クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

ベートーヴェンの交響曲第6番ヘ長調「田園」 モントゥー/ウィーン・フィル

2007年03月27日 04時43分58秒 | 交響曲
葬儀でバタバタしているうちに、周囲はすっかり春になっていました。
暖かい陽射しが気持ちいい一日でした。田んぼ道では、荒起こしも進んでいるようです。田舎の春です。

そこで、今日はベートーヴェンの交響曲第6番ヘ長調「田園」。

ピエール・モントゥー指揮ウィーン・フィルの演奏。
1958年の録音。DECCA盤。ユニヴァーサルの全集からの1枚。

戦後の復興がなって、ウィーン・フィルが非常に充実していたと思われる1950年代末期の録音。約50年前の録音でヒスノイズも多いが、ウィーン・フィルの輝かしく艶やかな響きが心底楽しめる録音でもある。

特に管楽器がいかにもウィーン・フィル。ウィンナ・ホルンのコッテリした太く厚みのある音色、ウィンナ・オーボエの少しきつめで鼻をつくような音色など、芳しいばかり。

モントゥーらしく、ヴァイオリンは対向配置。ヴァイオリンの掛け合い、会話が実に楽しい。ベートーヴェンの交響曲は、この配置の方が楽しめる。作曲者が、そう書いていると思う。特にこの「田園」と7番交響曲は、対向配置で聴きたいと僕は思う。

さて、モントゥーの指揮。
テンポは基本的に速めのイン・テンポだが、適度に伸縮させている。リズムはよく弾み、音楽の流れはしなやか。響きも新鮮この上ないもので、ウィーン・フィルの音を十全に引き出していると思う。
モントゥー、この時83歳!
最晩年の演奏なのだが、衰えている様子が微塵も感じられない。何という年寄りか。指揮ぶりには貫禄を感じさせるところもあれば、ホンマに老人の指揮かいな?と思わせる瑞々しい響きのところもあって、なんとも素晴らしい。

第1と第2楽章の爽やかな演奏は、ウィーン・フィルの働きも大きいとは思うのだが、生まれてくる音楽はとても老人のものとは思えない。新鮮で涼風のような清冽さ。
第3楽章のスケルツォのリズムは若々しいし、第4楽章の嵐は豪快に荒れ狂う。

何より感動的なのはフィナーレ。
ベートーヴェンの神への感謝の歌が、モントゥーの長い人生への感謝の歌になって、リスニングルームに満ちてゆく。
自然を愛し、生きるものを慈しみ、人生への肯定の歌が、ここにはある。
底に流れるのは、音楽への愛。

ああ、今日もホンマにエエ音楽を聴かせてもらいました。
有り難いことです。


末筆ながら・・・・・(昨日のコメント欄にも書きました)
>コメントを頂戴した皆様

ご丁重なお言葉、恐縮です。どうもありがとうございます。
心から感謝しております。
この5日間は、目が回るような忙しさでした。
喪主というのは大変なものだということが、つくづく分かりました。
当地、四国伊予西条は弘法大師ゆかりの信心深い土地柄、毎晩家族で般若心経ほか真言のお勤めをしております。家族6人での読経はなかなかエエもんです。旋律のない合唱のようです。
皆様、どうもありがとうございました。



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