【修復腎移植アップデート】Googleに「修復腎移植」「病気腎移植」という用語を検索登録しているから、時々新しい情報が入ってくる。
これは米医学誌「アメリカ泌尿器科学会誌（Journal of the American Society of Nephrology）が2017/7/6に電子版で掲載したのだそうだ。
https://news.nifty.com/article/item/neta/12141-4421/
これはニフティニュースが「ヘルスプレス」の記事
http://healthpress.jp/2017/07/post-3122.html
を転載したもので、ニューヨーク・コロンビア大学医療センターが2005〜09年に行った975件の腎移植（死体腎548件、生体腎427件）について、その成績（５年生着率）を移植に使用された腎臓組織の病理学的所見に基づき、病理学者が①最適（optimal）または②準最適(suboptimal)と判定したものの割合とそれらの移植結果を比較解析したものだ。
それによると死体腎の50.7%が最適で、生体腎では66.3%が最適と判定された。
フル論文はここにある。(PubMedから入ると良い)
Association between Reperfusion Renal Allograft Biopsy Findings and Transplant Outcomes.
Mohan S, Campenot E, Chiles MC, Santoriello D, Bland E, Crew RJ, Rosenstiel P, Dube G, Batal I, Radhakrishnan J, Sandoval PR, Guarrera J, Stokes MB, D'Agati V, Cohen DJ, Ratner LE, Markowitz G.
J Am Soc Nephrol. 2017 Jul 6. pii: ASN.2016121330. doi: 10.1681/ASN.2016121330. [Epub ahead of print]
注１＝このことはコロンビア大学医療センターでは「準最適」の腎臓（つまり病気腎）が移植に利用されていることを意味している。同大では死体腎の約49%が病気腎であり、生体腎では約34%が病気腎であることになろう。
注２＝日本移植学会の「ファクトブック2016」によると2015年に日本で行われた腎移植の総数は1661件で、うち生体腎が1494件(約90%)、心臓死63件、脳死104件であり、心臓死と脳死を合わせた死体腎は約１割にすぎない。このことは、もし日本が米国と同じ移植用腎の評価基準を導入すれば、生体腎のドナーを年間約3000件程度に、死体腎を約350件程度に増やせることを意味している。
肝心の成績だが、生体腎移植の予後が最も優れており、腎臓の組織学的な評価の結果にかかわらず、移植から5年後も91.4％で機能が維持されていたという。
一方、死体腎移植例でも、最適と判定された腎臓の移植例では81.7％が、また準最適な腎臓の移植例では73.2％が移植から5年後でも機能を維持していたという。
研究を行った同大公衆衛生学部のモハン（Mohan）氏は「米国では透析患者の5年生存率は35％だが、腎移植を受けなければ透析を続けなくてはならない。準最適と判定された腎臓であっても、生存上の利益は非常に大きい」と指摘している、という。
975例という多数の腎移植について、病変の程度別に生着率を見た研究論文は、これが初めてだろう。ことに生体腎については「腎臓の組織学的な評価の結果にかかわらず移植から5年後も91.4％で機能が維持されていた」という点がすごい。
これで「修復腎移植（病気腎移植）」に関する医学的論争は決着がついたと思う。
徳洲会がこの論文の邦訳を付けてあらためて「修復腎移植」の再々申請を行えば、厚労省は喜んで認可に動くだろうと思う。
後はメディアが欧米に10年以上後れをとった修復腎移植について、これまでの報道の罪滅ぼしをかねて、より充実した調査報道をしてくれるよう、期待したい。
「記事転載は事前にご連絡いただきますようお願いいたします」
これは米医学誌「アメリカ泌尿器科学会誌（Journal of the American Society of Nephrology）が2017/7/6に電子版で掲載したのだそうだ。
https://news.nifty.com/article/item/neta/12141-4421/
これはニフティニュースが「ヘルスプレス」の記事
http://healthpress.jp/2017/07/post-3122.html
を転載したもので、ニューヨーク・コロンビア大学医療センターが2005〜09年に行った975件の腎移植（死体腎548件、生体腎427件）について、その成績（５年生着率）を移植に使用された腎臓組織の病理学的所見に基づき、病理学者が①最適（optimal）または②準最適(suboptimal)と判定したものの割合とそれらの移植結果を比較解析したものだ。
それによると死体腎の50.7%が最適で、生体腎では66.3%が最適と判定された。
フル論文はここにある。(PubMedから入ると良い)
Association between Reperfusion Renal Allograft Biopsy Findings and Transplant Outcomes.
Mohan S, Campenot E, Chiles MC, Santoriello D, Bland E, Crew RJ, Rosenstiel P, Dube G, Batal I, Radhakrishnan J, Sandoval PR, Guarrera J, Stokes MB, D'Agati V, Cohen DJ, Ratner LE, Markowitz G.
J Am Soc Nephrol. 2017 Jul 6. pii: ASN.2016121330. doi: 10.1681/ASN.2016121330. [Epub ahead of print]
注１＝このことはコロンビア大学医療センターでは「準最適」の腎臓（つまり病気腎）が移植に利用されていることを意味している。同大では死体腎の約49%が病気腎であり、生体腎では約34%が病気腎であることになろう。
注２＝日本移植学会の「ファクトブック2016」によると2015年に日本で行われた腎移植の総数は1661件で、うち生体腎が1494件(約90%)、心臓死63件、脳死104件であり、心臓死と脳死を合わせた死体腎は約１割にすぎない。このことは、もし日本が米国と同じ移植用腎の評価基準を導入すれば、生体腎のドナーを年間約3000件程度に、死体腎を約350件程度に増やせることを意味している。
肝心の成績だが、生体腎移植の予後が最も優れており、腎臓の組織学的な評価の結果にかかわらず、移植から5年後も91.4％で機能が維持されていたという。
一方、死体腎移植例でも、最適と判定された腎臓の移植例では81.7％が、また準最適な腎臓の移植例では73.2％が移植から5年後でも機能を維持していたという。
研究を行った同大公衆衛生学部のモハン（Mohan）氏は「米国では透析患者の5年生存率は35％だが、腎移植を受けなければ透析を続けなくてはならない。準最適と判定された腎臓であっても、生存上の利益は非常に大きい」と指摘している、という。
975例という多数の腎移植について、病変の程度別に生着率を見た研究論文は、これが初めてだろう。ことに生体腎については「腎臓の組織学的な評価の結果にかかわらず移植から5年後も91.4％で機能が維持されていた」という点がすごい。
これで「修復腎移植（病気腎移植）」に関する医学的論争は決着がついたと思う。
徳洲会がこの論文の邦訳を付けてあらためて「修復腎移植」の再々申請を行えば、厚労省は喜んで認可に動くだろうと思う。
後はメディアが欧米に10年以上後れをとった修復腎移植について、これまでの報道の罪滅ぼしをかねて、より充実した調査報道をしてくれるよう、期待したい。
「記事転載は事前にご連絡いただきますようお願いいたします」
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