ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【新語】難波先生より

2014-03-31 18:40:43 | 難波紘二先生
【新語】
 今度のSTAP細胞事件では、2Chを久しぶりに覗いてみて、沢山の新語が溢れているのに驚いた。全般の論調が愛国主義的か否か、というきわめて単純な構造になっているのも驚いたし、恐ろしいとも思った。
 その中に「エア御用」、「エア御用学者」という新語があった。「御用学者」なら、権力のあるもの、力のあるもの、お金のあるものに意識的・無意識的に協力して、そのおこぼれ(お金、地位などの利益配分)にあずかる学者・評論家をいい、奉仕する対象とメリットの関係がはっきりしているが、そこが見えてこない人に対してレッテルとして貼るものらしい。http://www50.atwiki.jp/goyo/pages/425.html

 が、これは人間を「敵か味方か」、「白か黒か」、「嘘つきか正直か」というように二分するもので、大変危険な考え方だ。こういう二分法(Dichotomy)は、思考者の考え方の単純性を表している。異端の思想を許さないという社会風潮が支配的になったら、どどっと社会が変わる。ネット社会はいまや現実社会を先取りしているから、実社会がそうなる可能性が出て来ているわけで、空恐ろしい。
 こういう提案が平気で出されるのを見ても、時代が変わろうとしている。
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140329-OYT1T00349.htm?from=ylist
 やがて地域の住民が半強制的に毎朝付近の学校や公園に集められ、ラジオ体操をさせられる時代が来るだろう。こうしてJ.S. ミルが述べたように「人は自分の思想や意見を心の内部に密かに保持する」自由しかなくなる。

 STAP細胞がらみで「エア御用」学者としてあげられている人の多くは「学者タレント」で、人気商売の人が多い。そういう人はテレビという「お座敷」がかからなくなり、一般向けの本が売れなくなったら困るわけだから、2月半ばまでの、あのメディア翼賛の小保方人気のなかでは、それに水を差すようなコメントは出しにくかったのだと思う。
 今になって、竹内久美子だの、福岡伸一が批判的コメントを書いたりしゃべったりしているのは、そういうことだろう。藤田紘一郎も薬事法違反で送検されていなければ、発言していたかも知れない。三人とも「部分的真理を、適用可能枠を超えて主張する」ことで、「トンデモ」になってしまうという特徴がある。

 「学歴ロンダリング」という言葉も今回知った。簡単に入れる大学の理系学部に入って、卒業後に大学院「修士課程」に入学し、さらに有名大学の医科系大学院の博士課程に進めば「医学博士」がもらえる。基礎系の講座は閑古鳥が啼いているから、大学を選ばなければ地方私大の助教授にまではなれる。売り込みが上手なら、医学部新設やバイオ系の学部新設をねらっている東京の私大教授にもなれるだろう。
 そういう手合いが結構多いことも、今回新たに知った事実だ。
 「医学博士だから、診療を認めよ」という非医師研究者の意見をあるメルマガで読んでびっくりしたことがある。医師免許のない診療は「医師法違反」である。
 いま、新聞が最終学歴しか書かないから、学歴ロンダリングは簡単になった。「医学博士(東大)、東大大学院医学研究科修了」とあれば、世間は「東大医学部卒、医師」とまず勘違いする。
 本当に医師免許が欲しい人は、まず理系の他学部を出て、「地元優先枠」のある出身地方の大学医学部に「学士入学」(いわゆる社会人入学)することを勧める。これなら旧「教養課程」が履修済みと認定されるから、4年間の学部教育で卒業できる。
 2浪して医学部に入学するより安くて簡単だ。無医村を多く抱える県では、「郷土枠」には、一定期間の僻地勤務と引き換えに、多額の奨学金をくれるところもある。国家試験に合格し、研修医期間を終えると、合法的に診療ができる。これは「自己啓発」であり、学歴ロンダリングといわない。
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