ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始めいつのまにか、トライアスリートになってしまった私。

【書き込みを読んで10】難波先生より

2014-09-01 14:55:04 | 難波紘二先生
【書き込みを読んで10】
<永久革命としての民主主義 (からしだね):2014-08-29 11:25
まず、先日コメントさせていただいた奥野正男氏の著書『神々の汚れた手』について。難波先生は、この著書について5月1日付の記事で【旧石器遺跡捏造との類似性】というタイトルですでにお書きになっておられるのですね。STAP関連の先生の記事はすべて読んでいる筈なのですが、記憶から抜け落ちておりました。改めて読ませていただいて先生のご慧眼に感服し、内容そのものにも深く共感いたしました。>
 奥野先生の著書には私の2001/5日本考古学協会総会での「脂肪酸分析批判」の学会発表の内容が収録されています。奥野先生には「毎日出版文化賞」の授賞式でお会いし、その後のパーティで親しくお話ししました。元日本共産党のオルグで、北海道夕張から三井三池炭争議の時に九州にオルグに入り、そのまま定住した人なので、共産党的な「陰謀史観」をもっておられます。その辺に問題がありますが、全体としてはよくまとまった本だと思います。
<日本版ORIにつきましては、以前からその必要性が説かれておりますが、個人的には「結局形だけ真似て実質の無いものになるのでは。」と疑念を持っておりました。しかし、このところの皆様のコメントを読ませていただいて、やはり、作るべきものだと思い直しました。
「ORIを作っても、意味がない、何も変わらない。」というご意見の方もおられますが、100%現状を変えるということが出来なくても、最初は10%、20%でも変えることが出来たら、それは意味のあることなのではないでしょうか。(後略)>
 日本版ORIの必要性については、武田ブログでの議論がおおむね建設的で、84個の書き込みが行われるうちに、「必要だ」という流れになってきたことを嬉しく思います。これが「建設的な集合知」ではないでしょうか。
 日本版ORIを創設して、そこに研究者としての豊富な経験がある大学名誉教授クラス、若いポスドク、10年以上の研究歴がある中堅の研究者を専門調査官として合計12名くらいそろえた「研究不正調査機関」を立ち上げ、必要な調査権限、審査権、判定権を与え、そのことを周知徹底させれば、まず科学不正はめっきり減ると思います。不正が確定した研究者には科学者としての「公民権停止」処分を行うのです。
 米国の場合は、研究費がNIHがらみのものと非生命科学分野のものでは出所が違いますから、ORIはNIHがらみのものしか扱っていません。物理とか原子力になるとORIは手が出せないのですが、日本ではそこは文科省・厚労省etcすべての科研費を扱うようにしたらよいでしょう。(どの省の所轄にするかは、別の議論でするべきと思います。)
 日本版ORIを設立しても、研究不正がゼロになるとは思いません。ただ内部告発や外部告発を受け付ける正式の機関があれば、今度のSTAP事件のように、ネットで最初に提起され、すみやかにここに持ち込まれていれば、理研のようにもたもたと対応していて、致命的な(笹井氏の自殺のような)副作用を引き起こすというような事態は回避できたであろうと思います。
 ORIを作ってもまた新たな問題が出てくるかも知れませんが、それは出てきた時点で検討すればよいことで、あらかじめ完全なものを求めてもしかたがないと思います。またネットが発達した現代ですから、必ずしも固定した建物や組織を必要としません。緊密に連絡できるオーソライズされた「人的ネットワーク」があればよいのです。
 「日本版ORI」の必要性について、この武田ブログでの建設的意見がマスメディアでも採り上げられ、日本社会を少しでもよい方向に変えていくことを希望します。それが「からしだね」さんのいうように「永久革命としての民主主義」なのかもしれません。

<Unknown (Unknown①):2014-08-28 08:54
論文のプロトコールでは、pH5.7が得られなかったとか。化学を専攻していた小保方氏が、高校生でもできるpHの計算ができなかったと判った時点で、検証実験を打ち切るべきだった。>
<Unknown (Unknown②):2014-08-30 10:43
一番衝撃だったのは、丹波氏の「小保方はpH調製すら出来ない」でしょう。
エセ博士どころか、理系の学生以下のスキルだった。すべてエア実験は、ホントかもしれん。>

<Unknown (メダカとトクサ):2014-08-30 15:34:
丹羽氏によれば、小保方の論文通りの量ではpH5.7の溶液は出来ず、その倍量の塩酸が必要だったとか。
そして、小保方レシピ通りとpH 5.7のどちらもマーカーは光らなかった。
今までは、死に際発光を多能性と間違えたのかと思われていたのですが、そもそも溶液すら、まともに調製できない能力であったことが判明し、衝撃を受けた方が多かったようです。
早稲田は、博士号どころか、学部を卒業させてもいけなかったのでは。>

 私は丹羽氏の記者会見の動画を見ていないので、直接的にどのようなコメントがなされたのかはわかりません。ただこれまで明らかになった小保方のあまりの低学力から見て、彼女が「pH5.7の塩酸バッファーが自作できなかった」、いいかえればバッファーの原理を知らずモル濃度の調整法も必要なpHを得る方法も知らなかったとしても、まったく驚きません。これらは大学での化学実験や生物実験ではあらかじめ実験助手が調整しており、学生は時間節約のためにそういうことにはタッチしません。
 学部を卒業して研究者になって初めてこれらを自作する必要が出てきますが、今日では標準的なバッファーはボトルで市販されており、塩酸バッファー、酢酸バッファー、リン酸バッファーともに普通に用いるpH7.4領域であれば、自作する必要がありません。従って小保方がpH5.7という酸性域でのバッファーの作製法を知らなかったということはありえると思います。その場合、Unknown②さんがいうように、すべての実験がエアだったということになるでしょう。

 私の恩師の一人は分子生物学者の柴谷篤弘先生でしたが、柴谷先生から「小児科の女医さんがどうしても酢酸バッファーが所定のpHにならない」という相談を受けたので、聞いてみたら酢酸溶液を蒸留水で薄めれば、pHを中性領域にもって行けると考えていた、という笑い話を聞いたことがあります。先生は「医者の研究者としての能力は低い」という例としてこの話をされたので、医者のひとりである私には耳の痛い話でした。

 小保方に関しては、高校での理科(数学、物理、化学、生物学)の履修状況と成績、早稲田理工学部での履修状況と成績が明らかにされれば、どの程度の人物か検討がつくのですが、今のところそういうきちんとした調査報道がありません。

<Unknown (気になる):2014-08-31 21:52
怖いのは、こうやってぐだぐだしているうちに、変な論者が現れて、「小保方がやったことはイノベーションだったんだ!頑張って駄目だった人を叩くな、卑怯者!」という論を振り回し、それに低関心層が染まってしまうこと。
脳科学者とかを中心に危ない議論が展開されている気がするが、(後略)>

 テレビ学者の信用は地に落ちたと思いますから、「変な論者」の再登場はないでしょう。
 「イノベーション」はもともとオーストリアの経済学者シュムペーター(後に米国に亡命)が「経済発展の理論」(岩波文庫, 2巻本)の中核においた概念で、もとは「新結合(Neue Kombination)」と呼ばれていました。基礎科学的な大発見を実用レベルに持って行くまでのさまざまな「技術革新」のことをいいます。
 変な論者は自分でもイノベーションという言葉をよく知らず、世間でも理解されていないことを利用して、この言葉を振りかざすかもしれませんが、それこそ無知の証拠ですからおそれるに値しません。
 茂木健一郎などの「自称脳科学者」については、放置しておくしかないでしょう。茂木は東大理学部物理出身でソニーのコンピューターサイエンス研究所にいたのであり、脳については素人です。「クオリア」という曖昧な言葉で世に受けているだけです。
 敗戦後、実験機器をすべて失い、思弁しか研究方法がなかった時代には、理論物理学それも量子力学が権威をもっていたのですが、いまでは実証できない理論など、まともに相手にするのは「小林秀雄賞」を茂木に与えた文学の徒くらいのものでしょう。
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Unknown (Unknown)
2014-09-01 15:52:46
小保方氏はAO入試で早稲田理工学部に入学した。

大学側が学生数を確保するために、最近AO入試が行われるようになっており、私大では、半数近くがAO入試であるという報道もあった。

しかし、日本の大学は、海外の大学よりも遙かに卒業が容易である。にもかかわらず、入学時にも、学生の実際の学力に基づくスクリーニングさえ行わなくなれば、大学の学力レベルが一層低下することはあきらかであろう。
Unknown (Unknown)
2014-09-01 17:25:09
医学部も推薦枠を増やしたため、どんどん学力が落ちているよう。
東大も推薦入試を導入するらしいです。センター試験の点数も考慮されるようですが、如何なものでしょう。
取り敢えずAO入試は止めていただきたい。
Unknown (Unknown)
2014-09-01 17:48:17
茂木氏は東大理学部大学院卒後、理研に在籍して居たんですね。
Unknown (Shabby)
2014-09-01 22:45:25
先のORIについての議論中、わざと露悪的な書き込みをしましてすみませんでした。議論が途絶えてしまったようで反省しております。

若手の中に周囲を引き込む人望と行動力のある人が出るといいですが。やはり弱い個は団結しないと戦えないと思います。

それにしても、問題のあるラボは人が集まらなくなり淘汰されるのが自然と思いますが、ポスト不足のため世間の常識は通じない世界なのでしょう。
一方で粗製濫造された小保方のような研究者が現場で役に立たず、使い捨てされるのもさもありなん。
やはり増やしすぎは罪が深いです。


研究不正の温床ですから、アカハラについても日本版ORIにうまく罰則規定のようなものを盛り込めるといいのですが。若い人には希望を持って欲しいです。
Unknown (Unknown)
2014-09-02 11:31:37
Unknown②です。 解説ありがとございました。

私は門外漢の税理士ですが、
この事件の一番の被害者は、まともな研究者と早稲田理工博士さん達なんですね。




お礼とお願い (からしだね)
2014-09-04 08:39:40
私は先生の記事の中で、この「書き込みを読んで」は特に興味を持って読んでいます。先生が皆さんのコメントについてどう思っておられるか分かりますし、さらに内容を掘り下げてくださるのでこちらの理解もより深まりますから。
その記事に、私のコメントを取り上げていただいて恐縮しています。さらにORIについて詳しいご説明もありがとうございました。

少し図々しいのですが、先生にひとつお願いがあります。機会のある時に、岡崎令治博士について取り上げていただけないでしょうか。
私が岡崎博士の存在を知ったのは、1年ほど前、図書館で『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書』(講談社ブルーバックス)を借りて読んだ時です。DNAの合成についての説明の中に、「岡崎フラグメント」のメカニズムとその発見者である岡崎令治博士の名前が記載されていました。アメリカで実際に教科書として使われている本ですから、その記述は淡々としたものでしたが、このようなDNA合成の根幹に関わる発見が日本人によってなされたことに、大変感動いたしました。
その後岡崎博士についてインターネットで少し調べたのですが、広島の方で大戦中被爆され、白血病で早逝されたことを知り衝撃を受けました。
生物を大学で専攻された方なら世界中の誰もが知っているのに、一般の日本人はほとんど誰も知らない(と思うのですが、)岡崎博士について、同郷で、しかも広島大学付属中学校で同窓となられる先生から皆さんにご紹介いただけないかと思います。
年齢的に、岡崎博士がご活躍だった時期と先生が研究者としての第1歩を踏み出された時期は重なるようですので、「岡崎フラグメント」に対する当時の学界の反応などリアルタイムでご存じだったらと思います。
岡崎博士の存在は、日本人にとって大いなる誇りであると思うのですが、いかがでしょうか。
勝手なお願いですが、機会があるときに、ということでお願いいたします。

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