ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

8-29-2016鹿鳴荘便り/難波先生より

2016-08-30 09:27:23 | 難波紘二先生
 期待していた8/25厚労省「先進医療技術審査部会」での「修復腎移植臨床研究」の審査が、移植学会関係者により「ダビンチの登場によりロボットで部分切除できるようなったから、小径腎がんの全摘は必要ない」という意見が強い中、厚労省の医系技官の異議申し立てにより、「却下するのではなく、継続審議にして、出された問題点をさらに改良すべき」という意見でかろうじて「継続審議」になったという。(「愛媛」が一番詳しいのでこれを添付したい。)


 この人たちは当初、「腎臓がんの腎臓を移植に用いたらがんが移るから、絶対に禁忌」だと、居丈高に主張した。それが元学説の提唱者ペンの学説が誤りであり、世界中ですでに100例以上行われた修復腎移植でドナーのがんが再発した例は1例もない。(逆に移植腎にレシピエント由来のがんが発生した例は何例かある。)


 すると今度は、「もともと小径腎がんは、部分切除すれば治癒するので、ドナーに過剰な負担をかける全摘術はやるべきでない」と主張し始めた。
 ならば「健康なドナーから腎臓を摘出する生体腎移植」はもっとも非人道的行為ではないのか?日本の腎移植の80%が「生体腎移植」であるという、状況は誰に責任があるのか?


 2006/11月に「修復腎移植」が公表されて以来、これを禁止するために彼らが口にする言説は完全に矛盾している。そうまでして誰の、どういう権益を守ろうとするのだろうか?
 いま、最後の追い込みにかかっている「第6章:国内の反応:学会と厚労省」用に用意しているゲーテのアフォリズムを紹介しよう。


「およそ完全に矛盾したことは、愚者にも賢者にも等しく神秘的に聞こえますからね。あなた、学芸の道は、昔も今もおんなじだ」(ゲーテ「ファウスト」第一部)



 臨床研究の症例数も前回の倍近くになり、経過追跡も5年以上がかなりある。小川先生の英語論文もすでに2本が国際誌に発表されている。
 修復腎移植が「TOD(治療的臓器提供)」という名の下に米UNOSの政策として採用され、ヨーロッパででも公認されている。まともに考えれば、承認するのが当然だろう。


 恐らく猿田座長らは「合理的・理性的判断」ではなく、山本七平がいう「空気」をつくりだして「空気の支配」のもとに、「何となく却下」をねらっているのだと思われるが、「委員会決定という名の無責任決定=空気の支配」を許してはいけない。


 臨床研究主体の徳州会にはまだ苦難の道が続くが、指摘されたマイナーな欠陥には誠実・柔軟に対応し、「却下」という最悪の事態に至ることだけはさけてほしいと願う。
 そのうちにUNOSの「TOD」政策による「修復腎移植」の2016年データが公表されるはずだ。
 これが出れば、確実に流れは変わるだろう。


今回は、
1.書評など
2.オバマ大統領の返書,
3.ケトン食:実験のまとめ,
4.バイデン副大統領,
5. 疾病と病名
という5つの話題を取り上げました。
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