ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【ブログを読む】難波先生より

2014-03-14 08:45:05 | 難波紘二先生
【ブログを読む】
 ここ3週間ほど毎朝、以下のネット記事を読むのが習慣になった。
http://www.ipscell.com/2014/03/stap-coverage-ruffles-some-elite-stem-cell-feathers/
 カリフォルニア大ノフラー博士のブログで、「PubPeer」と並んでSTAP細胞疑惑を表に出すのに功績があった。
 この記事ではプルタルコスを引用して、「不都合な真実を伝える伝令」は殺されるべきか?を論じている。並みの教養の持ち主ではない。この一文など翻訳して、日本語メディアは転載すべきだろうと思う。
<The reality is that the STAP stem cell situation is a serious threat to the stem cell field. As someone who is a big fan of stem cells and advocates actively for stem cell research, I wasn’t going to turn a blind eye. (実際にSTAP幹細胞の状況は、幹細胞(研究)分野にとって深刻な危機だった。
On the positive side, many top stem cell scholars have told me directly that they are very supportive of my stem cell advocacy efforts and blogging on this current situation. More broadly and generally stem cell researchers and others who have provided feedback on the STAP coverage on this blog have been positive. That’s not to say I haven’t gotten some hate. I have.(プラスの面としては、多くの幹細胞研究のトップにある人たちが、直接私に連絡して幹細胞広報の努力とその現状についてのブログ活動を支持してくれたことだ。これは私が誰かの憎しみをかわなかったという意味ではない。憎まれた。
I believe that the STAP cell situation is a tragedy and frankly blogging about it has been entirely unpleasant for me….kind of like a 6-week long root canal at the dentist.(STAP細胞事件は悲劇であり、それについてブログを書くのはまったく不愉快だった…歯医者で6週間もかかって歯根管から神経を抜くようなものだった。
The collective wisdom of the stem cell field today (again with only minor exceptions) is that STAP is a situation that must be dealt with openly as much as that is painful.(今日の幹細胞領域に関わる集合知は、少数の異論はあるが、STAP事件は痛みを伴うほどオープンに扱われなければいけない、ということを示している。
What’s at stake? The reputation of the whole stem cell field and its credibility with the public.(問われているものは何か? 幹細胞研究ぜんたいの名誉であり、公衆からの信頼だ。)>
http://stapcells.up.seesaa.net/image/Chapter3.pdf
 ここには投稿意見欄に実に面白いものがあるし、絶えず更新される新発見事実も興味深い。

 http://www.asyura2.com/13/nature5/msg/210.html
 ここにある私の意見はもう古くなった箇所もあるが、ネットでの議論が要約されていて読めば夜を徹して何が議論されたか分かる。

 http://uni.2ch.net/life/#1
 ここは2チャンネルの「生物板」で、すでにスレの番号が103に達している。1000回の書き込みで別スレに移行するので、延べ数で10万3000人が参加したことになる。「STAP細胞疑惑」がいかに大きな社会的関心を呼んだかが、わかろうというものだ。

 朝刊紙を読むには20分もかからないが、上記のサイトを閲覧するには2時間くらいかかる。というもの、重要な発言を見つけては別書類に保存しているからだ。
 40字x40行のフォーマットで保存したものが、すでに100ページに達した。

 初め2チャンネルでは「擁護派」が優勢だったが今は沈黙し、「否定派」が圧倒的に優勢だ。議論は、調査すべき範囲とか、決着の付け方とか、再発防止をどうやるかとか、建設的な方向に向かっているようだ。すでに否定派は「オフミ(Off-line Meeting)」を企画している。
 <322 :名無しゲノムのクローンさん [sage] :2014/03/13(木) 01:36:13.75
【STAP細胞反省会会場のご案内】
3/15(土)
1次会:ルネ 17:00集合 会費5000円
2次会:ハイライト 18:00開始 会費1000円
3次会:樽八 19:00開始予定 会費3000円

692 :名無しゲノムのクローンさん [sage] :2014/03/13(木) 02:21:02.81
じゃあ反省会は3/15(土)17:00ルネ玄関集合
目印はNature、会費は5000円>

 3/18「修復腎移植」裁判での証人尋問の準備があるので、東京には行けない。残念だが、

ある大手新聞社科学部からの連絡で明日14日の「理研発表」の「内容」を知らされた。
「調査中」ということで、論文撤回も謝罪もしない方向だという。信じられない。

 この間のブログでの議論と新聞やテレビの報道を比較して見ると、ネットの情報の方が2~3日先行している。最近の新聞を見ると「◯◯であることが、12日分かった」という形式の記事が多い。昔は「分かった」というのは官庁などの内部情報に接したという意味で、「△△日」というのは情報を得た日を意味していた。
 が、最近では記者がネット情報を元にして、(情報源を明示せず)記事を書いていることが多い。流石に恥ずかしくて書けないのだろうが、これでは小保方晴子の無断引用を責める立場に立てないだろう。(そろそろ新聞購読を止めるべきか?)
 
 週刊誌、月刊誌からも連絡があった。(3/18発売の「新潮45」がかなり詳しい特集を組むそうだ。)医療系の大学を出たライターもいたが、多くは文系で「細胞生物学」の基本を知らない人が多い。それなのに電話で取材しようというのだから無茶な話だ。
 文系とか理系とかという分け方は、明治以後に生まれたもので、あの頃は先進国に追いつくために手分けしてこの国を作る必要があった。そのための便宜にすぎない。
 本来、アリストテレスが言ったように、「すべて人は知ることを好む」。知に境界があってはならない。自分を「理系」だとか「文系」だとかに仕分けするのは、知的偏りがあると言っているに等しいことを自覚しなければいけない。

今回の事件の最大の疑問点は、T細胞における「遺伝子再構成」の不審点だった。免疫学の教科書を読むと、免疫遺伝子再構成について詳しく書いてあるが、あれはちょっと「文系」の素人には理解しにくいだろう。
 多田富雄「免疫の意味論」(青土社, 1993)
  同  「生命の意味論」(新潮社, 1997)
  同  「免疫:<自己>と<非自己>の科学」(NHKブックス, 2001)
 なら、基本的に思想書(「免疫の意味論」は大佛次郎賞を受賞)だから、「文系」の人でも読めるはずだ。「免疫の意味論」には免疫遺伝子の再構成もちゃんと説明してある。 
 まずこのあたりくらいは最低でも読んだ上で、報道に携わってもらいたいものだ。

 まして「生命科学技術」の現状は1950年頃の原子物理学の状況に匹敵する。あの頃、水素爆弾、中性子爆弾が開発され、人類は全面核戦争による絶滅の寸前まで行った。
 いま、遺伝子工学の技術が進んで、自然界に存在しない細胞をいくらでも作れる時代になっている。もちろん、人類が抵抗力を持たないウイルスや病原細菌だって作れる。
 そういう意味では今は核兵器の無差別増殖に近い、非常に危険な状況にあるといえる。その危険性を理解できないほど「文系」であってほしくない。

 私は「現代では生命科学の知識は、常識としてすべての大学で必修科目に指定すべきだ」と在職中から発言してきたが、いまだにそうなっていないのは誠に残念だ。だが、知は自ら獲得するもので、必要だと感じたら夜間授業を受けるか、社会人入学するか、放送大学の授業をとるかして、自分で勉強したらよかろう。私はフランス語とスペイン語はそうやって学んだ。
 だが、ネットで
<米MIT助教で現代アートを手がける「スプツニ子!」さんは、ツイッターで「わたしはSTAP細胞のことは落ち着いて見守ろうと思っている。もしなにか間違いがあっても、小保方さんたちが来年再来年、再実験できるよう皆で応援したら良いじゃない」と提案した。>
 http://www.j-cast.com/2014/03/13199165.html?p=2
 というような脳天気な意見を読むと、文と理のクレバスは深いなとも思う。
 恐らく「ソーカル事件」を知らないのではないかな。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ソーカル事件
 あの事件は訳も分からず物理学の専門用語を振りかざしている自称哲学者たちをとっちめるために、専門の物理学者が無意味な論文をでっち上げて哲学雑誌に投稿し、レフェリーの審査をパスして掲載されたもの。今回の事件と外見は似ているが、掲載後「実は…」と名乗り出ているので、全然意味が違う。

 「ニュートン4月号」読んだ高校の先生からメールがあった。
<一般向け科学雑誌「NEWTON」の4月号(3月7日ころから販売されていました)に,小保方氏を絶賛する特集がありますね。生徒たちに人気で、よく読んでいる子がいるだけに,がっかりしました。一般向けとはいえ科学雑誌なのですから,新聞などのメディアみたいにお祭りに参加して欲しくなかった。>
 3/9(日)に広島丸善で買ったNEWTONが、他の本と一緒にやっと今朝配達され、読んでみた。この「赤谷拓和」という編集部記者はまるっきり疑うことなく、信じ切って賞賛記事に仕立てている。今頃、きっと落ち込んでいるだろう。3/8発売だから、「理研プロトコル」で疑惑が拡大する前に雑誌が印刷されたのであろう。が、ネットでは疑義は2/10には提起されていたので、記事を急いで4月号に載せる必要はなかった。

 その点、「文藝春秋4月号」は山梨大若山教授のインタビューで構成されていて、興味深い事実が満載だった。こういうふうに相手に組みしないで、自由に取材して、評価は読者にまかせるのが、本来のジャーナリズムのあり方だと思う。レミングが集団で崖っぷちに向かって突進するような日本メディアの報道を見ていると、危なくてしょうがない。
 
 和歌山証言には面白い事実がある。
 小保方の理研への受け入れについて:「はじめてコンタクトがあったのは、2010年7月頃、ハーヴァード大の小島宏司準教授からメールで小保方さんに協力してほしいと連絡があった。」
 「神戸で彼女に会ったのは10月。…話してみて、その知識量にびっくりしました。…相当レベルの高い学生だと思いました。」
 「そこで2011年から小保方さんを理研の研究室に受け入れ、僕がキメラ実験で彼女が作る細胞の万能性を調べることになりました。」
 STAP細胞の樹立について:「何度も失敗を繰り返しました。しかし、小保方さんは決して諦めず、少しずつ実験条件を変えては、新たな細胞を作って僕のところに持ってきた。」
 「僕も理研から山梨大に引っ越す直前、STAP細胞の作り方を教わってやってみたら成功しましたが、山梨大に移ってからは、まだ成功していません。」
 「そして2012年4月、STAP細胞の作製に成功したので、ネイチャーに投稿しました。…最大のネックは文章力でした。小保方さんと僕には、ネイチャーのようなトップジャーナルに載せるだけの文章力がなく、…編集者や審査員を納得させるための論理の流れをうまく書けなかった。」

 この発言を読むと、2012年4月、山梨大への転勤直前に「若山関与」のSTAP細胞実験は一度だけ成功した。その細胞は山梨大の若山研に冷凍保存された、ということになろう。つまり小保方実験のミソである「STAP幹細胞は、(iPS細胞とちがい)胎児にも胎盤にもなる」という部分は、若山が山梨大に立ち去る直前のぎりぎりのところで、成功したということになる。これがないと、クローンマウスの世界的専門家である若山教授が、論文の共著者になる機会はなかった。
 そこからどういう解釈を下すかは読者におまかせしよう。
訪米中の日本分子生物学会大隅典子理事長は、ワシントンからこんな大胆な「捏造仮説」を提起している。
 http://blogos.com/article/82144/
 もっともSTAP細胞と称するものと若山教授が受け取りキメラマウスを作った細胞(STAP幹細胞)の遺伝子は、ES細胞の遺伝子と同じだということは、すでに指摘されているのだが。
 http://slashdot.jp/~kaho/journal
 東大医科研の上昌弘教授もこの問題について、積極的に発言を開始されたとメールが来た。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140313/k10015955891000.html
金川先生も、鈴木先生ももう孤立を恐れる必要はありませんよ。
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3 コメント

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日本で科学は死んでしまった (武蔵10)
2014-03-14 21:43:48
理化学研究所は現時点で不正はなかった、との会見。
責任はあくまで研究者個人に帰するものだということですが、百万にひとつでもSTAP細胞に真実があれば、その果実は理化学研究所がいただくという魂胆でしょうか?
自分は30年前の農学系の大卒ですが、こんな世の中でも科学自体には希望を持っていました。それが、原発事故に続いてこの体たらく。日本の科学界にはもう光はないのが身に凍みます。こどもに理科の勉強を勧めることはしないし、支援もしません。絶望しかない。
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科学には疎い者ですが・・・ (チッチョ)
2014-03-17 00:26:54
「スプツニ子!」ねぇ~ 派手にデビューした美人さん・・・似てますねw
それはともかく、絵描きはお馬鹿と思って間違いないですよ。現代美術も然りです。

凄い研究とテレビで大騒ぎした時点で、不自然に思いましたけどね。そして研究室でペットを飼うなんて、そんなことが許されるのか?!と驚きましたし、袖口が切られた割烹着からはみ出た洋服とゴム手袋がグチャグチャしているのを見て、とてもお仕事の出来る方には見えませんでした。
科学にド素人でも常識を持って暮らしている人間には騙されない眼があると自負しております。
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Unknown (hcqs medicine)
2021-07-17 17:56:04
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