

2020年08月19日 23時27分57秒 | Weblog
ハンター確保でクマ被害防止を!猟銃の訓練施設が完成 秋田・由利本荘市 秋田テレビ


以前、年30頭をしとめるという熊撃ちの名人の記事をどこかで読んだことがあったが、これは2週間に1頭以上熊をしとめているということになる。

熊は60kmの速度で走り、木も登るので、ヘッドショットで撃ち殺さないと危険とのこと。

もし、熊を仕留めそこね、反撃で死傷する確率が1%でもあるなら、30回熊を撃とうとして死傷する確率は27%、四分の一を超える。

つまり、4年後までこの名人が生き残っている確率は15%にすぎないことになる。


実際は撃ち損ねてもほとんどのケースで熊は逃げるだろうが、この名人の対熊の勝率は、相当高くないと危険な橋を渡っていることになる。

仮に勝率が99.99%だと年間の死傷率が0.3%、10年熊撃ちを続けて3%程度の死傷率なら、どうにか許容範囲だろうか。

つまり、命の危険のある戦いを生業にするには、相当勝率が高いか、戦いの頻度がかなり低いかのどちらかでないと割に合わないといえる。


ゲームや小説のなかの冒険者は、ダンジョンにもぐり、未知の多様な環境下、敵を先に発見できるとも限らない状況で、1日に何度も戦闘を行ったりする。

そのような状況下で勝率99.99%など達成しようもないし、年1000回近い戦闘をこなすとなれば、仮に勝率が99%だとすると、1年後には2000人に一人の冒険者しか生き残っていないことになる。

いかに命が軽い世界だとしても、これでは職業としては成り立たないだろう。

命を賭けた戦いなど、いくら勝率が高くても、月に数回が限度というわけだ。